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イケメン上司とボク  作者: 夏目 碧央


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3/17

仁の悪い癖

 付き合うってどうするのだろう。何をするのだろう。連休の間中、悶々と考えた。あのかっこよくて美しくて可愛らしい仁さんが、俺のこ、恋人になるなんて……。控えめに言って奇跡だ。

 とりあえずプライベートな連絡先を聞かなくては。会社から支給されているスマホでもメールや電話は出来るが、それをプライベートな連絡(こ、恋人との会話)に使うわけにはいくまい。

 翌営業日の火曜日、どんな顔で仁さんに会えばいいのかとソワソワしながら出社した。仁さんは相変わらず美しく、明るく元気だったが、いつもと同じだった。

 俺の方に特に目線を送るでもなく、至って普段通り。まあ、仕事中だから当たり前かもしれないが……。とにかく昼休みにはちゃんと話したい。

 午前の仕事が終わり、昼のチャイムが鳴るや否や、俺は仁さんのデスクへと向かった。

「仁さん、一緒にご飯、いいですか?」

すると仁さんは面食らったような顔をして、

「お、おう。いいぞ。」

と、ちょっと体を引き気味に答えた。俺の鼻息が荒かったからかもしれない。


 社食でプライベートな話はできないし、どこかの食堂だとしても、知人に話を聞かれてしまうかもしれない。俺たちはキッチンカーに並んで弁当を買い、近くの公園のベンチへと向かった。ここならば、真後ろに会社の人がいる可能性はない。

「いい天気だな。暖かい。」

仁さんがそう言ってベンチに座った。

「そうですね。」

俺も座る。弁当を開けながら、

「それで?何か話があるのか?」

と、仁さんが言う。話って……付き合っていたら一緒にお昼を食べてもいいのでは。

「えっと、その……」

とはいえ、そうはっきりとは言えない俺。

「そうだ、あの、プライベートな連絡先、教えてもらえませんか?」

俺がそう言うと、

「何で?」

意外な反応が返って来た。快く、当然のように教えてくれるものとばかり思っていたのに。

「ダメ、ですか?」

俺が急に自信を無くしてそう言うと、

「いや、いいよ。また飲みに行く時に必要だしな。」

そう言って、仁さんがスマホを出した。俺も出してLINEの交換をした。

 そして、黙々と弁当を食べる二人。どうもおかしい。連絡先の交換に、また飲みに行く時に必要だなどと名目が必要か?付き合っているならば当然ではないのか?つまり……俺たちは付き合ってはいない?!

「あの、仁さん、金曜日の事、覚えてます?」

俺は恐る恐る聞いてみた。

「ん?金曜日?ああ、もちろん覚えてるよ。お前と一緒に飲みに行って、カラオケに行ったよな。」

よかった、と思ったのも束の間。

「でも、カラオケに行って歌い始めたところまでは覚えてるんだけど、どうやって帰ったかは覚えてないんだよなあ。俺、飲み過ぎてたか?」

ガーン。ということは、別れ際のあのシーンも当然覚えていないという事か。

「ん?どうした?俺、何かしたか?」

仁さんが真顔になって聞く。ちょっと青くなっているとも言える。

「あ、いえいえ。だいぶ酔ってましたよね。でも、ちゃんと独りで帰ると言って、地下鉄の階段を下りて行きましたよ。俺が知っているのはそこまでですが。」

笑顔を作って言った。精一杯何でもない様子を装って。

「そっか。良かった。迷惑かけてたらごめん。」

「いえいえ。」

そこで話は終わった。


 後日、休憩所で仁さんに会った時にふと聞いてみた。

「仁さん、酒を飲んだ後に恋愛トラブルになった事、ありません?」

すると仁さんは、コーヒーを口に運ぶ手を止め、こちらを向いて言った。

「ある。付き合おうって言われたって女性がいた。」

やっぱり。

「三人くらい、いたかな。」

ちょっと考えた仁さんは、そう言ってコーヒーをすすった。俺はショックで、その後の会話が全く頭に入って来なかった。


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