無能はいや〜!!!
「それじゃない!アンタ、なんでそんなに見極めが下手くそなのさ?」
薬草採取、奥が深い。俺が完全に上手く見つけたと思って拾い上げた薬草が、実は全然違う野草であることが多々……というよりほとんどなのだ。
姐さんも驚いている。どうやら悪い方でずば抜けているらしい。……これは良くない。
俺は確かに恐れられたりしたら嫌だから力は隠す方で行こうと思ったが、決して無能で居たいわけじゃ無いんだ。
このままではやる気だけあって全然結果の伴わない残念な子になってしまう。
「子どもでももう少し上手く目標の薬草を見つけられるよ。一体どうしたらこんなに間違うのさ」
自己分析によると、俺が薬草を上手く見つけられない原因は二つある。
一つは今までこういったことをやったことがないので、純粋に下手くそだから。
これはまぁ、仕方ない。それを改善する為に講習を受けているのだから。
二つ目は前の世界に居た時から思っていたことだが、俺が純粋にこういう細かい作業が苦手だということだ。
……つまり、完全に俺が悪いのである。……クゥー、優しい風が目に染みるぜ。
「ほらほら、ここをよく見てみな。葉っぱの先がギザギザしてるだろう?コレがあると偽物だ。本物の方にはそれは無いからね」
確かに、姐さんの言う通り俺が間違って持ってきた草にはギザギザがある。
俺は反省が出来る素晴らしい人間だ。姐さんの言ったアドバイスを頭に叩き込み、もう一度辺りを見渡して見極める。
「そこだ!!」
目当ての草を見つけ勢い良く引っこ抜く。
「どうです!姐さん!!これは完全に薬草でしょう!!」
テイク二桁目で漸くちゃんとした薬草を見つけることに成功した俺は喜びに溢れた。
「馬鹿野郎!!」
しかし、ゴツン!と良い音を響かせて俺は殴られた。レベルが高いので姐さんの拳は痛くないが、ダメージの音が心に響く。
「この薬草は根っこも必要だって最初に言っただろ!そんなに勢いよく抜いちゃ駄目じゃないか!」
……そう言えばそんなことを言われていたような気もする。おれはまたやらかしちまったのか……!!
「す、すいません!!今度から気を付けます!!」
俺がそう謝ると、姐さんは溜息をつきつつ、少し優しい目……というよりどうしようもない子を見る目をしながら口を開いた。
「……はぁ、これは長丁場になりそうだね。今日はちゃんとした薬草を規定数集めるまで帰さないからね!!覚悟するんだね!!」
「ひょえーー!?」
……帰る頃には辺りはかなり暗くなっていた。冒険者は楽な仕事じゃないぜ……ガクッ。
一つを覚えようとすると、また別の何かを忘れてしまう。これが難しい




