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世界を敵に
プロローグ
--------雨の音が聞こえていた。
土砂降りの雨の中握っている剣から伝わる肉と骨の感触が長い戦いの終わりだと実感させられた。
「がはっ!」
剣がめり込んだ相手の口から出た血が自分の顔に掛かる
滴る血が眼球に入るが目の前の光景に現実味がなく気にもならない。
今にも絶命しそうな相手がふと言葉を紡ぐ
「よもや貴様程度に遅れをとるとは…だが…」
「これで殺し合いの螺旋は終わる…」
「次は貴様の番だ…」
途切れそうな意識の中相手の声だけが鮮明に聞こえる
「はあっはあっ…」
声も出せない疲労めり込んだ剣を引き抜く
「があっ!」
言葉とともに崩れ落ちる巨体…
崩れ落ちた体を見送るとともに意識が消えていくのを感じた…
その戦いを眺めることしかできなかった少年が一人自身の不甲斐なさをただ噛み締めていた