1. 氷の溶け始めたアイスコーヒー
昼下がりのとある都内の喫茶店には、瞑想の空気が流れていて心地いい。
伊東椿は、その雰囲気の中で友人二人のことを考えていた。
あまりに考えに集中していたせいか、すでに目の前のアイスコーヒーは溶け始めている。
椿は、一旦考え事を始めると周りのことが目に入ってこなくなる質なのだ。
彼の瞑想は、形にならない暗みがかった雲の中で、疑問の霧を掴もうと足掻いているような感じだった。
大人になるというのは不思議なものだ。
椿を含め、この三人は中学からの腐れ縁で、胸襟を開いて語ったことは何度もある。
若者らしい歯が浮くような夢話もこの三人の中では何のためらいもなくできた。
不思議なのは、この夢物語を語る機会が「大人」に成るにつれて減っていき、暗黙の了解でこのような昔の野望は忘れたかのように振舞われることだ。
24歳を迎える年の夏に、椿は失速感を感じていた。
窓のガラス越しに見える大きな欅の街路樹は今年も青々と美しい。
椿は、それを見ながら普段ない妙な胸騒ぎを感じた。
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