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ゲートと異世界と探索者  作者: 悪役
2/12

準備

離れのカギを使い、中に入る。

錬金釜、魔炉、各種のガラス瓶、調理道具、魔導板、それに、異空間収納箱、簡易鑑定メガネ。

いい感じのレイアウトで、並んだそれらを見るとやはり心が踊る。


灯羅兄さんからもらった、マジックバッグの中身もチェックする。

拳を守るグローブに、剣が3種類、斧に槍、小盾、杖も3種類、それに、鎧2着。

切り傷用の軟膏と、ポーションいくつか。


19時には、家族で食事をし、妹の灯花の相手をする。


「アカル兄、探索科に行くの?」


「ああ。」


「私も研究科やめて探索科に行こうかな…。」


「灯花は、俺より強いもんな。無理はしないで、慎重にな。…。」


俺は、父と同じことを言ってることに気づき、少しおかしく思った。



探索科への入学は次の日、すぐに決まった。

30日後の4月5日が入学式となる。

家庭講師の授業しか受けてこなかった俺は、少しの不安と少しのわくわくを感じつつ、準備を進める。


家庭講師の座間さんは、俺に最後の指導をしてくれた。


「魔法も技もスキルもないアカルさんは、モンスターとの戦いは厳しいものとなるでしょう。無理はしないように。」


「座間さん。俺は、魔法とか使えるようになりますか?」


「魔法を使うには、魔力、技を使うには、体力、スキルを使うには、精神力が必要です。それぞれの力のエネルギーを使用して、行使に至ります。呼吸だって、体力を消費している。つまり、呼吸も技と考えることもできる。だったら、他の技を使うことだって理論上は出来るはず。そう思いませんか?」


「…先生。うまくはぐらかしてませんか?」


「さあ、どうでしょう。でも、そうやって考えれば、気も楽だと思いますよ。案外、覚える時は、すぐに覚えられるかもしれません。そんなものなんです。」


「俺、15年覚えられていないんですけど…。」


「悲観的にならないでください。あなたの努力はあなたを裏切らないはずです。だから、大丈夫です。」


「はあ…。わかりました。前向きにってことですよね。」


「概ね、その通りです。」



座間は、アカルのこの状況について、アカルの父母とも相談している。

アカルが一向に魔法も技もスキルも覚えられないこと。

あれだけ、剣に打ち込んでも剣術スキルが身につかないこと、基本のスラッシュの技さえ覚えられないこと、クリエイトウォーターや、着火の魔法すらできないこと。

努力はできるが、不器用で、効率も悪く、記憶力も弱いこと。

座間は、彼を落ちこぼれとは見ていない。

普通だ。

普通の15才の少年だ。

生まれが良家でなければ、認められていた。

そんな少し残念な少年。

それが、四条アカルなのだろう。


「彼自身に向上心があるのが、可哀想なところです。」


座間は最後の指導を終えて、自身ではどうにも出来なかったアカルに申し訳なさを感じながら、用意していたアカルへの入学祝いをアカルの父へ渡しに行った。

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