俺くらいのレベルになると要らない部分はカット出来ちゃうよね
第七話にして話が進む。
「コツコツ……コツコツ……」
この音は歩いている音ではなく、俺がそれっぽく口ずさんでいる音だ。
今日は偉大なる日。そう、この俺!ササキの新しい冒険が始まる日だ。それくらいのお茶目をしても許されるだろう。
ふっふっふ。実は俺が異世界に来てからだいぶ経っている。要は俺の異世界生活紆余曲折をカットしたのだ。
まぁ、俺くらいのレベルになると要らない部分はカット出来ちゃうよね。というわけでステータス、ドン!!!
名前:ササキ
レベル3619
スキル『分裂』『不老』『偽装』『対毒』
ドヤ……!!もう一回言うぞ。ドヤ……!!
この圧倒的レベル!!レベル41なんかで喜んでいた頃がもはや懐かしい。
しかもスキルも増えてるんだぜ。偽装は自分の存在をモンスターから隠すのに使えるスキル。
しかも色々弄ってたから分かったことだけど、俺TUEEEE!!系あるあるの、自分のステータスもしっかり偽装出来るらしい。
今の俺はめちゃくちゃなレベルだが、他者から見たらレベル19になってる……ハズだ。
ハズとしか言えないのは、俺がまだ俺以外の人類に会えてないからだな。だが、これでちゃんとイケているハズだ。
「ハズだ」を言いすぎてシベリアンハズキー(爆笑ギャグ)に
なっちゃいそうだな!!!
……はい。ごめんなさい。漢ササキ、ただいま猛烈に反省しております。
あ、ちなみに対毒は桃ばっかりで飽きた俺が別のものを食べようとして、運悪く毒物を食べてしまった時に手に入ったスキルだ。これが手に入るまで毒で死にかけたから、このスキルは誠に偉大だ。
とまぁ、少し関係ない話はここまでにしておいて。なんで今日を偉大な日と言っていたのかについて説明しよう。
今日は俺がドラゴンスレイヤーになる日なのさ。……ほら、来た。
「グギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
赤いドラゴン。カッコ良く言うならレッドドラゴンか。そいつが今やってきた。
このドラゴンの咆哮を聞いて、俺のその時滅茶苦茶ビビったんだよな。でも、今は怖くない。
俺の強さの裏付けは別にレベルだけじゃない。俺が昔読んだ小説では、レベルだけで無双しようとした奴が、圧倒的技術にボコボコにされる話があった。
そんなの絶対に御免だったので、ある程度勝てそうな敵相手に俺は経験を積んだ。といっても、俺に武器を作る技能は無いので、あくまでも格闘技術を……だが。
そのおかげで我流ながら結構戦えるようになったと自負している。……と言ってもこの世界の平均的な強さが分からないので、あくまでも予想だが。
……そもそもこの世界ってちゃんと人いるよね?大丈夫だよね?……うん、きっと大丈夫。
おっと、ドラゴンが俺に気付いたようだ。
「グギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
おやおや?先ほどの咆哮と違って、どこか怯えが入ってるんじゃないのか?……お前には俺の踏み台になってもらうぞ。




