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再開  作者: 杏子
2/4

別れてもまた惹かれ合い、巡り合う

葛藤する揺れる想い。

それでも、電話をかけて良かった。


今も耳に残るその声が

もっと、確かなものになっていた。



あの日、、

逢った時に想った。

一瞬でまた、心奪われた。



少しの時間が胸いっぱいに広がる。

あなたが私を支配する。


逢ってから何日経つだろう。

メールのやり取りは続いている。

お互い、家庭もやるべきこともあるから

1日に2通とか。


それでも何故か。

私には、真ちゃんの想いが届いてくる。

思っている事が分かる。


何故だろう。

私達はまた、逢う。



連絡が来なくても、会話をしてなくても

確固たる想いを感じる。


逢えなくて寂しい。より、

心が満たされる。


家庭があっても、そこで笑っている真ちゃんを

想っても、私は笑顔になる。


全部がほしいなんて言わない、想わない。



ただその確固たる想いだけが

私の心を強くする。



別れても‥

偶然なんかじゃなくて

また、惹かれ合い、巡り合う。

今度は、相手の幸せを想って

誰かの幸せを願って

同じ事は繰り返さないで

また、その笑顔に巡り合える。



別れて元カレを思い出す。

忘れられない。

けど、それは過去でしかない。

またやり直すとか、気持ちが少し違う。


真ちゃんには、不思議な想いが沢山ある。

一瞬でまた恋に落ちて、繋がりを求めてしまう。




人生とは、あくまで魂の向上のために

与えられた試練の中で些細な幸せを感じれる

ようになる地獄の一環なのだ。



私達は今、追試試験を受けているのかもしれない。

前回は壊してしまった。

そこで、共に試練に勝てればよかった。


けれどその準備が私には出来てなかった。

共に魂を向上させることが

離れて過ごして成長してからではないと

きっと無理だったのかもしれない。



「あの時は‥何も分からなかったの‥

分かっていたらあんな事しなかった‥」


「そりゃそーだよ、いろんなことに気付くよ」


真ちゃんは分かっていた。

私が色んなことに気付くことも何もかも。


「別れてから気になって、沢山

ここらへんに来た‥」


「それならどうして、連絡くれなかったの?」



「出来ないよ‥見るのは自由だから

来るのは自由だから‥」



きっと、その時では私はまだ何も

気付いてなくて、変わりもしてなくて

意味がなかったんだと思った。


今と、あの頃では

見るものすべてが違うほどに、

全然違うのだから‥



私が色んなことに気づき始めたのは

別れて五年ほどたった時だったのだから‥。


「俺は電話番号だけは変えるつもりはなかった」


なぜ?と聞きたかったけど聞かなかった。

答えが分かっていたから。


「もうあの時は、好きにしろって、

梓は思ったら言っても聞かないから

じゃあそうしろって、思った。」 



「でもそれは俺も逃げてしまったんだ‥」



真ちゃんは続けてそう言った。



「身体に悪いことはしてないか?」


「うん?」


「ガスボンベを見てももう、平気なのか?」

真ちゃんは笑って言った。


「平気だよ‥」


私は答えた。


「それはすごく心配だった。良かった。」



〜部屋

私もどうして手を出したのか

覚えていない。

ある日、ガスを持っていた。

そして、それを

吸っていた。


蜘蛛の人だ。

(お前、いいのか?  

子供が産まれなくなるぞ)


(うるさい‥いいんだよ‥)



頭の中で蜘蛛の人とよくそんな会話を

してたっけ。



自宅で、ガスが切れた時に

ガスボンベを見つけて吸っていた時だった。


ドンドンドン

「ちょっと!何してるの!」



(あー。)


部屋から出されて、親の部屋に向かう。

いや、半分引っ張られていた。

正座をしたことを覚えている。


「なんかクサイと思ったら!

あんたいつからこんなことやってんの!」


(ごめんなさい。)

顔はニヤけていたのかな。


親は泣いていた。

私は泣いていなかった。


ドンドンドン

今度は姉が来た。

「えっ‥ちょっとほんとなに‥

なんかクサイし‥」


「梓が‥」



姉はただただ驚いていた。

少し冷感の強い姉は、匂いがして一度

私の部屋の前に来たようだった。


その時、玄関で亡くなった父が立って

私の部屋を指差していたのだとあとから

聞いた。


その後の記憶はない。

ガスボンベを没収されて、

私はごめんなさいと口から出るだけで

没収しないでよって想ってた、、かな。



時間が立って落ち着いた。

それから頻繁に部屋に親は来るし、

一応、バレてしまったことは覚えていたので

安易に部屋では吸えない。


もうバレたのが潮時なんだな、なんて思って

ヤメようとも思っていた。


簡単にやめれると思ってた。

どのくらい吸っていたのか、

量というか、期間を‥。



間もなくして、私は家に帰らなくなった。

真ちゃんの家に寝泊まりしていた。


真ちゃんには、その事は話していなかった。

真ちゃんはただただ、私が住みついて

側にいれることに喜んでいたっけな。


私はガマンできなくなって近くのコンビ二に

ガスを買いに行った。


真ちゃんは朝、仕事へ行った後

昼の休憩で、昼に出されるお弁当を持って

帰ってきてた。

 ほとんど、寝ていることが多かったと思う。


「あずさっ」

名前を呼んでキスをして私にお昼ごはんを

食べさせる。


朝から起きて働いている真ちゃんは3分の1を

夜寝れなくて、昼まで寝ている私が3分の2を。


ごめんね‥。

ありがとね‥。



そんなある時だった。

真ちゃんは、ボンベではなくても

なにか匂うと気付いていた。


私がガスを吸うために

昼にお弁当を持って帰ってくる真ちゃんに

合わせて、昼前に起きて吸っていたのだ。


「あれ、何で起きてるんだ?」

  

「真ちゃんが仕事してんだもん、私も

起きるの!」


「ありがとっ」

  


知らないふりをしていた。

証拠をつかむために信じたふりをしたんだね。



真ちゃんが、昼になる前

10時頃に急に帰ってきた。


まさにその頃、私はガスを吸っていたのだった。


「あずさ!何やってんだ!」


私の頭はもう、ポワポワしかしていない。

「真ちゃんー?どうしてー?」


会話にならない。

「あずさ‥」


真ちゃんは私を優しく抱きしめた。

私は涙が出た。


それからすぐではないけど、

真ちゃんが一時間おきに仕事を抜け出して

帰ってきたり、私が寝ている間にガスを隠したり‥


途中、喧嘩もしたけれど、

いつの間にか、ガスに手を出さなくて

済んでいた。


一切、怒られた記憶はないのだ。

きっと怒らずにガスに手を出さなくて

平気なように、してくれたんだ。


いつもそうだ。

真ちゃんが私に怒ったことなんて

2回ほどしか恐らくない。


浮気をした時もただただ抱きしめた。

「何も言わなくていい。

今ここに、俺の目の前にいる。

それが真実なんだから。」


家族や友達に声を揃えて言われる言葉がある。

あずさは、長男を産んでいなければ

きっとそのへんで転がって死んでいただろうね。

と。




車を走らせながら、

別れてから盲腸になったとか、

沢山の話を聞いた。


大変なとき、いつもそばで守ってくれたのに

私は真ちゃんが大変なとき、

ただそばにいることさえも出来ていなかった。



それでもきっと、真ちゃんは

いいんだよ、そんなこと。

今生きてるんだから。”   


と、笑ってみせるだろう。




歌がうまかった真ちゃん。

真ちゃんの歌が大好きだった。 


「今はなんの歌が好き?

何を歌っているの?」


「‥」


少し間が空いてから

「行ってないよ。  行けないよ。

思い出すから‥」


あんなに歌がうまくて、カラオケが

大好きだった真ちゃん。


「真ちゃんはあずさの事思い出したりしてくれた?」



「あんなに一生懸命になったのはないから

忘れるほうが難しい。」


私は今でもきっと、真ちゃんより

痛みも、人の気持ちもまだまだ

分かっていない。


今度は私が質問する前に

行った場所を地名を口にして

そこへも行ってない。


お祭りには真琴がいる。

そう、旦那様がテキ屋なのだ。

お祭りもあれから一度も行ってない。


私はもう何も聞かなかった。



真ちゃんは、抱きしめられないから‥

と、手を差し出してきた。

そっと、手を合わせた。


懐かしい大好きなその温もりが

嬉しかった。


繋いだ手を離すことは車から降りるまで

なかった。




今、何想う?

きっと、今も。同じ事を想ってる。


逢いたいって。

でも、ダメだって。



私はずっと考える。

何も壊さず、真ちゃんと

繋がっていられる方法を。



こんなにも想ってる気持ちを

いけないと思っても、

ごめんなさいと思っても

無下にはできない。

無下にはしたくなかったのだ。



車を降りるとき、

「また‥逢える?」


私は聞いていた。


「都合が合えばな。」

と、笑って答えた。


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