表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/195

89話

色々言いたいことがあるかもしれません……。

 【巨獣からのお願い】:飢えに苦しむ自分の仲間たちを助け、絶滅の危機にある仲間を保護してほしい。

 報酬;蒼剣獣サーベリオスの仲間化、助けた獣達の従属化(配下)、その他。



 巨獣(蒼剣獣というらしい)が、出してきたクエストを纏めるとこのような事が書かれていた。

 私が巨獣に与えた肉系の素材を彼の仲間たちにも与えてほしいという事、そして私の発した覇気により私が世界に認められた王種であることを認識し、個体数が少なくなっている仲間の保護を頼みたいということだ。


 肉に関しては手持ちはエゾシカの高級足肉以外全部この巨獣に与えてしまったから取りにいかないとダメだけど、鹿の相手は特に苦労することは無いから問題はない。

 やらないけど、軍勢の中に配下に勧誘した鹿が居る。流石にそれを肉扱いするのはまずいよね。

 後者の王種として認められてると言っても戦力的にはアレなんだけどなぁ……。戦いになると配下になった自分たちを使われるということを認識しているのか心配しちゃう。



 「この条件を満たせばあなたは私の家族になる事を了承するのね?」


 巨獣が頷くことで肯定を示す。


 あっ、やばい。仲間への勧誘が成功しそうなのが久しぶりすぎて、ちょっと魔王モード時の口調が出ちゃった。エレノアは……あっ、こっち見てる。まずったかも。


 「アイ、アンタはなに言ってるの?条件なんか気にせず助けてあげなさいよ。この子達が可哀そうだと思わないの」


 どうやらエレノアはこのクエストの発生自体には驚いてないっぽい。むしろそんな些細なことよりも目の前の巨獣が猫のようにクワァッと欠伸をしながら丸まっている仕草に気が向いている。

 この反応でエレノアは猫派の人間だと気づく。もしかしたらこの巨獣を仲間(家族)にしたらまたエレノアに付き纏われるかも知れないと思うと何となくげんなりする。

 まあ最悪逃げ回るか、エレノアが入ってこれないトリビアの研究所に引きこもるのもありだね。



 「別に断る気はないよ?むしろ私の戦力が増えるからありがたいもんね」


 巨獣にはクエストの受理を示す。すると巨獣はスッと立ち上がり、三層の方へ歩いて行った。

 次に巨獣と会うのはお肉素材をたくさん所持し、条件を満たせた時。だけど鹿肉だけだと面白くないからいくつか種類を集めてみようか。あの林エリアの鹿の数が激減したら大変だし。


 ……ごめん嘘ついた。鹿ばかりでは飽きるので別のモンスターも倒したいんだよ。とにかく大河周辺のマップを探索して皆を育成しつつ色々な肉を集めるのは確定路線だね。



 「あぁ、行っちゃった……あと、数十枚くらいはSSを撮りたかったのに……」


 エレノアががっくりしている様子が見える。ていうかどれだけSSを撮る気だったのさ……うんやっぱ彼女は猫派だ。間違いない。


 「それじゃ、五層に戻ろう。FSの皆さんの援護をしてあげないと」


 「あっ、そうだったわね。忘れてたわ……」


 こら、エレノア。あなたの所属するパーティなんでしょ?バッカスさん達の事忘れたらかわいそうじゃない!




 五層に戻るとそこではFSの皆さんが氷の蛇相手に奮闘を続けていた。様子を見る限り五人だけで氷の蛇をするのは問題なさそう。


 「バッカス、援護いたしますわ」


 エレノアが走り寄っていく。相変らずエレノアの外面の口調には驚かされる。ついさっきまで私と砕けた話をしていたのに、あっという間に切り替えてくるんだからね。


 「おぅ、エレノア、それにアイリたちも戻ったのか。あの巨獣はどうしたんだ?」


 あれ?同じパーティだったのに私にクエストが発生したことに気づいてないの?なんでだろう?エレノアはクエストが発生したことは知っていたのに……。


 「セツナがある程度相手をしたら逃げましたわ(特殊なクエストは同じ場所にいないと情報共有されないのよ)」


 バッカスに返事をしながらもエレノアからメッセージが届く。エレノアは弓を手に氷の蛇に連続で矢を放っている。だからボスの相手をしながらなんでそんな器用に文章が打てるのさ!

 エレノアにそうなんだ?という返事を返しながら考える。


 ということは、私がクエストを受けたことを知るのはエレノアだけって事か。じゃあ今は気にしなくていいや。


 「バッカスさん、私は……というかセツナはどうすればいいですか?」


 「おぅ、そうだな。ぶっちゃけ巨獣が居ない時点で手助けはほとんどいらないけど余計な時間が取られるのも面倒だから攻撃に参加してほしい」


 「わかりました。セツナ、適当に氷の蛇の相手をしてあげて。でもFSの皆さんの邪魔はしないようにね?」


 「ガオォォン!」


 勇ましい返事とともにセツナはすごい速度で氷の蛇へと向かっていく。現在氷の蛇を正面から相手しているFSの前衛さんその①(自己紹介をされたけど名前を覚えられなかったFSメンバーの人)とは逆の方向へ回り込み、風魔法のハリケーンシュートを放つ。

 この魔法は相手の防御を無視してダメージを与えるのだが、そのダメージ量は魔法のレベルごとに固定されている。

 がら空きの背中に次々と刺さっていくセツナの魔法。氷の蛇は突然の後ろから来た攻撃に驚き、体をよじるがヘイト管理はFSの前衛さんその①がしっかりしているので目標が変わることは無かった。


 うん、あの前衛さんはヘイト管理がうまいんだね。収納の中から見ているであろうルドラにあれくらい出来るようになってねと思いを込めつつ、セツナへ指示を続ける。



 「もうすぐ終わるぞ!全員で弱点の火属性魔法だ」


 バッカスさんが指示を飛ばす。その声に反応したエレノアとその他のFSの人たちが魔法を唱える。ちなみに前衛その①は蛇の相手をしている。


 うーん、セツナは火属性魔法なんて持ってないよ。しょうがないからエアロボムでも放ってもらおう。


 「ブレイズシュート」「ファイアーボール」「ラーヴァシュート」「煉獄」


 若干一名、発動した魔法名がおかしい人が居るみたいだけど気になんかしないよ。その位プレイ時間がおかしい人だってことくらい知ってるもん。やっぱり私たちより魔法のレベル高かったかぁ……。


 「セツナ、前衛さんにトルネードガード、続けて火の魔法の着弾地点にエアロボム!」


 「ガゥッ!」


 ドオォォーン。一度に放たれた火の魔法が氷の蛇に着弾すると同時に撃ち込まれたエアロボムにより、いつも通りの火柱が上がるのではなく、火と風の混じり合った大規模な爆発が巻き起こった。


 あっ、トルネードガードっていうのは属性ダメージを一度だけ無効化する暴風障壁を対象に張る魔法でフ火や風などの余波も防いでくれたりもする。今回の爆発は両方の属性だから効果は抜群って感じ?

 爆風が収まるとそこには氷の蛇が粒子化していく様子と、爆発を目の前で見て呆然とする前衛さんその①達が居た。


 「ア、アイリ……さん?さっきの魔法は何かしら?(ちち、ちょっと、いったい何なのよ、さっきのは!)」


 一足先に我に返ったエレノアが口を開き、裏では私にメッセージを飛ばしてくる。文章からはあのエレノアが動揺しているのがよくわかる。


 「魔法の相乗効果だけど?FSの皆さんのように同じ属性の魔法を重ねて破壊力を増すのもいいけど、タイミングよく別の属性を交わるように重ねることで別の効果を生み出す戦い方もあるんです。というか皆さんご存じなかったんですか?」


 「な……ないな……」


 「同じ属性しか合わせられないと思ってた。いや、正確には試したことはあったが、うまく合わせられなかったからこの形で定着してたんだけどな……」


 「それを仲間に指示を出してやらせるって、実行したセツナもそうだけどアイリさんもすげぇのな……」


 どうやらブートキャンプでようやく形になった属性の重ね合わせは誰も成功していなかったみたい。

 私たちも形にするのに一週間近くかかったし、難しいとは思ってたけど誰も使えないほどとは思わなかった。


 「とにかくそちらのボスは倒せたみたいですし、お手伝いは終了ということでいいですか?」


 「あぁ、最後あそこまでやる必要はあったのかと聞きたい気持ちはあるが、助かった」


 バッカスさんが若干引き気味に答える。実は私もエアロボムはいらないんじゃないかと実は思ってたんだ。でもそこはあえて気づかないふり。それに彼らにとっても属性を合わせるとこういうことも出来ると知る機会になったんだし悪いことじゃないはず。


 「それでは私は採掘に戻りますのでパーティを抜けるね。お疲れさまです」


 「……お疲れさまでした(後で聞きたいことがあるから宿屋に来なさいよね!)」


 エレノアからのメッセージに了解と返事をして氷の蛇のドロップアイテムをいくつか分けてもらい、セツナとともに四層へ戻ろうと背を向ける。ちなみにFSの皆さんはすぐに氷窟を出て集落に戻るそうだ。


 しかし……


 「おーい、わざわざそっちに戻らなくても冬血の結晶が掘れるところならすぐ近くにあるぞー。脱出の魔法陣もな」


 「っ!?」


 優雅に去ろうと思ったけど台無しだった。少し照れながら指さされた方向へ向かう際にFSの名前不明の人が「ヤベェッ」とか聞こえたけど何がやばいんでしょうね?




 その後見つけたムキムキの筋肉の像にピッケルを何度も振るい、冬血の結晶を予定より多めの20個を獲得。この氷窟で最初から使ってたピッケルは一つ目の結晶を掘り出した時点で壊れたけど、替えのピッケルは2~3個を掘り出せたのでピッケルをすべて使い切るころには十分元を取れる数を獲得出来た。


 クエストアイテムさえ手に入ればもうここには用事がない為脱出、その後集落へ帰還。

 そこでエレノアに本題を含めて先ほどの魔法の複合の事も含めてさわりを説明した。全部教えようとしたら少しだけ教えてくれたらあとは自分で研究すると聞かなかったからしょうがない。


 そうそう、エレノアの本題はやはり、パーティプレイしている時のキャラ(口調)に関しての黙秘について。

 言いたくてもフレンド枠に登録されてるのはトリビアをはじめとした住民の人たちとプレイヤーが数人だけなので、いう相手が居ないのさ~(寂)。


 あとは巨獣の話もあったけど、私に対して提示されたクエストだったためエレノアは受諾していない。

 仮にエレノアが受諾しても、巨獣を育てるスペースもないし、最悪私とのモンスターの所有権を賭けたバトルが勃発しかねないし、その他の仲間(私で言うと軍勢スキル側に入るモンスター達)を収納するスキルもないから無意味だもんね。

 必要になるとしたら素材などのアイテムだろうけど「何をもらえるかもわからない事を手伝う気はないわ」とか「あっ、でもあの巨獣を仲間にしたのなら教えなさいよ?フルパーティのお祝いをしてあげるわ」とか言っていた。後者は絶対お祝いにかこつけて猫っぽい巨獣を堪能しにくるに違いない……。目つきもギラギラしてたしきっとそうだ。


 話すだけ話したところで、エレノアはFSの皆の所へ戻っていった。去り際に「アイには負けたくないからもっとレベルを上げてくるわ」と言われたけど、なんで私が目の敵にされたのか全く以って意味不明です。



 エレノアが去った後、集落の雑貨屋に生産系のプレイヤーが居たので、周辺で取れた木材やモンスターの毛を渡してセツナ用のブラシを作ってもらった。セツナだけ体が大きいからね。

 ただしブラシが完成した後、大変な事態に陥った。


 「お、おもい……」


 実はこのブラシ、棒系統の武器扱いされたらしく、装備レベル制限があったのだ。

 結果私には持つことができないという悲しい出来事が起き、泣く泣く新ブラシは廃棄されたのだった。



 その後周辺マップの探索をしはじめて数日が過ぎたある日の事……。


 「あつまったぁぁぁぁぁ!」


 スノトラとかスノウバードが出現する山の上で肉が集まったことに歓喜する私の姿があった。

後半めちゃくちゃになったかもしれない。とりあえず次話投稿する前後で修正するかも。


その次話ですが、本日土曜日から水曜日まで仕事があるので木曜日辺りに予定しております。できても指摘個所の修正程度かなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ