初夏の教室
君とであってから 僕は変わった
外の空気は澄んでいたし、
昨日の夜空は星がこぼれそうだった。
こんにちは。
一言、君が僕に声をかけたんだ。
黒髪をなびかせて端正な顔立ちで微笑んだ君。
すぐに通り過ぎてしまって
僕のことなんか記憶の端にもないかもしれない。
でも彼女が微笑んだ一瞬が永遠に感じた。
それから君は僕の憧れになった。
君とは高校の入学式で出会った。
君は物静かで休み時間に本を読む。
いつも一人で淡々と。
そんな君だったからまさか話をするなんてことを
するとは思わなかったんだ。
彼女はいつも朝一番に教室にいる。
さぁ、つまらない日常に別れを告げよう。
さぁ、あの瞬間ぼくはかわったんだ。
おはよう。
口をついて出た言葉は
少しうわずっていたかもしれない。
朝日がまぶしい教室で、
始まりの物語。
『おはよう。君、何て名前?』
そして今日も彼女の黒髪が
さらさらとなびいていた。