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封印された少女
――人は、数字で生きる。
そう教えられてきた。
“レベル”という数値が高ければ、高いほど価値がある。
逆に、低ければ低いほど、社会から見捨てられていく。
私はその、最下層にも届かない“存在しない値”だった。
第一測定で記録された数値――マイナス999。
「測定エラーですか?」と誰かが言った。
けれど装置は確かに言ったのだ。
《レベル:-999 危険指定》
その瞬間、測定室の空気が凍りついた。
それ以来、私は「災厄の子」と呼ばれた。
十年の間、隔離地区の奥で暮らした。
窓の外に見えるのは、鉄柵と監視塔。
外の世界を知らない。
ただ、毎日同じ音――測定機の電子音と、看守の靴音。
けれどその日。
古びた測定器が、突然、独りでに光を放った。
「再測定を開始します――対象、カナ・リース。」
私は息を呑んだ。
そんなはずはない。この装置はもう、電源が落ちているはずなのに。
次の瞬間、世界が弾けた。
視界が白に染まり、身体の奥底で何かが軋む。
心臓が、痛い。けれど……熱い。
――封印、解除。
その声が聞こえたとき、
私の手の甲に黒い紋章が浮かび上がっていた。
「……これは、なに?」
測定器の声が答える。
「レベル更新――∞(インフィニティ)」




