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Si je tombe dans l'amour avec vous  作者: 篠宮 梢
第四幕:新しい生活と命
37/97

♪、36 消えたお姉ちゃん

あやめちゃん視点になります。

子供なので、平仮名が多くなりますが、ご勘弁下さい。

何しろ、4歳ですから・・・。

 お姉ちゃんが、消えた。


 そんなこと、最初は信じられなかった。

 でも、何月になってもお姉ちゃんはもどってこなかった。


 ひろお兄ちゃんにきいても、りぃーちゃん、ママにきいても、知らないって言うばっかり。


 さとしお兄ちゃんは、お姉ちゃんが消えた日から笑わなくなった。泣かなくなった。

 それだけじゃなくて、目の色が冷たくなったような気がするし、変なニオイがするようになった。


 それもこれもぜんぶ、お姉ちゃんのせい。


 おじさまは、そう言ったあやめに、『お姉ちゃんは遠い所に行ったんだよ』と言って、悲しそうに、さみしそうに笑って、あやめを、ぎゅっ、て、抱きしめた。


 でもね、あやめ、知ってるの。


 おじさまが毎日泣いてるの。

 きのうはお姉ちゃんの写真を見て泣いてたし、その前は、お姉ちゃんの部屋で泣いてた。


 それだけじゃないの。

 おじさまは、さとしお兄ちゃんに話しかけようとして、けっきょく、やめてる。


 おばさまはおばさまで、毎日泣いてさとしお兄ちゃんを責めてる。


 そのたび、さとしお兄ちゃんが壊れていくような気がするのは、あやめの気のせい?


 おじさまは、あやめにそれを見せたくないのか、いっつも、ギュって抱きしめて泣くの。


 お姉ちゃんがいた頃なら、おばさまも、おじさまも、こんなんじゃなかった。

 いつも笑っていて、ニコニコして、温かった。


(いやだ、いやだよ。)


 だいすきな人達が、バラバラになって、傷つけあって、砂のお城みたいにこわれていく。


 さいしょは、パパとママだった。


 いつも、いつも、さみしいって泣いてたママに、パパは声もかけなくて。

 ママはパパが好きだったから、それがいやで、パパと離れた。


 おじいさまとおばあさまは、ママが悪いって、ママをいじめた。

 だから、ママはここのお家に逃げてきた。

 さいしょは、ドキドキしたけど、ここのお家の人達は優しかった。


 とくに、お姉ちゃんはやわらかくて、ふわふわで、あまいニオイがして、大好きだった。

 さとしお兄ちゃんも、そんなお姉ちゃんがホントに大好きだったんだと思う。


 幸せそうで、いつもきらきらしていて。


 この生活が、ずっと続くんだと思ってた。


 

 ――なのに・・・。


 バタンって、大きな音を立てて、玄関を開け、そこにいた女の人をみて、あやめはガマンが出来なくなって、お姉ちゃんの部屋だった部屋に逃げ込んだ。


 お姉ちゃんが病院から消える少し前から、この家に住んでるあのヒトと、あやめと同じくらいの女の子。


 女のコは、いっつも保育園に行く前、さとしお兄ちゃんに何か言いたそうにしてるけど、何も言わない。

 あやめを見て、糸帆さんを見て、けっきょく、何も言わない。


 たまに、一人で泣いてる。


 その時に、『ごめんなさい、ごめんなさい、すーちゃん、ごめんなさい』って言って、泣いてる。


 あやめが『すーちゃんってだれ?』って、聞いたとき、女の子は、びくびくしながら『すーちゃんは、先生だよ』って言って、メイドさんの後ろに隠れた。


 その時は、何とも思わなかった。


 だけど・・・。


 

「お姉ちゃん、どうして・・・?」


 今日、ぐうぜん通ったお家にいた、お姉ちゃん。

 いつもみたいに、キラキラで、ふわふわな、お姫様みたいに優しく笑ってたお姉ちゃん。


 髪の形は違ったけど、眼鏡はしてなかったけど、お姉ちゃんだった。


 あやめが欲しかった笑顔、みんなが帰ってきて欲しいと思ってたお姉ちゃん。


(それなのに、どうしてあやめの事、知らないって言うの!?)


 人違いだって、あやめの事、知らないって、自分の子供は、この子だけだって・・・。


(え・・・?)


 その時、なにかあやめの中で引っ掛かった。

 

 そしてもう一度思い出してみる、あのお姉ちゃんのことば。

 

 ――私の子は、この子だけ・・・。


 最初で、最後って、悲しそうに笑ったあのお姉ちゃん。

 もし、あのお姉ちゃんが、おねえちゃんなら・・・。


「お姉ちゃん、赤ちゃんいるの・・・?」


 あやめみたいな子が欲しいって言ってたお姉ちゃん。

 そのお姉ちゃんの欲しかった子供。

 それは・・・、


「お兄ちゃんの赤ちゃんなの・・・?」


 この時、あやめはもっと気をつけるべきだったんだ。

 そうすれば、あんなことにはならなかったのに。


 でも、この時のあやめは、お姉ちゃんの言葉の意味に夢中で、あやめの言葉を誰かが聞いていただなんて、気付いてもいなかった。 


 

   



だいぶ、話の中身を削り、修正しました。

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