医務室と寮の部屋
目を覚ますと、そこは屋内だった。
「起きた?」
俺の気配に気づいて声がかかる。
「ここは?」
「見ての通り学校の医務室よ。これから、何度もお世話になる場所だから、覚えておきなさいな。…それより、あなた、学校始まって以来初めてじゃないかしら。学校に付く前の船で喧嘩して、医務室送りって。」
「お恥ずかしい限りです。」
「普段からあんなに、喧嘩好きなわけじゃないよね。相手の挑発スキルにでも捕まっちゃったのかしら?」
「確かに、いつもより喧嘩に対してのハードルが低かった気もします。」
「相手は、軍部のガルナ大将の息子さん。何を考えてるんだか?」
「ライ様は、ただ、貧弱な奴か試したかっただけだそうです。」
いつの間にか、制服の女子生徒が入ってきていた。
「君は?」
「ライ・ガルナ様の付き人をしておりますリズ・イファラと申します。ライ様からご伝言を預かっております。お伝えしてもよろしいでしょうか?」
医務室の先生は、俺の方をチラリと見る。
聞くかどうかの判断を任せてくれたようだ。
「…聞かせてくれ。」
「貴族様は、気に食わないが、お前は根性がある。俺の下につけ!…以上です。お返事ははいかYESでお願いします。」
俺は、少し考えた。
そして、考えた答えを告げる。
「俺はここで、折れるような根性してないんで。下にはつかん。横なら喜んで。と伝えてくれる?」
ライの付き人のリズは、困った表情で、何度も、いいんですか?このまま伝えちゃいますよ、と言ってきたが、最後はきちんと伝えに行ってくれたようだ。
外に出ると、もう夜だった。
先生に案内されて、寮に向かう。
桜崎錬たち5人組が待っていてくれたようだ。
俺を見つけて、訓練の手を止め、迎えてくれた。
寮の部屋は2人部屋だった。
相手は、ライ・ガルナだった。
二段ベッドを何故か、ぶち壊し、横に並べている。
「おう。四条。リズに聞いたんだが、これでいいのか?」
…これはいいのか?
まあ、いいか。
「ああ、お前、ライって言うんだな?」
「ああ。船の上では悪かったな。」
昔、ライの祖父が、貴族をかばい、右腕を失った。
その時、品薄だった欠損回復薬を多額で買わされたこと。
ライの父が、貴族の遊びで、魔法を暴発する事故に巻き込まれ死の淵をさまよったのに、見舞いにもこなかったこと。
その他、色々。
ライは、本当に貴族が嫌いだったが、その理由まではアカルに話さない。
アカルは、今まで会ってきた貴族とは何か違う気がした。
だから、嫌いな貴族の話をしても仕方ないと思ったのだ。
アカルはと言うと、こちらも毒気が抜かれて、壊れた二段ベッドに荷物を置く。
その後すぐに、風呂の時間を伝えに来た先生に、壊したベッドが見つかり、早速、2人で正座で、怒られた。




