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第3話 男と女の修羅場

(あれ……?)


 その日、イーリスがふと目を覚ますとナーシェンとライムの姿が無い。不思議とトイレを疑うことはなかった。


(変ね。ナーシェンとライムちゃんがいない。疑いたくないけど……)


 女の勘はやたらと鋭い。何か「臭い」と思いながら宿屋の裏手に回ると、ナーシェンとライムが口づけをしている真っ最中だった。


「んふっ! んふうっ! んんっ!」


 お互いの舌と舌を絡め合わせる濃厚なキスを1分近くにわたって続けた。




「ぷはぁ! ハァ、ハァ……キスってこんなにエッチなことだなんて知らなかった」


「そうだろ? もっとすごいことをしようか?」


「もちろん……ナーシェンさんならまた最後まで行ってもいいわ」


 ナーシェンが誘われるままライムの服に手をかけようとした、その時!


「ハイアンタらそこまでよ!」


 イーリスが割って入る。その顔面には青筋が何本も浮いていた。




「ナーシェン、どういう事!? 魔王を討伐したら一緒に暮らそうって言ってたよね!? 指輪だってもらったわ! あれは嘘だって事!?」


「え? えぇ!?」


 イーリスの発言にライムは初めて知ったという顔をしながら動揺を隠すことが出来ない。反応の仕方からして、おそらく演技ではないだろう。


「ナーシェンさん! イーリスさんに指輪を渡したってどういう事!? 加入するときにイーリスさんはただのパーティーメンバーで女としては見てないって言ったでしょ!? あれは嘘なの!?」


「ア゛ァ゛!?」


 ライムの発言でイーリスの炎に油がドバドバと注がれる。




「ナーシェン……アンタ、ライムちゃんに変なこと吹き込んで騙そうとしてたってわけ!?」


「ナーシェンさん! どういう事なんですかこれは!?」


「い、いや、その……これは……ど、どっちも大事な仲間であって……」


「「ハァ!?」」


 ナーシェンの言い訳では到底2人は納得いかない。




「まぁまぁまぁ、そんなカッカしないで。落ち着こうじゃないか」


「ふざけんじゃないわよ! 落ち着けるわけないでしょ!」


「ナーシェンさん! 知らないふりなんてしないで!」


「い、いやぁあの口づけは文字通りのリップサービスってわけでして……ハハハッ。軽いスキンシップみたいなもんだよ」


「「ア゛ァ゛!?」」


 2人の怒りは収まらない。




「あれのどこがスキンシップなのよナメてんのかナーシェン!?」


「ナーシェンさん! 私以外に女がいただなんて信じられない! どういう事かしっかり教えてちょうだい!」


(こうなったらアレを使おう)


 2人が詰め寄ろうとしたところ……


ボンッ!


 何かが爆発した音と主に大量の煙が辺りに充満した。ナーシェンが逃げ出す時に使っている煙幕爆弾を爆発させたのだ。

 彼は2人の事を振り切って泊まっていた部屋に窓から侵入し、武器防具を持って逃げ出した。




◇◇◇




「……ってわけ」


「ハァーア。あのバカ、俺や読者の予想を1ミリも外さないテンプレ通りの事をやりやがって」


「フランシス、あなたも時間があったらナーシェンを探すの手伝って。多分この町からはまだ離れていないとは思うんだけど……」


「うーむ……お前にそう頼まれると断るわけにはいかないな。ちょっとギルドに行って日程の調整が出来れば手伝っても良いぞ」


「そう、ありがとう。助かるわ」




 俺は町にある冒険者ギルド(幸い同系列だった)に連絡して到着が3日程遅れると伝えてくれ。と話をつけて、ナーシェンの捜索をすることにした。

 今回の事件はアイツの性格からして「起こるべくして起こった事件」だとは思うのだが……。

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