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19:【旋律】

「あ、琴音!」

 わたしはそわそわとして声をかける。電車が遅延した時もそんな気持ちでいっぱいだった。やっと一緒に遊びに行ける。今度は『友達』じゃなくて『恋人』として。それがすごく嬉しくてドキドキする。

 駅の広場では、あの旋律が聴こえてくる。

「…美音…」

「なんか…苦しそう」

 わたしは何となくそれを感じ取った。

 美音はもう一曲弾き終わると、わたし達を見た。

 しかし、美音はこちらへ来ることはなく、また鍵盤を見つめるとそこに手を乗せた。

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