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26:【決着】
わたしは一人、帰り道で泣きそうになる。でも、堪えた。泣いたらだめだ。わたしが決めたことだから。
玄関の扉を開け、靴を脱ぐ。
「あ、遅かったねるりーご飯もう…」
その瞬間、ゆうの表情が変わった。
「どうしたの…」
わたしはゆうの胸に飛び込む。
溢れてきた涙が止まらない。
「…おかえり、るり」
悟ったゆうは優しい声で言う。
ゆうは私の頭をぽんぽんと撫でた。
「頑張ったね」
その言葉を聞いて、抑えていたはずの声を出して泣いた。
やっと決着が付いたこの想い。ずっとずっと、引きずるだろう。でも、それは未来で読む小説の一ページになるのなら…。そんなふうに考えた。
「…友達として…もう一回、始めようか」
ゆうは優しい声で言う。
わたしは泣きじゃくりながら頷いた。
「大丈夫、あんたはいい女になるよ。将来見返してやりなさい」
ゆうはどこまでも優しい声でわたしを包んでくれた。




