25、超能力戦争、終結
あの戦いの後、エスパーからは、闘也を指揮官にしてほしいと頼まれた。そして闘也は、快くそれを承諾した。そしてすぐに、終戦協定をサイコストと結んだ。だが、すぐに指揮官の場を離れた。だが実際、表向きはまだ指揮官をやっているということになっている上に、闘也の更なる政治を、エスパー達は求め続けていた。闘也がそれに応えまいとしていたのは、誰の目からも明白であった。
戦争の終結後、日本各地で、復興作業が開始された。食料が少ないだろうと、アメリカから食料等が送られてきた。そして、戦争終結から二年、炎天は見事復興し、戦争前の活気を取り戻した。
ちなみに、二年後ということで闘也達は中学三年となっていた。日本の政府から、全国の中学三年の高校は、好きなところに入れるようにしてくれた。さらに闘也達には特許が与えられ、各自が優先的に学校に入れるようにしてくれた。
闘也は、山の上で、振ってくる雪を眺めていた。今は、二〇一一年二月九日。戦争終結から、二年と数日の月日が流れている。受験勉強もする必要のない闘也達は、各自がゆっくりと過ごしていた。つい数日前まで、自分達も復興作業を手伝っていたのだ。それぞれが疲れていた。ふいに後ろから声をかけられる。
「乱州・・・・・・」
そこには、相棒の姿があった。復興作業以来、顔を見てなかった。
「よくここが分かったな」
「そりゃあな。お前、親がいないから児童施設に入れられんのがいやでここで住んでるんだろ」
「それはまあよくご存知で」
日本では、親のいない中学三年以下は児童施設で住むことになっている。だが、闘也はそれを拒否した。毎日、血のつながりのないものと一緒に住むのはごめんだった。だが、もう二ヶ月で、それも終わる。高校生になれば、勝手にアパートでもマンションでも一軒家でも建てて住めばいい。だからこそ、我慢していた。こんな生活は苦痛ではなかったが、居心地はあまりよくない。
「そういやさ、お前高校どこ行くか決めた?」
乱州が聞いてきた。確かに、あと二ヶ月で高校にいかなければならない。そのために決めておいたほうがいいだろう。いろいろと準備も必要だ。
「お前はどうすんだ?」
「俺は・・・・・・中央に行く」
「中央か・・・・・・」
「あそこさ、ここからもそう遠くないし、それなりの成績でも入れるらしいぜ。俺も、親からはそこが限度だって言われてさ」
「はっ。じゃ、俺もそこにすっかな」
「おっ!じゃあ、そこにしますか!」
「ああ。これからもよろしくな! 乱州!」
闘也と乱州は、互いの顔に笑みを浮かべたままに、軽く拳をぶつけた。
そんなことがあった二ヵ月後、闘也と乱州は炎天中央高校に入学した。中央には、的射と由利も入ると言っていた。だが、秋人は、あんたにはレベルが高すぎると親に言われ、仕方なく、ここより下のレベルの学校に入学したようだ。
入学式の朝、闘也は、乱州とともに中央高校へと向かった。この中央高校は、人気の高い学校で、炎天各地から生徒が集まってくる学校だった。
「川田翔太・・・・菊池健太・・・・魂波闘也」
一人ずつ生徒の名前が挙げられてゆく。その中でも闘也達の名前が出てきたときは、歓声が上がった。それほど名が知れたのだろう。驚きはしなかったが、当然だとも思ってなかった。その入学式の後、五クラスある中で、的射が一組、由利が三組、そして、闘也と乱州が幸運にも同じ四組だった。
そんな入学式から数日後、乱州が日直だからと言って、日誌を取りに行ったため、闘也はついていった。職員室まで少しあった。その途中、一人の少年の姿が目に入った。
「もしかして、闘也・・・・・・? 炎天北小学校の」
少年は驚いたようで、自らが闘也に対する言い方を間違えたことを悔やむように歯軋りしていた。
「小学校? まあそうだけど・・・・・・」
ここからは、あの少年の物語となっていく。どうやら、俺とあの少年は、同じ小学校だったらしい。記憶の中に彼を見つけた。名前は・・・・・・思い出せない。だが、すぐ思い出すだろう。
あの少年はサイコストだ。オーラが出ている。たぶん、カスタムではない。
戦いは終わった。だが、もしかしたら、また始まるのかもしれない。けど、そのときまでは。きっと、平和な時間が流れるはずだ。それが、闘也のした、誰にも分からない、小さな推理だった。
少年が、その目つきを鋭くして自らの名前を告げた。
その時からまた、闘也の時間は流れ出した。
桜の花びらが、風に流れていた。
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