レベルアップとクラスの呪い
マナは生物に蓄積される。
異世界で、マナを浴びることで、マナを蓄えたモンスターを倒すことで、マナを持つ素材を採集することで。
蓄積されたマナは、肉体を作り変える。
ゲームのレベルアップのような話。
直接、ゲート近くのマナの薄い所だが、マナを初めて直接に浴びた俺。
家に帰るとふらつき立っていられなくなった。
そのまま、医務室のベッドに横になって休まされる。
起きたのは夕方だった。
「初めてのレベルアップはどうです?」
母が、俺を見てくれていたようだ。
「…なんか万能感がある。あと、お腹が減った。」
「測定は終わってるから、後で結果を聞くといいです。とりあえず、ご飯用意していますよ。」
俺は、食堂まで、歩いていき、食事を済ませた。
味が繊細に感じる。
いつもより、美味しいかも…。
「レベルアップすると、味覚が進化するんです。どんどん食事が楽しくなりますよ。それに、今までマナが強くて食べられなかった異世界食材も食べることができるようになりますから食に飽きることは無くなります。今日のデザートは調理したガガニポナの実ですから、よく味わってくださいね。」
ガガニポナの実。
あのでかいのか。
だが、思った感じではなかった。
普通にさくらんぼサイズの赤い実が出てきた。
俺は、それをひょいと食べる。
甘いとかみずみずしいとかそういう表現が最初に浮かぶ。
しかし、ほのかな苦味と質量感。
体に染み込む樹木の丈夫さがどんどん広がる。
柔らかく、ほろりと崩れてしまう実は、そのままのど奥に消えていった。
俺は、言いしれぬ感動で涙が流れていた。
「食のために探索者を目指す人も多いのですよ。あなたは、探索者になりたいと言っていましたが、どんな目的や夢を持っていたのですか?そこの所をもう一度考えてみるといいと思います。」
母も出された、ガガニポナの実をちょいとつまんで食べた。
美味しそうに食べてはいたが、感動とまではいかないようだ。
「私を満足させる料理をあなたが作ってくれる日が来ると嬉しいです。なんて…。」
母は食堂を後にした。
残された俺は、ちりりとやる気が燃える感覚を感じた。
「検査結果は、旦那様の執務室でお伝えいたします。」
執事の藤原さんが、伝えてくれたので、俺は父の執務室へ向かった。
アカル・シジョウ
保有マナ量 LV1 相当
強化回数 1
クラス:壊れた器 LV956/∞
基礎能力
生命力 13 成長率G
体力 11 成長率G
魔力 12 成長率G
精神力 11 成長率G
回避距離10 成長率G
回避速度11 成長率G
知力 10 成長率G
運 10 成長率G
魅力 11 成長率G
耐性
毒10、麻痺10、気絶10、石化10
混乱10、魅了10、
火10、水10、土10、風10、
雷10、氷10、
星0、滅び0、死0
技…なし
魔法…なし
スキル…なし
加護…なし
父から渡された検査結果を確認する。
気になるのは1つ。
「…壊れた器?」
「ああ。どうやら、技や魔法やスキルを習得するエネルギーをクラス強化のエネルギーに変換するというクラスなんだそうだ。」
「じゃあ、俺が今まで何も習得出来なかったのは…。」
「そうだ。このクラスが原因だ。」
「このクラスをどうにかできれば、俺も魔法や技を使えるようになるんですか?」
「ああ。」
「そうなんだ…。」
「アカル。わかっていると思うが、このクラスをどうにかするのは難易度が高いぞ。」
「上限∞をどうにかしなきゃってことですか?」
「そうだ。クラスは消せるものじゃないからな。」
「上限∞って、どうにか出来るんですか?」
「普通のやり方じゃ、まず無理だろう。でも、なんとかする方法に心当たりがある。」
「…。」
「クラスレベルを上限まで上げるという効果のアイテムがあればいい。頑張れば作れるはずだ。」
「錬金術ですか?」
「ああ。難易度はSランククラス相当だがな。私も用意しようと思えば、出来るぞ。どうする?用意しようか?」
「いいえ。いらないです。このクラスとは、15年の付き合いですから、自分でなんとかします。行き詰まったらアドバイスをください。…それくらいで頑張れます。」
「わかった。しっかり、やりとげるんだぞ。」
「はい。」
新しい目標ができた。
クラスをどうにかするアイテムを作る。
そうすれば俺も技や魔法が使えるようになる。
今まで、真っ暗な出口のないトンネルを進んでいたようだった。
でも、これからは出口を目指して進める。
やってやる。
克服してやる。




