前へ目次 次へ 19/35 19:【旋律】 「あ、琴音!」 わたしはそわそわとして声をかける。電車が遅延した時もそんな気持ちでいっぱいだった。やっと一緒に遊びに行ける。今度は『友達』じゃなくて『恋人』として。それがすごく嬉しくてドキドキする。 駅の広場では、あの旋律が聴こえてくる。 「…美音…」 「なんか…苦しそう」 わたしは何となくそれを感じ取った。 美音はもう一曲弾き終わると、わたし達を見た。 しかし、美音はこちらへ来ることはなく、また鍵盤を見つめるとそこに手を乗せた。