3.ふんどしを求めて
まじか
俺は異世界転生してしまったようだ。
というか今更ながら俺って誰なんだ。
前世?とかがあったのかもしれないけど自分が何だったのか思いだせない。
自分に関連しない知識情報とかなら幾らでも思い出せるのに。
さっき目が覚めた時に軽く状況整理したはずなのになんでこんなこと思い至らなかったんだろうか。
本当に「ココハドコ?ワタシハダアレ?」状態だ。
考え込んだって仕方がないしとりあえず◯ん◯んを隠そう。ここは森の中だし丸出しでいるのはリスクが大きい。
俺は気合を入れてち◯ち◯を隠せそうな物を探すために歩き出した。
幸いにしてそれは直ぐに見つかった。
木から垂れ下がっているツルだ。これを巻き付ければふんどしのようにいい感じに◯◯◯◯が隠せるに違いない。
俺は早速ツルを掴むと引きちぎるために腕に力を込めた。
「ギギャアアァァァ。」
気合を入れ腹から声を絞り出した。
汚い声で自分でも驚いた。というかギギャしか喋れないようだ。
「ハァハァハァハァハァハァ。」
無理だ。
だが問題ない。人間の頃と違って俺の手には鋭いトカゲのような爪がある。
腕力がないのなら切ればいい。俺はツルを切るために爪をツルに押し付けギコギコと動かした。全く切れそうにない。というか爪の側面はそこまで鋭くない。
俺は爪を立てて爪の先で引っ掻くようにちょっとずつツルを削っていく。
ベリッ
俺の人差し指の爪がめくれた。
「ギャアアアアアアアア。」
痛い痛すぎる。恐らく俺が前世でも感じたことのないほどの痛みだ。
涙が出てくる。あと鼻水も
5分ほど血が滴り落ちる指を押さえながら蹲りもん悶絶した。
まだ爪はたくさんあるがこれだけの代償を払って得られたのがツルに付いた少しのひっかき傷などとても割に合わない。
俺はツルを切ることを諦めることにした。覚えてるよツル。次会う時はズタズタに引き裂いてやるからな。
心のなかでそう呟き俺はツルに背を向けた。
俺は◯◯◯◯をツルで隠すことは一旦諦めてサバイバルの基本である水を探すことにした。
人は水がないと3日で死ぬらしい。
だが俺は肝心なことに思い至る。飲水ってどうやったら手に入るんだっけ?
思い出せ俺テレビで無人島に行ってた方々はどうしてた。
水自体は洞窟の前の川で手に入るとして直接飲むのはそれなりに勇気がいる。
濾過は何の持ち物のない今の状態の俺には不可能だ。
じゃあ沸騰させて煮沸させるしかないが生憎火を持っていないし火を手に入れることも難しいだろう。
最悪このまま飲むしかないが取り敢えず水は手に入った。
なら次の目標は食料になりそうな物を探すことだ。
とりあえず次の目標が決まったから行動しよう。
突っ立ってたって食料は手に入らない。
俺は鈍い痛みが走る指を押さえながら歩き出した。
人の不幸を書きたくて戻ってきました。主人公と自分と重ね合わせないほうが楽しめると思います。