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かまきり たかしくん単身赴任

作者: 鮭さん

 たかしくんは単身赴任で田んぼに行きました。田んぼでカマキリの真似をする仕事につきました。


 シャキンシャキーン、シャキンシャキーン


 膝を曲げて腰を低くし、両手をカマキリのように振りかざします。


 シャキンシャキーン、シャキンシャキーン


「へっへー!俺はカマキリだぜー!」


 新しい仕事なのでたかしくんは張り切っていました。しかし、


「カマキリの手はな、もっと鋭い。もっと鋭いんだ、こーだ!!」


 シャキンシャキーン、シャキンシャキーン


 田んぼマスターもカマキリの真似をしてたかしくんを叱責します。


「え、こ、こうですか?」


 シャキンシャキーン


 たかしくんは頑張って真似をします。


「違う!!こうだあ!!」


 シャキンシャキーン


 田んぼマスターは再度お手本を見せます。


「ええ、こうですか?」


 シャキンシャキーン


 たかしくんは頑張ります。


「全然ちげえええ!!」


 シャキンシャキーン!!シャキンシャキーン!!


 田んぼマスターは大きな声を上げました。


「ははは、お前、偽カマキリってばればれだぞ。」


 ついには稲までたかしくんを馬鹿にし始めました。


「うわああああ!!」


 たかしくんはあまりのストレスに寝込んでしまいました。


 うぅっ、、ううぅっ...


 かわいそうなたかしくん、うなされているようです。


 カマカマカマカマ....カマカマカマカマ....


 たかしくんの夢の中にカマキリが出てきました。


「カマカマ...お前はカマキリになれねえ。カマカマカマカマ....カマカマカマカマ....。」


「カマカマカマカマカマカマ...。」


 カマキリの群れがたかしくんを嘲笑っています。


「うぅ...ううぅ....。」


「お前なんてたかが人間なんだカマ...カマカマカマカマ...」


「カマカマカマカマ...カマカマカマカマ...。」


「うっうううっ...。」


「お前にはカマキリの真似なんて無理だカマ...諦めろカマ...。」


「カマカマカマカマ...カマカマカマカマ....。」


「たかが人間だカマカマ....。」


 たかが...人間....?


 その瞬間、たかしくんの中で何かが振り切れました。


 プチッ


 そうだ...俺は人間...人間だあー!!


 ぶちゅぶちゅぶちゅぶちゅーっ!!


 覚醒したたかしくんはカマキリたちを踏み潰しました。


 あぎゃーっ!!


 呆気なくカマキリたちは踏み潰されました。


 たかしくんは飛び起き、裸足で家を飛び出しました。


「俺は人間!!人間だー!!!」


 たかしくんはそう叫びながら田んぼを走り回りました。田んぼマスターや稲たちがその様子をうなずきながら笑顔で見ているのでした。たかしくんは自分を取り戻したのでした。


 完

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