準備
次の日は、相変わらず剣を振るっている俺のところに灯羅兄さんがやってきた。
「肉体操作と魔力操作取れそうか?」
「え?」
「え?じゃないだろ?縮地の技とテレポートの魔法教えてもらうんだろ。」
「あ。」
「忘れてたのか。まあ、できることが増えたんだ。色々、手を出したい気持ちはわかるが。」
「灯羅兄さんは、あと4日で、肉体操作と魔力操作取れると思う?」
「取るしかねえだろ。手伝ってやるから。頑張れよ。」
「わかった。…それで、どうすればいいの?」
「まず、集中とゾーンも使えるんだよな。それ使ってみろ。」
俺は、言われた通り、集中とゾーンを使う。
「肉体操作っていうのは、反射神経の否定だ。だから簡単に取りたいなら、逃げたいと体が思うのを無視すればいい。つまり、精神バフかけまくって、逃げたい状況作ればいい。…そんなわけで、絶対逃げるなよ。」
俺は身構える。
灯羅兄さんは、いつもいきなりだ。
灯羅兄さんが、俺に精神系のバフをかける。
そして、剣を抜く。
殺気の重圧。
体が反射的に後ずさる。
「下がるな。意志を強く持て!」
俺は、しっかり、地面を踏みしめる。
そして、気絶した。
起きると、灯羅兄さんが笑っていた。
「多分しっかり、取れてると思うぞ。」
「死んだと思った…。」
「殺す気で行ったからな。」
「このまま、魔力操作もお願いしていい?」
「ああ。いいぞ。魔力操作は、簡単だ。俺が、背中に手を当てて魔力を動かしてやるから、それに合わせて慣らしていけばいい。…まあ、立てるようになってからだな。」
言われて気づく。
生まれたての子鹿のように震えて立てない。
「灯羅兄さん…加減効かなすぎだって。」
「ははは。悪い、悪い。」
しばらくして、無事、魔力操作もとれた。
ついでに「立ち向かうもの」というクラスも身についていた。
クラスLVに応じて、自分よりも強い者と戦う時に、萎縮しないで戦えるようになるというクラスだそうだ。
「ところで、今日は、休みなの?」
「ああ。たまにはな。」
灯夜兄さんは、18才で、今年で、探索科の桜花という有名高校を卒業した。
現在は、すでに先んじて、四条関連の企業の探索者として、働いている。
灯羅兄さんは、雪仙という桜花と対を成す有名高校の3年になり、灯花は、桜花中等学院の研究科の2年になる。
皆、ひまではないはずなんだが、俺に付き合ってもらっていいのだろうか。
「気にすんな。好きでやってんだから。」
灯羅兄さんは、ばしばしと俺の背中を叩く。
ちょっと痛いくらいのその力加減が暖かかった。




