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87話

 無事セツナの進化が終わりレベル上げ……となったわけですが、その必要経験値の多いことと言ったら半端ない。セツナがレベル2に上がるために必要な数値は35k(35000を示すネトゲの取引などでよく使われる用語)。この数字は一般的なランク1のモンスターならレベルが18(ランク1の上限値は20)まで上がる数値とほぼ同じ。


 氷窟に出現するモンスターから得られる経験値の平均は一体当たり千から千五百だから経験値を多く得られる敵を倒しても最低でも二十体は倒さないとレベルが上がらないって事。これは先が思いやられるね……。


 「クオオオオンッ!」


 敵を前にセツナが吠える。今セツナが相手しているのはフリーズスパルトイ(氷のスケルトン)という骸骨っぽいモンスター。見た感じから物質系と死霊系の種族属性を持っているのは間違いないと思う。まあだから何?って言われたらそれまでなんだけど。


 「セツナ、疾風斬!」


 「グオォン!」


 指示を飛ばすとすぐに発動される攻撃スキル。疾風斬とはその名の通り風のように素早く行動し相手を斬りつける(切り裂く)攻撃スキル。この攻撃スキルはスキル自体の強さもそうだけど風系統のスキルのレベルによって威力が増減する。セツナはもともと風系スキルをよく使う子だったから威力が低いという心配はない。


 セツナの爪がフリーズスパルトイとすれ違い、敵の後方にセツナが着地すると同時に相手の体が上下に裂かれ、粒子となる様子が見えた。

 ひえぇ、レベル1でこれだけすごかったら本当に心配する必要はないね。モンスターにとってランクの差はやはり偉大なのかもしれない……。


 少し前にクルスがランク4に進化した時にもその攻撃力に驚かされたけど、今のセツナから感じる驚きはその時以上だ。ちなみに現在の力関係には進化したばかりのセツナが攻撃面で上位三位に入っている。

 クルスとコウガの攻撃力がまだ一位と二位になっているけど、しばらくしたら関係が変わりそうだよ。


 セツナの動きを見てコウガも背中の毛を逆立て、私と出会う前から連れ添っている相方に興奮している。

 一方、セツナは戦闘が終わるといつも通りコウガに寄り添い、毛づくろいを始めている。体の大きさ的に、セツナが彼女というよりお母さんに見えてきた。頑張れコウガ!早くお父さんに見えるように進化しようね!



 「セツナは余裕そうだけど、一応皆でフォローしてあげてね」


 そういうとコウガとカエデが返事をしてくれた。


 三層で確かめるべき事は確かめたから、次は早くクエストアイテムの冬血の結晶を探さないとね。たしか白い鉱石の塊からとれるんだっけ……。



 四層へ到着すると目に付いたのは青やら白の色のついた像。しかもマッチョでムキムキな要素だ。

 どういう風にマッチョでムキムキかというと、上腕二頭筋?の像があって見事な力コブを表現している。


 「……脈絡なさすぎるんじゃ?」


 つぶやきながら先へ進む。四層に現れるモンスターは氷の守護者と呼ばれる巨人像のモンスター。

 はい、三層において、私が採取中にコウガ達が無傷で倒してたあれですね。それが大量出現する階層。


 「それじゃ、また私は採掘にするからセツナの経験値稼ぎも兼ねて適当に倒しておいてね」


 「ガルルッ!」「グォンッ!」ザワザワワー……


 三人から返事をもらった私は近くにある通常採取ポイントでピッケルを振り下ろし始めたのだった。

 飽きてるって言ってたのにピッケルをふるう理由は簡単。ティアの合成スキルで作れるフリージングフラムというアイテムがここの素材だけ(出現モンスターのドロップアイテムも含む)で作れることもあり、もしティアのレベルが戦闘以外の方法……【チョメチョメ】やら【合成】やらで経験値を稼げるタイプだった場合に役に立つと判断したから。



 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 「おい、あそこにプレイヤーが居るぞ……」


 「マジか……?ここで採掘してるところを見ると生産系なのか?しかも一人で来るとか……それにあの服装……」


 「いや、一人じゃないみたいだ……そっちを見ろよ。やべぇのが複数居る」


 「んぁ?げっ?何じゃ、あのデカい狼っ!」


 「しっ、黙っとけ……とりあえずあのプレイヤーに話を聞いてもらおうぜ」


 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




 「突然すまない。実は頼みがあるんだ……」


 私が採掘に精を出していると後方から声を掛けられた。振り返るとそこには四人のプレイヤーの姿が。

 全員が男性であったため少しばかり私は警戒を示す。

 いつの間にか戻ってきていたコウガとセツナが威嚇を、カエデはすでに何かの実を作成し、何かあった時にすぐに行動に移れるように準備をしていた。


 「!? 待ってくれ、警戒しないでほしい。俺たちは何もする気はないんだ。ただ話を聞いて、出来れば協力してほしいだけなんだ」


 彼らはアイリと同じく、クエスト関連で氷窟に来ていた固定のプレイヤーパーティで平均レベルは45、パーティーのバランスは前衛二名・後衛二名・支援二名がしっかりそろっていた。

 そろっていたということからわかる通り、過去の話である。彼らはこの先の五層でクエストの討伐対象と戦っていたのだが、戦闘中に巨大な獣が乱入してきて安定していた戦いを乱されたんだって。


 「それで私にどうしろと?」


 「その……もうすぐやられた二人がここに戻ってくるんだけどな、その……まだパーティ枠に空きがあるからそこに入って手伝いをしてほしいんだ」


 「へぇ、クエストのお手伝いですか。それはいいのですけど、私は戦闘では役に立ちませんよ?」


 「えっ?だけどここまで来れるってことはレベルが高いんじゃ?」


 「いいえ?詳しいレベルを教えはできませんけどレベル30すら到達していません」


 フフッ、ほんとはレベル30どころかレベル1なんだけどそこまで詳しく教えてあげる義理は無い。


 「マジかぁ……それなら無理なのか。いや、でもその君を守るモンスター達なら……」


 「そうですね。恥ずかしながら、戦闘はこのかわいい子たちが担当してくれています」


 「そ、そうか……(あのデカい狼が可愛い?すんげぇ威嚇してきてるのに?ちょ~こえぇ!ってか、可愛いのは明らかにアンタの方だって声を大にして言ってやりたいぞ)」


 自慢気にセツナを撫でるアイリをみながら、プレイヤーパーティの男はメンバーを見て声にならない同意を求めていたがどうやら全員が同意見だったらしく、うんうんと頷いている。


 手伝うかどうかは別にして話を聞くと死に戻っているメンバーの内の一人は女性だとか。男所帯の中の紅一点ですか……さぞかしチヤホヤされてるんでしょうね!羨ましい気持ちなんて全くないけど、ちょっと気になった。



 「ただいま戻りました。遅くなって申し訳ありませんわ」


 「わりぃ、遅くなった」


 話しているうちに戻ってきた二人。男性の方は緑の髪のいたって普通の魔人族。女性の方は見たことのあるダークエルフ族である。……ってちょっとまてぇ!


 「どうされたの?その人は一体どなt……げぇっ!」


 ダークエルフの女性が女性らしからぬ声を上げる。私も同じ気持ちだからいいけど。


 そうそのパーティの紅一点はエレノアだったのだ。

懲りずにエレノア、リターンズ!


さてさて今回と次回の反響はいかほどになるか楽しみでござる。


次話は明日8時投稿予約済みでござるよ!

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