三夜目 悪夢を見てみた
三日目にしてもう書くのが嫌になる日が来るとは思わなかったな。はぁ、今日は正直ずっと体調が悪かった。昨日の魔虫のせいもあるかもしれないが、それだけじゃ無かった。
これは十中八九、夢狼の仕業だ。夢狼、捕食対象を呪いで眠らせ、悪夢を見せることでジリジリと命を削り刈り取る魔獣。夢狼の呪いを事前に防ぐことは非常に難しいとされている。なぜなら、呪われていても他人からは寝ているようにしか見えず、呪いに気づくことがほぼ不可能だからだ。対処法は、呪われた相手の命が完全に削られてしまう前に誰かが解呪の術式で呪いを解くか、呪いを受けた本人が夢の中で悪夢を打破するしかない。
もちろんパーティを組んでいれば、警戒は難しくない。しかし、今の私はソロの身。就寝前に退魔の術式は張っていたが、これは魔物の物理効果・魔法効果にしか効かない。呪いは魔法とは全くの別物だ…。くそ、失念していた。
悪夢の内容は……やめておこう。あんなこと、書き残す必要はない。そう、大丈夫だ。あれは夢、起こり得ないことだ。あんなこと、起こっちゃいけないんだ………。
なんとか悪夢から抜け出すことは出来た。レインドには感謝しないとな。
本当、最悪な朝だった。今日は一日動かず、ここに滞在した。退魔の術式と陰影の術式のおかげで魔物たちに気づかれることは無かった。
もう、寝るのが怖い……。
でも明日は動かないと。寝ないといけない。こればっかりは運だ、夢狼に襲われないことを祈るばかり。