始まりだって突然さ
初めましての人は初めまして。更新はゆっくりだと思いますが、のんびりして行ってください。
「ん?……あれ?どこだここ」
休日に何をするでもなく、ただひたすらに家で寝ていたはずの俺。目を覚ますとそこは見慣れた我が部屋ではなく、真っ白な空間だった。
「ふむ、迷い人か」
辺りを見渡していると、上から威厳のある声が聞こえて来た。……迷い人が俺を指してるのは分かるが、迷い人って何だ?
「お主、名は?」
「佐々木拓矢です」
迷い人って何?とかここはどこだ?とか、聞きたいことは沢山あったのに、声の主に尋ねられただけで、気が付いたら答えてしまっていた。
……ゲームをやったり小説を読むのが趣味の俺には分かった。これは神様的なやつだ。怒らせて良いことなんて一つもないと思うので、機嫌を損ねないようにしよう。
「ササキか。お主は幸か不幸か元いた世界とは異なる異世界に飛ばされてしまったようだ」
な、なんだってー!!……まぁ、何となく予想は付いてた。俺は別に元の世界に未練も無いし、全然受け止められちゃうけど、よくある小説ならここで帰ろうとするんだろうな。多分無理だと思うけど。
「それは儂にも阻止出来ぬ。世界の摂理故にな。しかし、このままお主を送り出してはすぐに死んでしまうだろう」
それはその通りだ。俺は自分のことを主人公だとは思っちゃいないし、別にリアルチートのバケモノでもない一般人だ。……何かしら期待しても良いのだろうか。
「うむ、ということでスキルをやろう。スキルとは技能、能力を指す。あちらの世界で努力すれば新しく入手することもできるだろうが、一先ず一つ授けてやろう」
『スキル・分裂を入手しました』
おお!?……分裂?
「そのスキルはお主が元の世界にいた時に望んでいたであろうことを叶える能力を具現化させておる」
もしかして、あれか?学校に行きたくなくて、ゲームをする俺とは別に学校に行く俺が居たらいいのに……という望みのことか?
……少し前の俺!どうしてもっと戦闘向きの望みを持ってくれなかったんだよ!!……いや、たぶん分裂も良いスキルなんだけれども!もっとド派手なスキルが欲しいと思ってもバチ当たらないよな!!
「スキルと自分の存在力を表すレベルは『ステータス』と念じることでいつでも見ることが出来る。ではさらばである」
「え!もうさらばですか!?もうすこしおしゃべりとかあああああああああああああああああ」
抗議をしようと思ったその時、俺の目の前が真っ白になった。
☆☆☆☆☆
「知らない天井だ」
異世界に行ったらまず言いたい言葉ベストスリーを呟き、俺は目を覚ました。……どうやら本当に異世界に来てしまったらしい。これが夢でないとするならば……だが。
そして俺が今居るのは洞窟らしい。人の気配はせず、人工物も見当たらない。幸いにして出口はすぐそこだし、奥行きもそんなになさそうだ。
これはちょうどいい拠点になりそうだな。……っと、せっかくだからステータスを見てみるか。
名前:ササキ
レベル1
スキル『分裂』
うーん、弱い。一目見て分かる弱さ。流石俺だ。この現実から逃れるために、一度外に出てみようか。
「グギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
外に出てみると、空に真っ赤で大きくて強そうなドラゴンが飛んでいた。……よし、引き籠るか。
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