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15 レベルを上げよう

申し訳ないですが、職場の都合により、しばらく帰ってこれず、またパソコンをいじるほどの時間もないため、11月の終わりまで1日置きに予約で投稿させて頂きます。

予約投稿の時間は11時になっています。


読んでくださっている方には非常に申し訳ないですが、これからも拙作をよろしくお願いいたします。

 嫌そうな顔で颯爽と駆け出したストームライガー。

 目の前の木々の壁は閉まる直前だ。ストームライガーは俺の意思のままに疾走する。その名が示す通り、風のように速く走り抜ける。

 

 そして――

 

 ばいんっ!


(っへ!?)


 まるでなにかに弾かれるように、俺たちは吹っ飛んだ。

 口から俺を離し、ストームライガー共々、地面を転がっていく。まるで見えない力に吹き飛ばされたように、そこらの幹にぶつかって、ようやく止まった。


(な、なんなんだよこれ!? なんか吹っ飛ばされたぞ!?)


『オウヨ ケッカイ』


 ストームライガーは俺を非難するような目で見ながら、だから嫌だといったんだといいたげな声が頭に響く。

 け、結界とな?

 それはあれか、選ばれたもの以外は入れないとか、よくないものを退けるとかそういうのか?

 さすがファンタジーというかなんというか……。


(しかし困った。アンナちゃんたちを追っていきたいのに、これじゃ追い駆けられない……)


 本当に困ったことだ。

 まだ話し相手がいるからなんとかなるだろうが、相手は片言だ。話題もいずれ尽きる。そうなれば、壮絶な暇が俺を襲うだろう。

 そもそも、一度美少女と一緒にいて、離れるなんて悲し過ぎる。

 しかも俺、自分で動くこともできないんだぞ?

 どうしろってんだよ、このハードモード。

 ストームライガーいなきゃ詰んでるじゃねぇかこれ!?

 どうも俺を転生させた奴は性格が悪いらしい。そう思わなきゃやってられねぇ!


(……ま、考えてたって仕方ないか……)


 うん。

 切り替えよう。

 ここでわーわー騒いだってなにが変わるわけじゃない。変えるのはいつだって自分自身でだ。

 つまり。


(とりあえず、レベル上げよう)


 せめて自立稼働したい。











――数時間後。


(む、むむむむうううううううううううううぅ……)


 自らの内からMPとか色々絞り出すように気合を入れ、俺は【念力】を行使する。


 俺の今、使えるスキル……戦闘に使えるものは少ない。

 【堅牢】【念力】【流星】……この三つだ。

 俺の最もレベルの高いスキルは【堅牢】である。固くなるのが俺の強さだ。なんだそれ、某国民的ゲーム序盤のサナギ型のモンスターかよ俺は! とんだ雑魚じゃねぇか!?

 理不尽だ。

 この世は俺に優しくない。

 

 優しくないから強くなる。

 うん、理に適っているはずだ。


 少しずつ転がるのが早くなる。早く移動することができるとはいえ地面を転がるだけってのもなんだ……。絶対踏まれたり蹴り飛ばされたりして碌な目に合わない気がする。

 なんかないかな……。

 と、考えてみた所、ここでまた某国民的ゲームがヒントになる。

 浮かべばいいんじゃね? 俺。


 そんな考えの元、俺は結界から少し離れた小さな広場で、一人……一匹? 石に同化している。

 というかぴくりとも動かんね。

 

 あれだ、浮くってのは転がるのと違って難しいのだ。

 転がるのは、最初さえ動けばあとは流れに任せればいいのに比べ、浮くのは常に自分に力をかけなければいけない。

 正直、今まで体験したことのない感覚なのだ。


 これで浮くことができれば自分で動けるし、自分で移動できる。

 そう考えると、やる気も出てくるってもんだ。

 攻撃技を覚えることも考えたが、その場合、俺が移動できるようになるまでストームライガーの口の中にいることになる。

 それは困る。

 かっこ悪いし、なにより涎まみれになるのがいやだ。


 そんな訳で、転がる力を浮遊する力へと変換するよう特訓してるんだが、これがうまくいかない。

 一朝一夕でできるようになるもんじゃないとわかってるけど、辛い。

 どうしたものか……。


 その時、目の前の草むらが、がさっ、と音を立てた。


(お、ストームライガーが帰ってきたのかな?)


 あいつ、俺がレベル上げしたいっていったとたん、どっかに消えたんだから。

 まったくなにやってるんだか。

 そう思いつつも、どうやらあんなのでもいないと寂しいらしい。

 

(遅かったじゃねーかよ、どこいってたんだよ?)


 がさがさ、ひょこ。

 草むらから顔を出したのは、ストームライガーとは似ても似つかない。

 

 こげ茶色の毛皮を身に纏った、巨大な狼……。

 って、狼ぃ!?

 狼は、グルルルゥ……と低く吠えながら、牙を剥き出している。

 まるでなにかに追い立てられたように、必死な形相で俺を睨み付けてくる。


(なんでぇ!? なんでちょっと殺気立ってるのこいつ!?)


 俺は必死に周囲を見渡す。

 草むら草むら木、木、木、白、木、木……。

 いたぁ!?


 まるでこちらを試すように見ているストームライガー。おそらくこいつが追い立ててきたんだろう。

 なに考えてやがる!?


(おいお前ぇ!? な、なに考えてんだよ!?)


『オウハ ツヨクナリタイ イッタ ツヨクナル タタカウ ハヤイ』


 なんてことを!?

 しかしどうやら、逃げ道はないようだ……動けないし。

 どうしてこうなったし……。

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