日常に勇者を1
暖かい日が照らしていたここセプテンス共和国
中央に城があり周りには住宅街や市場外側には高い城壁が建てられている。
その中央の城の中とある会議室
円卓の周りに10人ほど腰かけていた
「やはりこのままでは前期も赤字になりますな」
第一声口を開くのはこの国の大臣だ
「この前の戦も負け、ここ3年程負けが続いてるのでは仕様がないとも言えますが…」
「今年は貯蓄で賄えるとして、来年は税を上げるしかなくなりますな」
それに続きほかの家臣たちが続ける
「やはり戦で勝てなければ」
「おっしゃる通りですな」
ざわざわと声を立てる
やがて白羽の矢が一人に向けて刺さる
「フェリオス団長殿はどのようにお考えで?」
大臣がじろりと目を向ける
それまで目をつむり静かにしていた銀色の鎧を付けた大柄の男
セプテンス共和国団長フェリオス・オルロスが静かに口を開く
「我々騎士団は身命を賭して戦い続けています。
しかしながら疲弊していく今の国の現状で今以上の戦果を挙げるのは非常に難しいかと」
大臣があきれ顔で言葉を返す
「戦果もなにもいい報告は聞いたことがないのう」
両者の目が交錯して重苦しい空気が続く
沈黙のなか円卓の上座に座るこの国の王ミルフィオーレ・セプテンスが口を開く
「今の状況を打破するために私から一つ提案があります」
「次の戦で勝利を納めます」
皆の視線が集まる
「姫様お言葉ですが戦で勝つというのは現実的では…」
フェリオスが困惑の顔で言葉を紡ぐ
少しざわついた中姫の透き通る言葉で一瞬で静まり返る
「勇者召喚の儀を執り行います」
その言葉に誰も沈黙を破れずにいた。