私にラブコメは解らない
『心』のない読書家の少女×おっとりとしているけど主人公にはぎこちない『隠し事』の少女
特進の話。
「…だよな」
呟き、テスト用紙を畳む。
高校生初めての中間テストが終わり、全てのテスト用紙が返ってきた。
結果が悪く落ち込む人や、テストから完全に解放されスッキリした人など多種多様、それはこの特別進学クラス、特進でも変わらない。
私は、また100点に近い点数ばかり。昔からこう。特進だからといって喜ぶ気にはならない。
「テスト終わったー」「どうだった?」「うーん? ぼちぼちかなー」
遠くの席でおっとりと、友達と話す女子。
私と違って周りから避けられていない、むしろ人気者。おっとりとしているから自然と寄ってくるのだろう、小鳥が飛んでくる大木みたいに。
…。
さて、本を読もう。
引き出しから小説を取り出す。
「ね、ねえ」
ぎこちなく話しかけてくる。
「今日、本屋行かない?」
ぎこちない笑顔。
さっきまで自然体だったのに。
「本屋?」
「う、うん。一緒に」
「どうして?」
「ほらっ、テスト終わったし。ご、ご褒美にさ」
「一緒に行って、貴女に本を買ってあげるの?」
「うんっ。
ダメかな?」
「いいよ」
私はあっさりと返す。
別にこの子が嫌いな訳じゃない。
『心』がない、ただそれだけ。対人となると、余計冷たくしてしまう。心の中だけだと、多少ヒトらしくなるけど、多分。
「よかったー!」
子犬みたいに可愛らしく笑いかけてくる。無邪気に。
この子の『隠し事』をこの世界で唯一知っているから、こんなロボットみたいな私に、話しかけて、そんな顔を見せてくれる。
ぎこちないのは、まだ付き合い方が分かっていないからだろう。『作家になりたい』という夢を唯一知っている私との付き合い方が。
「マ、マンガがいいっ」
「わかった」
「いっ、一冊選ぶから。買って!」
「そうだね」
「えへへー。だからキミが好きっ」
「アンタ、本読むんだね。てか、今好きって」
「えー? 気のせいだよ」
席に戻り友達にごまかす作家志望。若干顔が赤い。
好き、と言われても、何も感じることができないんだけどな、やれやれ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




