召喚されたのは勇者2
馬車に揺られている間窓から見える景色に目を奪われていた。
見たことのない鳥や川から跳ねる魚など否応にも自分が知る世界じゃないことを思い知らされる。
そうしているあいだミルフィは静かにこちらを眺めていた
そしてしばらく城壁が近づいてくる10メートル以上はあるだろうかうっすら黄色の様なレンガが積み重なっているような城壁だった
大きな門の前までつくとエクレが衛兵とやり取りをしているような声が聞こえ、しばらくすると門が開けられる
馬車が引かれ門を超えるとそこには大きな道の先にさらに大きな城をが見えていた
真ん中の大きな道左右に市場のような建物や住宅街が並んでいる
当然だが行きかう人々は全員犬や猫のような耳と尻尾がついていた
城の前には橋が架かっておりそこを超えると馬車が止まる
「お疲れさまでした。降りましょう」
自分のほうの扉が先に開いたので慌てて先に降りる。
先に降り乗り込んだ時とは逆にミルフィに手を差し出す。
「ありがとうございます」
シンクの手を取りミルフィが馬車から降りる。
その時隣に立っていたエクレににらまれている気がする
「私は馬車を片付けてから向かいます」
「では、」
そういってさっさと鳥のような生き物を引いて行ってしまった
「では行きましょうか」
ミルフィがさっと歩いていくので慌てて後を追う。
城に入ると広い大広間のように開けた場所でとこどころ豪華な装飾に目を奪われた。
左右に扉がいくつか並んでおり真ん中には赤いカーペットが引かれている。
そのままカーペットの上を歩いていき真ん中にある衛兵が開けた扉を進んでいく。
玉座というのだろうか入って右側には大きな窓、左には国旗のような紋章が入った垂れ幕のようなものが垂れ下がっていた。そして奥には王が座るような文字通りの玉座何より一番目を引いたのはその奥にある縦に長い水色のようなでかい水晶のような綺麗な石であった。
「こちらへどうぞ」
窓際にあるテーブルに進められる
お互い対面で座りミルフィが口を開く
「まず急にこの世界にお呼びしてしまったこと申し訳ありませんでした」
「やっぱり僕の知ってる世界じゃないんだね」
「はい、この世界は多元世界テグマークと呼ばれています。」
「多元世界?」
「いろんな世界からいろんな種族が訪れているんです。
私たちの祖先も異世界から来たといわれています。」
「なるほど…」
特にわかっているわけではないが適当に相槌を打つ。
「ということは僕のほかにも今この国に呼ばれてる人がいるってこと?」
「いえ、かなり以前から管理されていて一国で一人しか呼べないようになっているんです。」
「世界の均衡を保つ為と言われています。」
少し間を開け
「とりあえずもっと詳しい話はあとにして本題に入りましょうか」
聞きたいことは山ほどあるが頷く
「この大陸には近くに二つ、合わせて3つの国があるのですが今そのうちの一つの国と戦をしている最中なのです」
「戦…」
頭に浮かぶのは戦争的なもの…
「いまセプテンス共和国は危機に陥っているのです。」
話を聞く限り、戦で領地を奪われていること、そのことにより国の貯蓄を切り崩し凌いでいること、使える街道が限られているためも出来ないなど聞きなれない話についていけない
「いろいろ問題があるのですが答えは簡単で、シンクに戦に出てもらい勝利を納めてほしいのです。」
戦に出てほしいといわれても困る
何せ喧嘩すらしたこともないし、何より人を殺すことなどできるはずもない
「戦に出てほしいといわれても戦ったことなんてないし、まして人を殺すことなんてできないよ」
当然のことをいったつもりだがミルフィの顔はきょとんとしていた
「戦では殺生事は起きませんよ?」
「え?」
「私たちが行うのは興業としての戦なのです」
「なので誰かが死ぬということはありません、武器を持つのは当然ですが」
にわかには信じがたいが言葉に詰まる
「実際の戦いはあとで見てもらえればわかると思います」
話を続けますねと間を置き
「シンクを私たちは勇者としてお呼びいたしました。誰でもいいわけではなかったのです。
この世界に来る前紋章石と呼ばれる石を付けた犬を見たと思います。
「ああ、そういえば…」
「小太郎という名前の犬なのですが、その存在に気付ける人はごく稀なのです。
ですのでシンクにはこの世界で戦える特殊な力があります。」
「戦う力って言われてもなぁ」
にわかには信じられない。
「では実際に力を試してみませんか?」
実際戦えないので見てもらえればわかることだろう
力になりたいとは思うけど…