真面目が一番
2日れんぞくこうしーん!!いえぇい!!
「ここで合ってますか?」
「おう、合ってるぞ。時間前にきちんと来るとはやるじゃないか」
どうも、私ササキ。私今、ギルドの講習を受けに来てるの……。
「本日は薬草採取に関する講習を行う!メンバーはアタシとアンタの二人だけだ!」
俺に声を掛けるは銀級冒険者のチャール。The・頼れる姐さんって感じの人だ。今回俺にノウハウを教えてくれることになっている。
冒険者になった俺だが、レベルはあっても決して冒険者としてのノウハウを手に入れた訳では無い。
そのまま調子に乗っていたら足を掬われる結果となってしまうだろう。だからこその講習。
しかもタダと言うのだから受けない選択肢が思い浮かばないよな。
「あの、姐さん。講習を受けてるのが俺しか居ないみたいなんですけど、もしかして人気ないんですか?」
「あ、姐さん!?……そ、そうさ。誰も受けないからアタシも久々の講習になる。でも教えるところはバッチリ頭に入ってるから安心すると良い」
あ、ついうっかり姐さんと呼んでしまったが、なんかしっくりくるのでこのまま行こう。
そしてどうやらこの街……というよりこの世界では、冒険者になるような奴は成り上がり欲というか冒険心の様なものがデカい奴が多く、あんまりこういう講習というか地味なのはやりたがらないらしい。
「かく言うアタシも昔はこんな講習なんて受けたくない!と言ってた一人でね、それのせいで困ったことに何度も何度も……アンタは最初から受けようとしてて賢いじゃないか。なんだかんだでそういうことが出来るやつは出世するよ」
そう語る姐さんはなんというか本当に苦労してそうで……含蓄というか頷いてしまいそうな重みを感じる。
「所でアンタ、武器は持って無いのかい?アタシだったらこいつが相棒さ」
そう言って姐さんは背負っている細剣?……レイピア?みたいな剣を見せてくれた。
確かに、武器は大切だ。俺だって武器を持たずにモンスターの所に行こうとしている奴がいたら、自殺志願者か何かと勘違いしてしまうだろう。
でも、俺に武器は必要ない、というか使えない。……今の俺の握力を知ってるか?一度試しにその辺に転がっていた石を握ってみたことがあったんだ。
……結果として、そこまで力を入れてなくても医師が粉々に砕けて塵となった。今ならだいぶ力加減には慣れたけど、さすがに命を懸けた戦いのときに握力を調整できるほど俺は器用じゃない。
という訳で俺は拳、素手で戦うって決めたんだ。それを誤魔化しつつ伝えると、姐さんは渋い顔をしつつも頷いた。
「毒とかを持っているモンスターもいるからあまり素手で戦うのは推奨してないんだけど……アンタは別にモンスターを舐めてるとかそういう訳じゃなさそうだ。人一倍気を付ける様にすれば良いよ。なんてったって冒険者は自己責任だからね」
心配してくれる姐さんは大変優しい。知り合いがほとんどいない俺にとって優しくしてくれる人は大変重要な人だ。この縁を大切にしないとな。
「それじゃあ取り敢えず出発だ。ビシバシしごいてやるから覚悟しときな!」
……大切にしないとな。
優しくしてくれる先輩は神




