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ルースミア、更に3人の協力者を得る

 ほれ、さっさとパクッとしに来い。


 勢いよく巨大化したジャイアントリザードが我に食いつこうと口を開いた頭が迫ってきた。


「ルースミア!」

「ルーちゃん!」

「嬢ちゃん!」

「……ああああ!」





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 というわけで我の足元には巨大化したジャイアントリザードが倒れて動かなくなっている。


 まぁ倒し方はいたって単純で、パクッときた時に脳髄目掛けてリストブレードをぶっ刺した、ただそれだけだ。

 普通の生物であれば脳髄を突き刺されて生き延びるものはいない。


「まぁこんなもんか」

「ど、どういう事だ……これ」

「あの馬鹿でかいトカゲを嬢ちゃんが一撃で仕留めたじゃと!?」

「……すごい!」


 驚くのは仕方がないとして、クリスト=バイネスのは驚き方は可愛らしい。 是非コイツを我財宝に加えて愛でたいものだ。


 ……っとぉ!?

 ティアめ、いきなり抱きしめてくるな。


「ルーちゃん! 死んじゃうかと思ったよ!」


 まったく、我の正体を教えておいたというのに……しかしまぁ、抱きしめられるのは悪くはないな。


「こんなトカゲ相手に我がやられるはずはない事は教えてやっただろう?」

「話で聞いて分かってはいたけど、実際に見たら心配になっちゃうに決まってるじゃない!」


 この心配性はまるでレイチェルのようだな。 しかしこの次元のエルフは非常に人間染みている。



「……えーとティアそれとルースミア、これはどういう事なんだ?」

「えっと、実は……あ」


 そういったところで慌てて手で口を塞いで我を見てくる。 口外するなと言った手前、どう答えたらいいか困っているのだろう。


「今から言う事を誰にも口外しないと誓うのであれば話そう。 もしも誓いを破るような事があれば、その時は容赦なく全員殺す」

「殺すって、可愛い顔して恐ろしい事を平然と言いおるな」

「だが間違いなく俺たちより強いのは間違いない」

「……ウンウン」


 互いに顔を見合わせて頷いた後、


「……分かった、誰にも言わないと約束する」


 デ・ラ・カルが代表で口外しないと誓うのを確認してからティアに説明させた。




「——ルースミアがドラゴン……にわかには信じられないが……あのデカいジャイアントリザードを一撃で仕留めたしな」

「そうじゃなぁ……じゃが、武器を使っておったじゃろう?」

「……ウンウン」

「それは今我が人の形をしているからだ。 人の形をしているとブレスは吐けないし爪に牙、尾もない。 だから(つがい)が我の為にこのリストブレードをくれたのだ」

「ちょ、ちょっと待った。 今、(つがい)と言ったけど、ルースミアって結婚してるのか?」

「うむ、そうだが?」

「……どう見たって15歳ぐらいにしか見えないんだが」

「はぁ……何を言うかと思えば、我はこう見えて2000年以上は優に生きているのだぞ」

「に、2000年以上!?」

「……ハウハウ!」

「もうなんだかわけがわからなくなってきそうだ。 とりあえずルースミアはその……元の次元に帰る術を探している、俺たちはその手伝いをすればいいってことだな?」

「うむ!」


 これでなんとか予定通りデ・ラ・カルたち全員を引き入れる面倒事は済んだな。 あとはこいつらに調べさせていけば何かしら見つかるだろう。



「でもルーちゃん、このあとはどうするつもりなの?」


 確かに正直なところ協力者であるティアをサンドロ=アルベスから解放するところまでは考えていたが、ここからはどうやって探していくかまでは特に考えてはいなかったな。


「ティアたちが知っている情報を聞くのと、知らなければ調べてもらうつもりだ」

「うん、そうだけどそれだと帝都に戻っても、生きてたと知ったサンドロがまた同じ事をするんじゃない?」


 ううむ……そこまでは考えていなかった。 やはりサンドロ=アルベスは殺しておくべきだったか……


「それなら俺にいい考えがあるぞ」



 デ・ラ・カルが言ういい考えとは、このまま帝都に戻り冒険者ギルドに今回のサンドロ=アルベスの取った行動を報告するというものだったのだが……


「それのどこがいいアイデアなのだ?」

「少なくともこの事が沈静化するまでの間、サンドロは大人しくなるはずだと思う」

「なるほどのぉ、確かに勇者が仲間を見捨てて自分だけが逃げ伸びてきた、と噂が広まれば帝都での活動はしにくくなり場合によっては帝都を逃げ出すかもしれんな」

「……ウンウン!」


 なるほどな、そういうところはやはり人種の方が知恵がまわる。


「……トカゲ小さくなった」

「それは魔法の持続時間が切れたからだ」

「……魔法凄い!」


 黒魔術士はやはりウィザードに近いものがあるようだな、魔に対して好奇心が強いようだ。


「……教えて?」

「我の魔法は擬似魔法といってな、元から備わっているものだから教えたくても教えられん」

「……がっかり」


 嘘はついていないが、仮に教えられたとしてもこの次元になかった物事は、可能な限り教えるわけにはいかないのだがな。



「しかしちょっと残念だ。 巨大化したジャイアントリザードの死体の一部でも持って帰れれば証拠になったんだけどな」

「ふむ……それならば『巨大化』の魔法をかけた後に『永久化(パーマネンシー)』の魔法をかければ問題ないぞ?」

「で、できるのか!?」

「当然だ」


 仕留めたジャイアントリザードの死体に『巨大化』の魔法をかけて『永久化(パーマネンシー)』の魔法をかける。


「魔法っていうのは凄いもんだな……」

「じゃが問題はコイツのどの部分をどうやって運ぶかじゃが……デカすぎて首も運べるかわからんのぉ」

「とりあえず切ってみるか」


 デ・ラ・カルとアルバール=デ・パブロが悪戦苦闘しながら巨大化したジャイアントリザードの首を切断しているのを眺めていると、ティアが話しかけてくる。



「もし、もしもだけど……帰る術が見つからなかったらルーちゃんはどうするの?」

「ふむ……その時は相当時間はかかるかもしれないが、いずれ(つがい)が迎えに来てくれるだろうからそれを待つだけだ」

「そこまで信じられる旦那さんがいるなんて、ルーちゃんが羨ましいな」


 ……だがもしそうなったら、少なくとも創造神を救いだした後になるだろう、どれだけ待つことになるか我にもわからんがな……



「やっと斬り落とせたわい!」


 そうこうしている間にやっと斬り落とせようだ。


「まったく首だけだっていうのに馬鹿でかいな」

「……バケモノ」

「とりあえず持ち上げてみるか。 アルバール、クリスト手伝ってくれ」



 ほぉ……雌は呼ばないか。


「ティアよ、デ・ラ・カルも良い雄だ」

「……うん、わかってる」


 うむ、良い顔だ。





 3人でもなんとか持ち上げて運べそうだったが、見るに見かねたティアも手伝いだしている。

 なら我も手伝ってやるとするか。


「うわぁ!」

「ちょっ、ととと!」

「と、届かんわい……」

「……ぷらーん」


 そんなに重いのか? と片手で持ち上げてみるがたいした重さでもないではないか。


「これは改めて思い知るなぁ」

「そうね、ルーちゃん重くないの?」

「特になんとも思わんが?」

「ううむ……」



 人の形をしているがそれでパワーまで落ちているわけではないからな、この程度はどうという事はない。


「ここはルースミアに甘えさせてもらって、丘陵を抜ける辺りに来たら俺らでなんとか運ぼう」

「そ、そうね……」




 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 そんなわけで丘陵を抜ける辺りまで辿り着き、今はまた4人が運びはじめる。

 我は持っているフリで良いと言われその通りにしていた。



「進行方向からこっちに何か向かってきていないか?」

「うむ、確かに」

「気にするな、魔物であれば我が相手をしてやる」

「お、お願いルーちゃん」

「……ハフハフ」




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