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序歌
ある世界。
ここに栄える現世に、長年続く4の国。
地上、地底と天上と、海底に在る人の国。
そこへ降り立つ預言者の、神々しくも怪しき言。
誰も知らぬ遠き地に、『箱庭』という国がある。
神の住みたる聖なる地。
凡夫が辿り着いたなら、願いがひとつ叶うだろう。
世の人々は沸き立った。
全ての国と民たちが、皆一様に魅せられた。
僅かな遺物を手掛かりに、理想郷へと手を伸ばす。
巫女の言葉も後を押し、数多の夢が色付いた。
かくて始まる冒険劇。
嘘と愛憎、戻らぬ時。
命無き徒の謀略と、白き使いの涙とが、舞台の裏で混ざり合う。
渦を巻いては進み行く、天を貫く物語。
神も知り得ぬその末を、紡ぐは人の生という糸。