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7話

予定を変更し今日と明日も2話更新します。2話目は17時に予約済みでござります。土曜日以降は1話更新になると思われます。

 町に戻った私の横にはなぜか小型化したコウガとセツナの姿がありました。町の門をくぐろうとした瞬間に、二頭の体が縮み始め、お手軽サイズになったんです。すごいファンタジー!!


 「ふふっ、一段とかわいくなったね、コウガ、セツナ」

 「ワフッ」「キュンッ」


 心なしか鳴き声も可愛くなったような?そんなわけで小型になった二頭を両手に抱え、町を歩く。

 連れ歩いても良いけど子犬サイズな上、ガイアの街はプレイヤー・NPC問わず人通りが多いから踏まれたら大変だもんね。だから慣れるまでは抱っこです!これは譲りません!



 次の目的は【チュートリアル4】:ギルドからの依頼を請けてみよう(難易度2)をクリアする事ですので、ますはギルドとやらを探す必要があります。

 どこかなぁ?ギルドや~い。


 探し回りましたが見つかりませんねぇ。

 はっ!まさか魔王(候補だけど)である私の存在に気付いて逃げたのではっ?

 ってそんなわけあるかーい。


 はぁはぁ……あまりにもギルドが見つからないので一人でボケ突っ込みしてしまいました。

 ……あ、あれ?周りのプレイヤーさんが腕をさすって寒そうにしてますねぇ。何かあったのかなぁ?

 まいっかぁ~。気にしない気にしない。



 「そこの銀色のお姉さーん」


 むっ!?また私を囮にする為に声をかけてきた輩ですか!もーう、騙されませんよ!?今回はコウガとセツナの2頭もいますしね!

 フンスッと気合を入れながら振り返ると、そこにいたのは、同性のおにゃのこ!じゃなくて普通の女性でした。

 くっ、今度は女の子で声をかけて油断させようという魂胆ですね。その手には乗るもんですか!


 「あの~?聞こえてますか~?」


 私が脳内で格闘している中、返事が無いことを不審に思った女性が話しかけてきました。


 「あっ、すいません。いまちょっと戦闘中だったんです」


 「えっ?だれとですか!?」


 「良心と猜疑心……ですかね~」


 「はぁ……そうなんですか?あの、ところで何か困っているように見受けられたんですけど、よろしければ相談にのりますよ?」



 なるほど!相談にのり親切な振りをしておき、最終的に裏切り囮にするつもりですね!その手には乗りませんよ~……っていい加減このノリも疲れました。普通に話す事にします。



 「ご親切にありがとうございます。現在チュートリアルの途中なんですけども、ギルドの場所が分からなくて困っていたんです」


 正直に打ち明けてみると女性は「あぁ、そういうことかぁ」っと言う感じの表情をしました。

 そして案内しますからついてきてくださいと言われたので大人しく追尾させて頂きました。ちなみに歩き始めて数分でギルドにたどり着きましたが、確かに予想外の場所でした。



 案内された場所は私達プレイヤーが初期に送り込まれた広場。そこから雑貨屋さんの横を通り、場違いな地下鉄の駅っぽい所を降りた先にあった。

 まさか地下にギルドがあるなんて普通思わないですよ~。闇ギルドじゃあるまいし~。ねぇ?


 「ここです。確かにギルドの位置は分かりづらいですからね~。かく言う私もあなたと同じように他のプレイヤーさんに教えてもらってたどり着いたんですよ」


 「そうなんですね。あっ私もすごく助かりました。これでチュートリアルが進められます」


 「いえいえ~。あとあのっ、もしよろしければなんですけど……」


 むむっ!?とうとう本来の目的である私を連れ出して囮にする話を振るつもりでしょうか!?そうは行きませんよ~。騙されてなるものかぁ!


 「私とフレンド登録して頂けませんか?ほら、皆今日始めたばかりだし、女性プレイヤーの数って少ないじゃないですか?だからこう言う出会いをした時にフレンドになっておきたいなーって思いまして。

 それに私これでも属性魔法と生産職の裁縫に適正があったので、お役に立てると思うんです」


 えっ?騙さないんですか?フレンド登録?敵勢力のスパイである私と?そ、そんなバカなー!?

 さあさあ本音を話しなさいな。今なら大人しく騙される振りをして町の外に出てあげますから!ねっ?


 しかし心の中の混乱とは違って私の口から出た言葉は


 「あの、私調教師なんだけど良いのかな?」


 魔王の適正に関しては言わない方が良いと思うし、適正がひとつしかもってないプレイヤーも居るから不審には思われないよね。


 「ぜーんぜん、問題ないですよ~。むしろモフモフがあるほうが嬉しいですよ!それに調教師さんなら羊とかのモンスターをテイムしてくれれば素材の羊毛とかが手に入るかもしれないし!」


 わぉー、自分の打算・欲望を出してくるこの人は信用できそう!こう言う裏も表も出してくれる人って良いよね~。……私は裏(魔王)に関して誰にもいわないけどね~。



 「そ、そういうことならこちらこそよろしくお願いします。私はアイリです」


 「うれしい~。あっ、私はコトノっていうの。さっき言ったけど毛皮とかの素材は持ち込みしてくれたら格安で作るからじゃんじゃんもってきてね~!」


 こう言った流れで初フレンド(?)をゲットした私はコトノと少し話した後、生産作業するというコトノと別れました。その後はギルドの受付で調教師として登録するにあたり、ギルドからの試験的な依頼を請ける事になりました。

 もうちょっとしてから請けるであろう魔王クエストでも、こちら(光勢力側)のギルドに所属しておく必要があるのでちょうど良かった。



 【常注クエスト:町の各所を回り、町内会費を集めてきてくれ】


 このクエストの目的は多分町を知る事。確かにちょうど良いクエストですね。街の中の探索だけで済むし、駆け出しギルド員にはもってこいです。内容に比べて報酬も他より良かった。


 という訳でガイアの街を北へ東へ東へ西へ。北東・南西・北西・南東、などなど隅々まで走り回りましたとも!


 「んぉ?あぁ、町内会費の回収か。もうそんな時期だったんだなぁ。あぁ用意はできてるぜ。もっていってくれ!」


 この最後に訪れたお宅で全て完了です。後はこの集めたお金をギルドに持っていくだけですね。

 ギルドへ帰路で人通りの少なそうな場所を通った時、そのイベントは突然起きました。



 「まちなっ!その金、大人しくおいていってもらうぜぇ?ぐへへー」


 はい、予想はしていましたが案の定、定番といえば定番の町内会費強奪イベント!こっちは街の中走り回って疲れているっていうのに気分は完全に 空気嫁っ! です。



 「コウガ、セツナお願いっ」

 「ガオォーン」「アオォーン」


 私の呼びかけで小型化していた2頭が本来の大きさに戻り出現する。街の中では戻れないのが決まりですが、こういう戦闘時やPV時は別です。


 「ランドッグが2頭だとっ?くっ、そういやぁ調教師だって言ってやがったな。だが俺は負けんっ!」


 襲撃者の男がコウガとセツナの登場に驚くが、すぐにその表情を消し闘いの構えを取った。


 「コウガっ。引っ掻きなさい!セツナは噛み付きのあと潜伏っ」


 「ガォォォ!」


 コウガは素早く襲撃者に飛び掛りその鋭い爪を振るう。が、襲撃者はそれをバックステップで軽々と回避する。だがそこを狙っていたかのようなタイミングでセツナの噛み付きによる追撃が迫る。


 「グルルッガウッ!」

 「ぬぐあぁ~!」


 セツナの噛み付きは襲撃者の腕を捕らえ、ダメージを与えた。男が痛みに怯んだ所で攻撃を終了したセツナは素早く潜伏スキルを発動し物陰にかくれ様子を見ている。


 「相手が怯んでいる今がチャンスよ。コウガ引っ掻く!」


 「グルォォー!」


 「ぐぅ、させるかよぉ!【毒切り】ぃぃ」


 襲撃者は手に持ったナイフにスキルを使用するとナイフが毒々しい紫へと変色し、それを振るった。

 このままではコウガが毒になってしまう!そう思い焦った私はすぐに攻撃中止の指令を出した。

 だけど既に攻撃行動に入っていたコウガは、その急な指令変更に反応できず、かといって攻撃行動も止められてしまった事で一瞬行動を停止。回避行動も取れないという最悪の状態をさらしてしまった。


 「ギャウンッ!」


 「あぁっ、こ、コウガッ」


 毒ナイフを食らい倒れるコウガ。私は自分の焦って出してしまった指示を後悔した。具体的な指示を出さずにコウガの好きなようにさせていれば避けれたはずの一撃だからこそ余計に。


 「コウガ……だいじょうぶ……じゃないよね。ごめんね指示が下手で……」


 コウガは力なくクゥゥと答えるが非常に辛そうだ。鞭を持っている私の手が震える。



 「コウガが傷ついたのは私のミス。でも傷つけたのはあなた。だからあなたを絶対に許しません!」


 「な、なに言ってやがる。てめぇが大人しくその金を渡してりゃ、そこの犬っころも苦しまずに済んだんだぜ?」


 「そんなことは関係ないわ。大事なのは……今!あなたがっ!コウガを傷つけたという事だけっ!」


 私は手に持った鞭を引きずりながら前へ進み出る。



 「へっ、ただの調教師のオンナごときに俺が負けるかよっ。しねやぁぁ!」


 毒ナイフを構え襲撃者が私へと迫る。私は鞭を振るう。しかし襲撃者の言葉通り、スキルも持たない適当な鞭が場数を踏んできた襲撃者に通じることは無い。襲撃者は鞭の軌道を見切り、サイドステップをし避けた。


 「今よ、セツナぁ!」


 「ウオオォーン」


 「なっ、しまった!こんな場所に2頭目がいやがっ!?グワアァァァ!」


 襲撃者がサイドステップで避けた先にはセツナが潜伏した障害物が存在したのだ。

 そう、私は自分の位置と襲撃者の位置、そしてセツナの位置を的確に把握して鞭を振るい、襲撃者が避けるであろう方向へリードしたのである。そこへセツナが足へ攻撃を加えたのだ。

 鞭が当たろうが当たるまいが関係ない、これは全てセツナへの合図だったのだから。


 コウガが傷つけられた怒った辺りからこうなるように仕向けました。

 あっでも、コウガに指示ミスをして傷をつけたことは反省してますよ。すぐには無理でもちゃんと良い指示ができるようになって見せます。



 格闘系のゲームをやってるとある程度は動きの予想ってつくし、シュミレーションも行動域の予想できるんだよね。まあこっちのNPCに効くとは思わなかったけど。やっぱり得意じゃない系統のゲームもある程度やっておいて正解だったね。



 一方のセツナは相方のコウガを傷つけられ、本気で怒っていた。その為いつもより余計に力が入った(気分的にだが)のかもしれない。


 「ぎいゃぁぁぁ!」


 襲撃者の悲鳴と共にセツナが噛み付いていた足が千切れ飛ぶ。

 私はその様子を冷めた眼で見ていました。血などの変わりに赤いエフェクトが綺麗で、随分リアリティーがあるゲームだなーっと思いました。



 その後気絶した襲撃者をひきずりギルドに戻ると、受付担当の人からすごく褒められた。

 聞いてみるとこの襲撃者はかなりの凄腕強盗殺人鬼で、幾度となく冒険者を葬っており高額の賞金が掛かっていたとか。


 闇の勢力の魔王候補なのに光勢力側の悪人を倒してしまうなんて……不覚です。でもそれもコウガを傷つけたからだし、しょうがないよね。

 あと、毒になったコウガですが、ギルドの売店で解毒剤を購入して使用すると元気になりましたよ。よかったぁ。



 【常注クエスト:町の各所を回り、町内会費を集めてきてくれ】を見事終了させ、しかも賞金首を倒したという事で、ギルド登録を認められ賞金も頂く事ができた。その額併せて55000Dですっ!


 ゲーム開始初日からこんな大金いただいて良いのかな~。あって損は無いから大歓迎だけどさ。



 とにかくこれでチュートリアルは全部終わらせ、基本は身についたと思います。

 あとは魔王クエストを行えるようにコウガとセツナを鍛えたいですね。後できれば新しい仲間も欲しいです。


 ギルドに登録したのでモンスターの分布図も見れるようになりましたし、頑張って戦力を集めないとね!

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