サイバー・クォータへの挑戦
夜の未来都市ネオ・アトラスは、昼間とは違う顔を見せていた。空中を飛び交うホログラムの広告が鮮やかに輝き、街全体を怪しげなネオンブルーに染めている。その中で、アレックスはビルの屋上に立ち、じっと街の喧騒を見下ろしていた。
「サイバー・クォータ……最初の試練だな。」
彼の隣には、リナが立っている。リナは仮想空間のAIであるため、透明感のある姿をしており、風にたなびく銀色の髪が幻想的に見えた。
「ええ。サイバー・クォータは、サイバー・ピースを手に入れるための最初のステージ。そこに眠る『最初の鍵』が必要なの。」
アレックスはうなずき、サイバースペースへのアクセスを開始する。
アレックスとリナは、再びサイバースペースにダイブした。そこは現実とは異なる、色とりどりのデジタルの光が渦巻く幻想的な世界。空中には浮遊するデータの島々が広がり、その奥には巨大な扉が見える。扉には「サイバー・クォータ」と書かれた文字がデジタルの輝きで浮かび上がっていた。
「ここがサイバー・クォータか……」
アレックスはその巨大な扉に一歩ずつ近づいていく。その時、扉の前で何かが動いた。黒いフードをかぶった男が現れ、アレックスを鋭い目つきで睨んでいる。
「ここを通るには、俺を倒すしかない。」
男の名は「クロウ」。彼はサイバー・クォータの守護者であり、サイバー・ピースへの挑戦者を試す役目を担っていた。アレックスは剣を握りしめ、戦闘態勢に入る。
「行くぞ、リナ!」
「了解。サポートするわ。」
リナはアレックスの背後に回り、彼に必要な情報をリアルタイムで提供する。クロウは右手を上げ、闇のような黒いエネルギーの剣を生成すると、アレックスに向かって突進した。
「避けろ、アレックス!」
リナの声に反応し、アレックスは間一髪で攻撃をかわす。クロウの剣は鋭く、アレックスは冷や汗をかきながらも反撃を試みた。
「はぁっ!」
アレックスはデジタルの剣を振りかざし、クロウに斬りかかる。しかし、クロウは素早く反応し、アレックスの攻撃を紙一重でかわした。その瞬間、クロウの口元が不敵にゆがむ。
「なるほど……お前、なかなかやるな。」
クロウは今度は左手から新たな剣を生成し、二刀流でアレックスを襲った。アレックスは必死に防戦するが、クロウの攻撃は重く、徐々に押され始める。
「このままじゃ……!」
アレックスの頭に焦りがよぎる。だが、その時、リナが冷静な声で彼に助言を送った。
「アレックス、彼の攻撃パターンに規則性があるわ。次の攻撃は、右から来るはず!」
リナの言葉に従い、アレックスは右側に防御を集中させる。予想通り、クロウの剣が右から迫ってきた。アレックスは剣でそれを受け止め、カウンター攻撃を繰り出す。
「くらえ!」
アレックスの剣がクロウの胸をかすめ、黒いエネルギーが散った。クロウは驚いた表情を見せたが、すぐに笑みを浮かべた。
「おもしろい……お前、本気でサイバー・ピースを手に入れようとしているのか。」
「そうだ。この腐った世界を変えるために、サイバー・ピースが必要なんだ!」
アレックスの決意のこもった言葉に、クロウは一瞬だけ目を見開いた。
「ならば、俺も本気で行くしかないな……!」
クロウは全身に黒いオーラをまとい、力を解放する。その姿はまるで闇そのものだった。アレックスは一瞬怯むが、すぐに踏みとどまり、リナと共に再び戦闘を開始する。
激しい攻防戦が続き、アレックスとクロウは互いに一歩も引かない。だが、アレックスは次第にクロウの動きを読み、攻撃のリズムに合わせた反撃を繰り出すようになった。
「リナ、今だ!」
「了解!」
リナのサポートによってアレックスはクロウの隙を見つけ、全力で剣を振り下ろした。クロウはその一撃を受け止めきれず、吹き飛ばされる。
「ぐっ……!」
クロウは膝をつき、力尽きた様子を見せた。だが、彼はなおも笑っていた。
「お前、本当に強いな……だが、サイバー・ピースへの道は、まだまだ険しいぞ。」
「それでも、俺は進む。どんな試練が待ち受けていようと、絶対にサイバー・ピースを手に入れる。」
アレックスはクロウに向かって真っ直ぐな眼差しを向けた。クロウはその決意を見て、満足そうにうなずく。
「ならば、最初の鍵を授けよう。これが、お前の次の道を開く鍵だ。」
クロウはポケットから青いデジタルキーを取り出し、アレックスに手渡す。その瞬間、サイバースペース全体が明るく輝き、巨大な扉が開かれる音が響いた。
「ありがとう、クロウ……!」
アレックスは感謝の言葉を伝え、リナと共に次のステージへと歩み始めた。サイバー・ピースへの道は、まだ始まったばかりだ。
次回予告: 次なる試練「フォレスト・コア」へ!
第2話では、サイバー・ピースへの最初の試練「サイバー・クォータ」を描きました。アレックスの戦闘スタイルやリナのサポート能力がより詳しく描かれ、物語の緊張感が増していきます。