シーン2/バトル・デモンストレーション
シーン2/バトル・デモンストレーション
「デモの相手は、ゲームの参加者に限定する」
「どういう意味?」
「朱家の経営する店舗に強盗として押し入る計画はリスクが高過ぎる。万一従業員に怪我でもさせたら取り返しがつかない。警察沙汰になっても困るしな。バトルデモとしてゲーム参加者とやりあってもらいたい」
「相手になりそうなメンバーがいるの?」
「難しいかもしれないね。まぁ、その場合はうちの警備担当者と武術の試合をしてもらうかな。面白みはないけど」
「うん。面白くない」
「グエン」
「なに?」
「朱家に縁のある人間が、近々この街にくる」
「・・・」
「彼は大学四年だ。ゲームにエントリーする資格がある。彼が相手なら面白いかもしれないよ」
「じゃ、その子をゲームにエントリーさせてよ」
「私はメリットが無いことはやらないんだ。大人はいろいろ忙しいからね」
「それなら私たちが説得する」
「そうするといい」
「その子の名前は?」
「琳」
「男の子よね?」
「うん」
「どうやって見つければいいの?」
「ああ、それはね」
ハオランはいつになく楽しそうな表情をした。珍しい。どうしたって言うんだろ、ハオラン。グエンは夏の雪でも見たような気がした。
「見れば、わかるよ」