~序章~
暗い暗い海の中。
薄れ行く記憶のなかで誰かが俺の名前を何度も繰り返し呼んでいたのを覚えている。
今にも泣き出してしまいそうな、喉が閉まった声で。
いや、もしかしたらもう泣いていたのかもしれない。
海の中から見た空はとても青く輝き、美しかった。
「おい蓮起きろ!今月のスケジュール表配られたぞ!早くしないとマスターがお怒りだっ!」
鹿目 蓮。それが俺の名前だ。
布団を剥がされ起こされた俺は思考の定まらない頭で内容を汲み取る。
時刻は午前6時。
けして早いわけではないが、昨晩(?)仕事で寝たのは4時だ。
俺を起こす暇があるなら俺の分も貰ってくれと思いながらも重い体を無理やり起こす。
「.......あぁはい。今行きます..........」
まぁ上下関係がはっきりしているここでは言うことを聞かなければならないわけだが。
ここがどこか?
え、聞いてない?
まぁまぁ聞けって。
ここは魂を狩り取る者...いわば"死神"が住む家のようなものであり、仕事の拠点でもある。
ネズミーランドの城の軽く10倍はある所だ。
仕事というのはご存じの通り死期を迎えた魂の回収である。
スケジュールを貰い、その日程の通りにこなす。
それが俺の日常だった。
あの日が来るまでは。
「.................めんどくせぇ...」
頭痛がする。
しつこいようだが、俺は2時間睡眠だ。
そんな睡眠時間で、目を覚ましてテキパキ仕事をしろといわれても無理がある。
仕方なく立ち上がり、重い扉を開き長い廊下を歩き出す。
遠い。
眠い。
頭が痛い。
だるい。
俺の思考はそこにしか働いていない。
10分も歩くとこの建物の最上階に位置する総司令室に到着した。
軽く2回扉にノックをすると、低く、澄んだ声で返事がかえる。
「.....失礼致します。」
総司令室は20畳位の一室で、1面白のシンプルな部屋だ。
中に入り、方膝をついて頭を深々と下げる。
「今月の予定表を受け取りに参りました。」
「あぁ、今月もよろしく頼むよ。迅速に、的確にね。」
「yes.(はい)my master.(主の仰せのままに)」
「下がっていいよ」
毎月繰り返されるこの会話。
この会話のためにわざわざ94階もある建物を俺の部屋がある53階から最上階にいかなければならないということに激しいいらだちを覚える。
更にエレベーターが故障ともなるとたまったもんじゃない。
俺よりしたの階にいるやつらはもっと大変だ。
「(.........人の気もしらねぇであのやろう)」
エレベーターに乗り込み、スケジュールを眺めながら思う。
自然とスケジュール表を握る左手に力がこもる。
2時間しか寝ていないと言うのに20分後にはもう仕事が入っている。
「(さっさと終わらせて寝るか。)」
エレベーターが53階についた頃、無造作にスケジュール表をポケットにつっこみ、部屋へと急いだ。
ー.....んくん!ー
.........途中呼び止められた気がしたが気にしない。
どうせ食堂のおばさんの声だろう。
今止まったら後が面倒だ。
飯を残したらうるさいからな。
部屋に戻り、リビングにかけてある仕事用のコートを羽織って外へ出る。
そうしてまた1日が始まる。
読んでくださり、ありがとうございました。
初めての作品だったので正直出来は良くないとは思いますが、これからも読んでくださると嬉しいです。
コメントの機能を使って、主人公鹿目蓮の行動を2択から選択していただき、それによって物語の展開が変わるという風にしていきたいと思っております!
そうです!
鹿目の行動、そして物語の結末が皆様の手によって実際に変わって行くのです!
気軽にご協力していただけたらと思います(笑
コメント、評価していただけるととても嬉しいです(笑
長くなりましたが、以上になります。
ありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう!