91話 閑話【闇の領域の影①】
すいません。本編がまとまらなかったので、急遽、適当な小話(なんか最近触れたネタに抵触してるけど)かきました。
ぬおぉぉ!という感じで書いたの文章の並びとかが非常におかしいかもしれないです。
なので、この文章ってもうちょい前(後)じゃねぇ?とか言うのがあればぜひご指摘を。
あっ、でも批判は少なめで……(本編ネタ滞ってる時に批判来ると書けなくなるから、落ち着いたころに批判してください、まじで……)
「アイリ様はそろそろヘリオストスに到着された頃だろうか」
ユールにある大きな屋敷の中でパーシヴァルがつぶやく。彼がアイリを見送ってすでに四日が経過している。遠回りをしていたとしても町に到着しておかしくない頃合いである。普通ならば……だが。
パーシヴァルは知らない。ヘリオストスに向かったアイリたちが現在ユール・ヘリオストス界隈で一番凶悪とされる暗闇の山でノリと勢いで強化合宿もとい、ブートキャンプをしているなんてことを知るはずがないのだ。
「まだ四日しか経っていないというのに、僕の心はアイリ様に会えない不安で押しつぶされそうだ……」
実はこのパーシヴァル、魅了効果など関係なくマジでアイリにホの字らしい。それはそうだろう。彼女は自分の命を救う素材を名前だけしか情報がない状態からすべてを探し出してくれた。しかも予想よりも早い時間で。
その先日まで患っていた自分の心臓の病は闇の領域では治せないものだった。失意の中、商売の関係上、知りあった高位の存在から光の領域にある素材ならばもしかすると……という話を聞き、藁にも縋る想いで光の領域の探索任務を受けた。
光の領域に配属され、商人として名を上げてからも素材の名前など必死に調べたが、なかなか思うような情報が集まらなかった。
そんなあるとき、光の領域側からと闇の領域側からのメッセージを受け取った。もちろん内容はどちらも同じだ。
《一日後、別の世界からたくさんの冒険者候補が現れる》
その言葉通り、翌日にはたくさんの異世界の冒険者候補たちが次々と現れては町へ散っていく。
その中にひとり、異彩を放つ存在が居た。銀色の髪をした女性で、見目が麗しい人。パーシヴァル自身は闇の領域では貴族であるし、光の領域においても美しい貴婦人などと直に取引をしたりもしたものだ。
なのでそういう見目の麗しいだけの人など見飽きている。だがそんな彼でもその女性からは何かを感じずにいられなかった。
今更だがパーシヴァルは力がものをいう闇の領域での子爵クラスの貴族。子爵クラスまで行ってる時点で実はパーシヴァルの戦闘力は意外と高いのだ。そして光の領域での顔は消耗品から背後関係のきっちりしている情報といったものを扱う大手の商店を経営する商人。
この際の情報はすべて自分の病気を治す素材を調べる間に手に入れたものでいつか役に立つかもしれないと温めていたものでもある。
話を戻すが彼女から感じたのは底知れぬ謎の風格。おそらく彼女自身が気づいていないおかげで力の全てを発揮しきれないでいるのだろうことは見て取れた。
パーシヴァルは彼女を見かけた瞬間から自分の下の影を使って動向を探らせていた。もちろん彼女だけではなく他に目星をつけた者もいるからストーカーではないはずだ……たぶん。(この時は興味しかなかったんだ! 本人談)
こういう影を付ける理由はその人がどういう行動をとる人間かを判別するのと、協力する場合もしくは何かの理由で依頼を出すことになるときに役に立つのだ。
結局、影を付けた中で最後まで残ったのはその銀色の髪の女性だけだった。彼女の行動は一見光の領域に貢献しているように見えて実はそうでもないことから、情報を集める価値はあると踏んでいたのだ。
そう判断した原因はやはり素材系統だろうか。彼女は明らかに他の冒険者達より強いモンスターを狩っているのにその素材を流通させていないのだ。普通の商人がそれを知っていれば絶対におかしいと思うだろう。
パーシヴァルは影を使っていたので気づくことができたが、他の商人がこの情報をつかんでいるということはまずないだろう。
その後の彼女の行動の報告を聞き、初日に犬二頭、しばらくして魚と鳥、さらに変異種の木など……彼女が仲間に加えたのはそれなりの時間戦いをこなせばエリアの中で最強クラスになれることは間違いない。
とくにあの犬二頭に関してはガイアの町からほど近い森に生息していたことから商人仲間が何人もやられ、何度か討伐隊が組まれたこともある個体たちだ。犬たちは自分たちの力を知っているため、不利になる数の相手の前には現れず、確実に屠れると判断した時に姿を現す、そういった面もみせていた。
そんな彼らがすぐに倒せそうな彼女に戦わずして頭を垂れたあげく、彼女のペットに甘んじているという報告には驚かされた。
その後の魚とか鳥に関しては触れなくてもいいだろう。
その後もいろいろあり、彼女の人となりを知ったパーシヴァルは一つの決意をした。
そう、彼女がギルドに行くタイミングで依頼を出したのだ。彼女の行動を見る限りその時点で受けられる依頼は全部受けるタイプのようだった。
読みが当たり彼女は自分の依頼と、もう一つの依頼を受けギルドを出た。あとはしばらく待って対応するだけだ。
「おそい……」
依頼を受けたらすぐに顔を出すだろうと思っていたが予想に反し、なかなか訪ねてこない。
結局彼女が来たのは依頼を受けてからかなり時間がたってからだった。理由はもう一方の依頼人と話をしてたら遅くなっちゃったのだそうだ。そういうことならまあいいだろう。彼女がそういう人だという報告もすでに受けていたのだから。
パーシヴァルは自分が病気であることは隠し、素材を探して来てくれるように頼んだ。この件は先も述べたが一つ辺り一カ月以上はかかると踏んでいたが数週間ですべての素材を持ってきたのである。
そして作られた心臓病の特効薬。それを飲んで二日も経つころにはパーシヴァルは全盛期の能力を取り戻していた。
ちなみにこの力があれば、彼女が集めて来てくれた心臓病の素材など楽に手に入れられるが、その力を出せなかったのだからしょうがない。
力を取り戻した日からしばらくの間パーシヴァルは、ガイア近くの高山上層部(アイリは下層=中層手前まで)で今までたまっていた鬱憤を晴らしていたりした。その際、一人の強い女オーガの命が散ったがそれは誰も知らないことだ。
力の扱いのカンを取り戻したことで、本当に自分の病が治ったことを実感し、同時にアイリに惚れてしまっている事実に気が付いてしまった。
そういえば彼女の放った覇気にも驚かされたものだ。最初に見た時は自分の事を理解できていなかった様子だったのに今回発動された覇気には彼女自身の特徴が顕著に表れていたのだから。
古文書にも記されていた特徴とは大罪系の【魅惑の令嬢】と呼ばれた古代魔王種が使っていたものに似ている。まさか彼女は古代魔王種の生まれ変わりなのではないかと……。
パーシヴァル自身はそういった古代魔王種には興味などは無いが、アイリがそういう方向に進むというのなら喜んで情報を集め提供するだろう。
何せ彼の配下には条件を絞ることで失われたものですら簡単に調べる力を持つものが居るのだから。
その後もなんやかんやあったがその最たるものがこれだ。一言でいえば【ガイアの城を攻める】。
最初彼女からこういう事をしたいという案がきて、パーシヴァル達がそれを行えるかを相談。この頃には闇の領域から派遣されてきたスパイたちの数も多くなり、光の勢力側にも気づかれ何人かは処断されている。その生き残った腕利きのスパイたちがアイリ様の頭脳やら露払いとなることを宣言。
なんだかんだでスパイ連中は彼女の魅了にやられきってしまっていたのである。特にアサシンギルドのイザベラのアイリ様への傾倒ぶりがすごかったな。
そして始まったガイアの城攻略……あわよくば人王を倒したい……。
アイリ様が初披露となる軍勢スキルを発動させた。うーん、すごい。軍勢スキルは魔王の基本スキルだ。そして軍勢の種類と数が多ければ強者と認められる。
良識ある(?)魔王同士の場合は自分が出たら釣り合いが取れないからと言って軍勢のメンバーだけで戦争を行ったりする。まあ余興みたいな感じだろう。
勝った方はまけた相手側の軍勢を奪い取ることができるのだ。良識のない魔王の時は……知らんな。
結論から言うと人王は強いと言える。パーシヴァルが本気で相手をしても良くて勝率一割といったところか。この時点で目的は達成しているので危険にならない内に逃げるというアイリ様。アイリ様の覇気のおかげで人王は一瞬弱体化した様だがそれも逃げるまでの数秒だけ。
無事人王から逃げ切ったパーシヴァル達は光の領域を脱出し、住みなれたユールへ戻った。
そこでしばらくユールを拠点にするというアイリ様に頼まれ屋敷の一部屋を使っていただけることになった。
毎日欠かさず寝顔を見ようと夜中に寝所へ入ってみるが、その度アイリ様の体は無かった。どうやら異世界へお帰りになられているようだ。だが朝になると何事もなかったかのように部屋から出てくる。実に不思議だ。
空間転移の魔法でも使われているのだろうか……あぁ、空間転移と言えば、アイリ様から光の領域へ行けるような移動手段(転移系の)がないかを聞かれていたんだった。
とりあえずそっちの調べ物をしておかないと……。(続)
投稿してからいう事じゃないけど、指摘が無くても文章をその都度修正していこうと思ってます。
前書きかあとがきに大体こういう風に書いてる話はこっそりと内容が変わってたりするんだZE?
次話更新ですが、前書きにも書いた通り巨獣戦をどういう風に盛っていくかまとまっていないので、もしかしたら次も閑話的なものを書くかもしれません。
投稿予定日は土曜か日曜に間に合わせたいかなぁという感じです。




