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95話

氷獣王戦最後まで書ききれなかった。

話はあるんだけど文章に起こすのが難しくて、相変わらずくどい感じがする。

感じがするだけで本人がわかってないので、この辺くどいとかあれば指摘を頂けるとありがたいです。



 氷獣王とコウガ達の戦いは終始氷獣王が有利となっている。

 王種に変化してからの氷獣王の動きについていけているのはセツナのみ。そのセツナも最初は反応できなかったが、氷獣王がその動きが俊敏になるスキルを使うたびに徐々についていけるようになっていった。


 私は魔唱歌の影響が出るまでの五分、なんとか無事にいてほしいと願いつつ声を出し続けている。

 フィールドの外にいる獣たちがギャーギャーガルガルッとうるさいけど私の歌声のせいじゃないはずっ!ないったらないっ!


 ちなみにこの間、明らかに私は無防備なんだけど、おそらく氷獣王はそれを知っていてなお襲ってこないつもりらしい。たぶん群れを率いる力ある王として真っ先に相手の弱い所を攻める事を嫌がっているのだろう。その点に関して王としては素晴らしいと思えるけど野生(?)の獣としては失格だよね。この世は弱肉強食。VRゲームの中でもそれは変わらない。弱いもの(私とか)は真っ先に淘汰されるべきなのです。

 特に今の私にはいつものルドラという防御役がいないので、倒そうと思えばあの早くなるスキルを使えばすぐに首を獲れるのだから。


 だけどあえてそれをしないのは、勝っても負けても私の仲間になる事が決まっているから。どう転んでもそれが決定しているなら相手にその力を出し切らせて、戦闘後自分が上に立った時にどう動くべきかを考えての行動なんだろう。誰だって使えない下っ端は遠慮したいもんね。まあ私の家族に限って役立たずなんているはずがないけど……い、いないよね?



 「ガウッ!」


 コウガは【爪牙研ぎ】で攻撃力を増加させつつ、セツナの攻撃が当たった際に一瞬止まる氷獣王に一撃を入れるべく目まぐるしく動き回り、クルスも上空からの岩石落としもとい、ロックブラストで氷獣王の走行を妨げようとしている。目論見はうまくいかず、氷獣王は岩が落ちた所とは、てんで逆の方向に現れたりしたけど。

 とはいえ、氷獣王は上空からの岩に少々イライラしているらしく、鬱陶し気にクルスを見上げ、氷のブレスを吐き散らしている。クルスはそれをスッと回避しつつ、ブレスを吐く際に止まる一瞬を狙って翼闘技による一撃を食らわせようと接近する。しかし……


 「グルァッ!!」


 氷獣王はそれを狙っていたかのように突っ込んできたクルスに対して尻尾によるカウンターを食らわせた。


 「クワァァァッ!!」


 クルスは尾の一撃を食らい一気に戦闘不能に……と思いきや、かろうじて立ち上がった。

 立ち上がれたのは仲間にした時から持っていたクルスのパッシブスキル【狩人の根性】によるもの。



 【狩人の根性】:一定以上の体力が残っている状態から相手の攻撃で体力が全損するのを防ぐ。このスキルが発動した時、物理能力が上昇する。体力が2割以上回復した時、スキルの効果は消える。



 このスキルの効果により本来なら死亡する一撃を耐えきることができたんだけど、初めてこのスキルが発動したのを見たよ。

 起き上がったクルスに対してイリスが回復行動をとろうとしたがクルスが「クワァッ」となき、その行動を止めた。どうやら今のイリスの回復魔法を使うと、現在発動中の攻撃力上昇の効果が切れるのを懸念しているのだろう。

 それならばとイリスの代わりにカエデが木魔法のリジェネレイトを唱える。


 リジェネレイトの魔法は五分間、徐々に体力が回復し続ける魔法だがそれでも最大12%しか回復しないという微妙な魔法だ。まあ効果が微妙なのはカエデの木魔法のレベルが低いだけなんだけど。

 というかそれなら使わなくてもいいんじゃない?と思うけどカエデが使いたかったんだからいいとしよう。木魔法のレベルアップにもつながるしね。


 仕事を奪われたイリスは少々不貞腐れながら前線で戦闘中のコウガやセツナに目を向ける。そちらもこの短時間で戦況が変わっていた。

 氷獣王の鋭い剣状の手足による斬撃でセツナは回避に専念することになり、コウガもセツナが攻撃に移れないでいる為、なかなか攻撃に転じることができずにいた。


 「ガルルッ……ガオォッ!」


 猛々しく吠えたのはコウガ。このままでは埒があかないと考えたコウガはそのまま氷獣王へと突っ込んでいく。

 当然氷獣王は大きく吠えたコウガに対しての警戒を強め返り討ちにするべくグッと足に力を込めた。そして両者がぶつかった。


 ガキィィィン!!


 だが氷獣王の剣とぶつかったのはコウガではなくルドラだった。

 ルドラの自慢の【甲殻】と【鉄壁】さらにドラゴンに進化してから得たスキル【鱗強化】【防御強化】を併用した結果、ランクとレベルの差がある氷獣王の攻撃を受け切ったのだ。

 氷獣王も自分の攻撃力には自信がある方だったので目に見えて驚きの表情を浮かべている。いや、攻撃を受け止められたことも要因の一つだが、そもそもコウガより体の大きなルドラを見逃していたという事実が信じられないのだ。先ほどまでは間違いなく全員の配置を頭に入れており、当然コウガが動き出す前のルドラも離れた場所にいたと感知できていた……はずだ。


 その答えは簡単。走る速度の遅いルドラをコウガに追いつかせるには走る以上の速度で飛ばせばいい。それを担ったのはカエデだ。

 カエデはクルスにリジェネレイトを賭け、その後コウガの猛々しい雄たけびもとい指示に反応し、ルドラを枝と蔦により拘束、【ナチュラルメイク】で作った多くの果実類とともに【連射】スキルで投げつけただけだ。この時の位置関係はルドラとカエデが隣接しており、その前方にコウガが居た。カエデのモーションがコウガの影に隠れたせいで氷獣王は仲間を投げてくるという行動が予測できなかった。



 「グルルァッ!!」


 氷獣王がルドラの謎に混乱したその一瞬の隙を逃さず、コウガの豪炎乱舞とセツナの疾風斬が氷獣王へクリーンヒット、さらに攻撃力上昇中のクルスも上空から参戦する。


 「グオオォォンッ!」


 攻撃力の高い三人の攻撃に思わず声を上げ倒れる氷獣王。すぐに起き上がってきたものの、その目にはまだまだ闘志がみなぎっていた。

 ここまでの所要時間は約四分。アイリの魔唱歌が発動するまでまだあと一分少々といったところだ。



 おっと、ここで忘れてはならないのがアイリのお願いにより戦闘に参加させられてしまったティアの事だ。

 ティアはスキル関連でいうと仲間の補助をすることも出来ないし、アイリの指示した二つのスキルを使っても逃げきれないのは本人が一番よくわかっていた。

 そんな中ティアが取っていた行動は……


 「アイスボムは……コウガさん達を巻き込んじゃう!じ、じゃあ、フロストフラムは?……ダメ、さらに影響範囲が広くなりすぎる……」


 合成で作ったアイテムを取り出しては【予測】を発動させ、使用した場合にどういう結果になるかを見て、何とか皆を補助しようと頑張っていた。いや、結果から言うと終始悩んでいただけなんだが……。

 だがこの無駄に見える行動も氷獣王がティアを警戒する一助になっていたのも両方の意味(無駄に見えるではなく無駄そのものだった事と氷獣王がそのアイテムを警戒する)で事実なのである。





 「ラーララー♪みんなお待たせ!魔唱歌【エクスチェンジ】!」


 そしてみんなが頑張る中とうとう私の魔唱歌のスキルが発動する。

 私が選んだ魔唱歌の組み合わせスキルは仲間一人に自分のステータスを分け与えて強化をする【エクスチェンジ】というスキル。

 魔唱歌と組み合わせることによって仲間一人ではなく全員に同じ効果が及ぶことになるこの凶悪さが理解してもらえるだろうか?


 「氷獣王……どうして隙だらけの私を攻撃しなかったのか後でしっかり答えてもらうからね」


 なんとなく王種はカタコトでも言葉が喋れることを認識してしまっている。コーカサスは虫だったから喋ることは無かったけどさ。

 死霊王も今際の際にちゃんと言葉を発していたし、魔人王や吸血王も領地を治めている以上言葉は必須だと思う。

 極めつけはエレノアから聞いた樹齢王の事。樹齢王も長く生きたという設定?で流暢に言葉を交わしたらしいからね。


 氷獣王は私のスキルでどういった効果が起きているかはまだ理解しきっていないがなんとなくヤバそうだという感じは受けているらしい。


 「さあ、皆には私からの祝福を与えるよ。思う存分暴れていらっしゃい」


 エクスチェンジでいつも強化に割り振っていたステータスはINT値。だけど今回は私を形成していると言えるCHAを振ろうと思ってる。

 ブートキャンプ中に一度だけCHAを100割り振る戦いがあったんだけど、割り振った子の戦闘力がINTで行った時とは上昇値などが違いすぎた為、よほどの事が無い限り控えようと考えた。

 でも今回の戦いは王種を従えないといけないから私の中ではよほどの事と判断した。


 氷獣王戦のために割り振ったCHAの数値は200。

 100ふっただけであれだけの能力になるのならその二倍を振ったらどうなるんだろうという興味もある。そんな予測不可能な効果が魔唱歌により家族みんなに割り振られることになる。


 《コウガはエクスチェンジの効果を受けエクストラ体に変化した》

 《セツナはエクスチェンジの効果を受けエクストラ体に変化した》

 《イリスはエクスチェンジの効果を受けエクストラ体に変化した》

 《クルスはエクスチェンジの効果を受けエクストラ体に変化した》

 《カエデはエクスチェンジの効果を受けエクストラ体に変化した》

 《ルドラはエクスチェンジの効果を受けエクストラ体に変化した》

 《ティアはエクスチェンジの効果を受けエクストラ体に変化した》


 「えっ?エクストラ体って何?エクスチェンジってステータスがあがるだけじゃないの?」


 急いでコウガ達のステータスを確認してみたところこのようなことが分かった。

 エクストラ体というのは進化ではなくその戦闘中のみ効果を及ぼす体質の変化。見た目は変わらないがステータスを確認すると強化率がすごいことになっている。ブートキャンプの時の比じゃないわ、これ……。


 とりあえずセツナの場合どのくらいの変化なのかを見るとこんな感じ。


 名前 セツナ

 種族 レッサーフェンリル♀ 獣種ランク6

 LV 8(22100/255000)

 スキル アクティブ【疾走】【噛み付き】【潜伏】【咆哮】【風魔法8】【風纏】【嵐風らんぷう】【氷魔法6】【疾風斬】【吸収】

 パッシブ 【同種連携】【風系統能力強化】【氷系統能力強化】【シンパシー】【神の血筋】

 強さ

 物理能力 640

 魔法能力 590


 装備:新月の小太刀(物理能力50+魔法能力55)



 名前 セツナ

 種族 エクストラ・レッサーフェンリル♀ 獣種ランク6

 LV 8(22100/255000)

 スキル アクティブ【神速】【噛み砕く】【真影・潜伏】【黄泉の咆哮】【風魔法8】【風纏】【嵐風らんぷう】【氷魔法6】【滅・疾風斬】【吸収】

 パッシブ 【同種連携】【風系統能力超強化】【氷系統能力超強化】【シンパシー】【神の血筋】

 強さ

 物理能力 1950

 魔法能力 1770


 装備:新月の小太刀(物理能力50+魔法能力55)



 ステータスが約三倍に上がってスキルのいくつかが変化しました。

 【神速】:神の如き速さで駆け抜ける事ができる。

 【噛み砕く】:強化された顎で万物をかみ砕く。

 【真影・潜伏】:潜伏状態で攻撃しても潜伏の状態が解除されない。感知系に見つかる可能性が低下する。

 【黄泉の咆哮】:咆哮に地獄から吹く極寒の冷気を付与する。自分よりランクが低いモンスターに対しては確率で即死の効果を与える。

 【滅・疾風斬】:疾風斬を純粋に強化させた終の奥義。その速さですべてを断ずる。

 【風系統能力超強化】:風系統の威力をさらに上昇させる。風系統攻撃使用時に稀に眠りを付与。

 【氷系統能力超強化】:氷系統の威力をさらに上昇させる。氷系統攻撃使用時に稀に鈍足を付与。



 セツナ以外、コウガ達のステータスを確認すると違和感があった。セツナは約三倍上昇しているのにコウガはせいぜい二倍といったところ。クルスは二倍より多めに増加しているみたいだけどセツナみたいにスキルが変化してたりはしていない。ティアは……ステータスが二倍になったところで戦力にはなりえないよね。


 ちなみに二倍の上昇値というのはCHAを100振った時とほぼ同等だった。


 この結果からエクスチェンジによる強化は対象のモンスターのランクが大きく関係し、さらにステータスを100振るごとに効果が変わるんじゃないかと思った。詳しく調べるために、CHA50振り位からステータスの上昇値などの検証もしてみよう。


 そして現在の敵対相手である氷獣王はというと魔唱歌本来の効果により何らかのステータスが減少していると思う。私としては攻撃力か、速さが下がってくれてるとありがたいんだけどな。


 魔唱歌が発動した辺りから氷獣王の落ち着きがなくなっていることに気づく。

 それは氷獣王の前に圧倒的に強化されてしまったセツナが立ちふさがっているから。だが王としての威厳を保つため氷獣王は吠える。きっと自分に喝を入れているのだろう。


 そして次の瞬間、氷獣王は謎の瞬間移動スキルを使用した。そのスキルで向かった対象は……私だった。

氷獣王戦が落ち着いて100話超える辺りでいったん更新停止いたします。

GW商戦に向けていそがしくなってきたので。

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