一人目の勇者その1
ある日の夏休み一人の少年が町中を歩いていた。
金髪の短い髪ラフな格好で歩くのは今年中学生になったばかりの少年
「撮影できそうな面白いところないなぁー」
趣味はパルクール、その趣味を動画投稿をしている。
ロケーションを探して歩いていた。
少し疲れたのでベンチに座り空を仰ぐ…
ふとビルとビルの間、視界の端に犬が見えた。
「?」
じっとこちらを見てくる犬と目が合う。
まるで自分を誘っているのかように
「暇だし付き合おうかな?」
なんとなく犬のほうに歩いていく。
「わん!」
近づいてみると普通の柴犬に見える
しかし首に掛けた装飾の入った首輪が普通さを打ち消している。
「変わった首輪だな」
呟いた後歩き出す
その後ろを追う
何もない路地裏ふと明かりが増す。
「まぶし!」
路地の向こうが見えたと思った瞬間明かりが包む…
風が頬をなでる
サアーっとした音、草と木の葉が風で揺れる音だ
目を開けるとそこは見知らぬ世界
自分が立っている場所は石でできた遺跡のような場所
眼前には湖、その奥にはでかいお城のような建物
否応に自分が知る場所ではないことを実感させられる。
「え?ここどこ…」
呆然としている少年に声が掛かる
「お待ちしてました勇者様」
凛としたかわいらしい声が後ろから聞こえる
振り向くとそこにはピンク色の髪に高そうなドレスを着た少女が一人
ただ異様なのは頭に犬耳、お尻の部分に尻尾がみえることぐらいだろうか
自分のおかれた状況を飲み込むことができず声が出ない。
しばらく立ち尽くすしかなかった。