表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Si je tombe dans l'amour avec vous  作者: 篠宮 梢
第三幕:吹き荒れる嵐、覗いた闇
23/97

♪、22 襲来①

お気に入り登録、ありがとうございます。

 どうして幸せは長続きしないのだろう。


 

 職場に何事もなかったかのように復帰し、今日でなんだかんだで10日目。

 

 私は以前より遥かに仕事に追われ、忙しく日常を過

ごしていた。


 私が何事もなく復職出来たのは、会長である綾橋のお義父様と、利依さんのお陰。


 二人は、私が休んだのは病気療養であり、また、疲労の為の休養であると文章に認め、辞表を受理せず、破棄していた。


 それに対し、多少のいざこざはあったものの、今、私が所属している総務課部の人達は、快く迎え入れてくれただけではなく、色々と私を頼ってくれた。


 年明けには主任になるようにと、内示を受けている。


「菜々宮くん、あの資料は何処にやったかな?」


 そう言って、自分の机の上を探し、頭をグシャグシャに掻いているのは、課長代理の鳥居とりい 美鈴みすずさん、38歳、男性。


 私はパソコン画面から視線を離さずに、鳥居さんが捜していそうな資料を頭の中で検索し、それらのありかを伝えた。


「マーケティング部の資料でしたら、今作り直しています。常務のインタビュー関連でしたら、課長のデスクの上にある赤いファイルに綴じてあります。」


「あぁ、あった、あった。これか。」


 助かった、と、のほほんとした笑みを浮かべながら、高速でインタビュー記事の文章を、パソコン画面に立ち上げていく鳥居さん。


(こんなに忙しかったかしら?)


 総務部は比較的楽な部署だった記憶がある。


 それなのに、いざ私が仕事に復帰してみれば、私を待ち構えていたのは、同僚達の涙ながらの愚痴と文句、そして、天につく程までに山積した色々なデータや、書類の山。


 涙ながらに詰られ、心配され、頼られ、詰め寄られ。 




 もう一度確認するけど、私が営業部から転属された部署は、普段は暇で、退屈で、地味な総務部。


 それなのにどうしてだろうかと思えば・・・。


「もうすぐボーナスの時期ですねぇ~。」


 と、相変わらずのほほんとした鳥居課長代理の声。


 そう、ウチの会社はもうすぐボーナスが支払われる。


 去年までは私はそれに全く関与していなかった。

 それが今年は、課長の長期出張に伴い、私や他の人達にそれらの業務が降りかかってきた。


(課長って、実は凄かったのね・・・。)


 三日前から出張に行った野島課長。

 

 いつもどこかふわふわして、掴み所のない課長。その人がいないだけで、こんなにも忙しい。


 と、そんな所に。



「お疲れ様でぇ~す♪センパーイ、お仕事の復帰、おめでとうございまーすvv」


(つ、疲れる、本当に疲れる。)


 マンガみたいに、語尾にハートマークを飛ばしているんではないかと思われるテンションで、声を掛けてきたこの奇特な女の子の後輩は、堂々と玉の輿婚を宣言し、あまつさえ、自分にとっての恋愛とは、自分を作るステータスの一つだと断言し、唯我独尊・自分至上主義の旗を大きく掲げ、いつも違う男性社員と一緒にいる。


「七海ぃ、頑張ったンですよ~?センパイが休んでた間に、社内報、2本も書いちゃいましたぁ~。」


 ぶりぶりの、その超ぶりっこな口調と、甘え、媚びた様な声の彼女・千代田ちよだ 七海ななみ、20歳は、今年の春、女子短大を卒業し、新規採用された社員だ。


 この彼女の見かけや言動に反し、実際の彼女は生真面目で、そして強がりの寂しがり屋だ。


 それを知らない一部の女子社員から、謂れのない非常に陰湿で、心ない虐めを受けている事も、誰にも言わずにひたすら耐えている。


 パソコンのキーボードを、朝から休み無くカタカタと弾いていた私は、彼女の言葉を聞いて、顔を上げて微笑を浮かべた。


「そう、貴女もやれば出来るじゃない。良くやったわね、千代田さん」


 私は普通に微笑んで、彼女を労っただけのつもりだった。

 なのに、その途端、何故か彼女は頬を赤らめ、もじもじとし始めた。


(な、何?)


 ここは照れるような所ではないし、照れるような事も言った覚えも、した覚えもない。


 私が困惑し、千代田さんを見ていると、それらを見ていた他の社員は、あからさまな溜息を深々と吐き、呆れ果てた顔をした。


  


 

うん、長いし、肩も痛いので、今日はここまで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ