8..悪役令嬢とデートをすることになった2
気を取り直した俺達は店内の商品をみることにする。まずはウィッグコーナーである。わかりやすくいうとかつらである。黒色から黄色、赤色など様々な色があり、長さもロングから、ショート、ウルフ、はたまた坊主まで様々な種類のものが置いてある。この中からやりたいキャラに近いものを探し自分でカットやセットをするのである。俺の愛しのメルトちゃんに似合いそうなロングウィックもここにあるのだ。
「すごい種類ね。どれを買うか迷うわね……」
圧巻と言う感じで黒薔薇がそれらの商品を眺めている。ちなみに単純に赤色でも少しの色味の違いで5種類くらいある。まあ、すげえ光景だよな。なんかの研究所みたいだもん。そして俺の頭をみながら一言。
「これなら将来はげても大丈夫そうね」
「人の頭をみて失礼な事言わないでくれる!? そういや、この前のウィッグはどこで買ったんだ?」
「ああ、あれは衣装についてきたのよ、キャラウィッグらしいわ」
「なるほどね、便利だよなぁ」
ちなみにキャラウィッグとはそのキャラクター用に加工されたウィッグである。ただし実際のクオリティの当たり外れが激しいのと自分の頭に合わせて作られてはいないため、あまりお勧めはできない。だが、自分でウィッグを切ったりできない人にとっては救世主である。
「次はカラコンだな」
そう言って彼女はカラーコンタクト売り場へと向かった。こちらも様々な色のコンタクトレンズがあり、キャラによって自分が似ているなって思ったものを購入するのだ。最近は度ありや、ワンデーもあるのでかなり便利である。
「異様な光景ね……魔女の屋敷って感じ。まるでホムンクルスでもつくってるみたいね……」
そりゃあね、カラコンって結構グロいよな。赤や青など日常ではまずつかわない色があるのだ。中々異質だろう。でもさ、キャラと同じ色のコンタクトレンズするのって結構大事なんだよな。ウィッグの色が派手なキャラだと特に黒目だと逆に変なんだよなぁ。てか発言がちょっと厨二くさいなこいつ。
「あとはここかな、小物コーナー。模造刀とかあるぞ」
「へー、色々あるのね」
俺の言葉に黒薔薇は興味深そうに羽ペンをとった。そこには日常生活ではまず使わないようなものが色々と置いてある。西洋銃の模型やサーベルなど様々な武器はもちろんのこと、顔を隠すマスクや、ちょっとファンタジーっぽいブーツまである。コスプレ用品ってどんどん増えているよなぁ。そして俺は仮面舞踏会に使いそうな仮面をかぶり黒薔薇に声をかける。
「三千院黒薔薇よ、お前の悪事についてはもう調べがついている。悪いが婚約破棄をさせてもらう」
いきなりとち狂ったことを言い出した俺に一瞬驚いた顔をしていた黒薔薇だったが、すぐにいつものクールな表情に戻り唇を歪ませ笑みを浮かべた。演技だと言うのにちょっと怖い。本当に悪役顔が似合うな……
「ふふふ、ばれてしまっては仕方ないわね。大地。でもね、仕方がなかったのよ……私が成り上がるためには彼女の犠牲が必要だったの」
「く……なんてことを……彼女の命はもう戻らないんだぞ。この悪役令嬢め!!」
「他人に悪役令嬢って言われんのはむかつくっていってんでしょ、この鈍感クソ野郎!!」
「あ、お前、またそれ言ったな!!」
「お客様ーーーー!!」
『すいませんでしたーー!!』
途中まで演技をしていた俺達だったがお互いの禁句を言い合って、素に戻った所を再度店員に叱られてきまずくなって店を出るのであった。まあ、買いたいものは買えたしいいだろう。
最近アークナイツにはまりすぎてます……理性が足りない……
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