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リス怖い

リスと戦う主人公。…文字にするととても情けない

 その眼光はまさに肉食獣。弱きをくじき、自らの糧とする弱肉強食の具現者。


 巨大なリスが『何でも噛み砕けそうな強靭』なキバと、『病気なんて知りません、りんご丸かじり一万個でもいけますよ』と言わんばかりの歯茎を剥き出しにして俺に向かって吠えたのだ。


 交渉しようという思いを、綺麗に一本背負いで払いのけられた俺が無理だと察して、咄嗟に後ろに飛び退いたとしても、それは仕方の無いことだろう。……仕方の無いことなのだ。


 決して俺が意気地無しという訳では無い。


『グルワァァァァァ!!!』


 また吠えた。怖い。純粋に怖い。リス恐怖症になりそう。世界一情けない恐怖症だ。


 だが、俺だって男だ。ぴえんと言って逃げたくもなるが、立ち向かわねばならない時が必ず来るというのを理解している。


 それが今だ。漢ササキ。このリスを倒すために奮い立て!異世界に来てまだ何も楽しんで無いだろ!


「うおおおおぉ!!」

『グルワァァァァァ!!!』


 俺とリスは共に走り、それぞれの拳を持って立ち向かった。



 しかし、リスの腕の方が長かった。俺の腕も決して短い訳では無いのだが、リスは俺より腕が長かった。


 拳と拳の勝負の時、腕の長さの差はそのままリーチの差となる。


 リスの拳が俺の頬に直撃し……アレ?痛くない?


 リスの拳は拍手したくなる良い勢いで気持ち良く俺の頬を捉えたにも関わらず、俺に痛みを届けることは無かった。


 どうやらリスが俺を一撃で仕留めては可哀想だと手を抜いた様ではないようだ。リスも驚いた顔をして固まっている。


 何が起きたのかは分からないが、驚いて固まっているリスは素人の俺から見ても隙だらけだ。……卑怯だと思うなよ?


「オラ!」


 スペイン語で挨拶……ではなく、気合を入れてリスの腹にパンチをお見舞する。


『グルワァ!?』


 効いた。確実に効いてる。ならばパンチのおかわりだ。もうお腹いっぱいだと言われても聞かない。今の俺はバーサーカーレイターだ。


「ご注文はパンチですか!!ほい!せいー!!おかわりもういっちょ!!」


 どんどんどんどんパンチをぶつける。レベルが上がっているお陰だろう。前までの俺では信じられないほどの威力のパンチだ。今なら翼も生えるだろうしボクサーにもなれそうだ。


「そしてトドメの!!何の変哲もないただの拳から繰り出される種も仕掛けもございませんパーンチ!!」


『グルワァァァァァ!!??』


 俺のパンチは見事にリスを吹き飛ばした。……動物愛護団体に怒られないよね?異世界にそんなの無いよね?

主人公より弱いリスが主人公に襲いかかって来たのは、主人公が余りにも弱そうだったからです。

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