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夜想曲は夢に願ふ  作者: 花ちゃん見習い
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二夜目 寝坊してみた

 今日は起きてびっくり、大寝坊。めっちゃ熟睡というか安眠できてて、体の調子がすごく良かった。きっと昨日までの睡眠不足の影響なんだろうけど…。やれやれ、我ながらこういう図太さというか楽観的な考えには驚いてばかりだ。普段は気にしてなかったからなぁ。あいつらの気持ちが少し分かった気がするよ。

 でも明日からは気をつけないとな。ソロだと、休憩時の見張りの時に変わってくれる人もいないんだし。効率よく回復できるようにしていかないと。

 そうそう、迷宮にいる私がどうして時間が分かったかも説明しておこうかな。と言っても、簡単な話なんだけど。私は“陽石”を持ってるんだよね。陽石っていうのは、端的に言うなら小さな擬似太陽だね。陽が昇ると光り、陽が沈んで夜になれば光も消える。私は錬金術師でも鉱石家でもないからややこしい仕組みとか説明はできないんだ。なんでも、錬金術の名家として名高いファクトリア家のご先祖が陽神から賜ったものらしい。そしてそれから採取されたのが、探索家や冒険家に重宝される陽石ってわけ。特に迷宮じゃ時間感覚は狂うし、火を起こすのは良くないとされているからね。大事な光源だ。

 ま、私には耐毒の術式あるから関係ないけど。

 しかし、今日はどうにか階層の起点か終点となる“レポートポイント”に辿り着きたかったんだけど、やっぱり無理だったね。

 と言うわけで、今日はリラックスデイにしてみました!えっと、まず何したんだっけ。快眠からようやっと体を起こして…………なんだっけ?

 ああ、思いだした思い出した。まずとりあえず移動を開始したんだよね。迷宮では留まった者から消えていく、なんてことは私でも知ってる常識だ。体力はあるんだから行動しないとね。そう、それで歩いている間、神様にお祈りしてたんだった。「生きて帰還できますように。帰ったら妹と遊んであげるんだ…」ってね。迷宮内部には教会も神殿もないから神様に届いてるかは微妙だけど、気安めにはなったかな。

 人によっては長い時間を迷宮で過ごすと病んでしまうこともあるんだとか。私は今回が初迷宮だもんで、病みやすい人間かどうか分からない。ま、どうにかなるよね。

 そんでしばらく歩いたあと、陽石の光が弱まり出したから野営地を確保して夕食を食べたんだ。今晩はリラックスデイ。ご飯も豪勢にしないとね!!今日のディナーメニューは、魔豚の丸焼きと魔虫のスープ。道すがら見つけて狩っておいたんだ!こんがりと焼けた魔豚の香ばしい匂いとワイルドな味が最高に美味だった。でも魔虫のスープは失敗だったな。魔虫の溶解液がアクセントになると思ったんだけど普通に痛かった。てか今もお腹痛い…。もう二度と食べないです。

 満腹になったあとは吟遊詩人に教わった、ある英雄の詩を口ずさんだ。私のお気に入りの詩だ。口吟はやっぱり良いね。心が満たされていく。

 陽石の光はすでに消え失せすっかり暗くなった迷宮に、ぼんやりと浮かぶ焚き火を眺める。

 すごく綺麗だ……。

 最後に地上で見た夕焼けもこれくらい燃えていたかな。

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