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6話

次話以降は毎朝一話更新で8時投稿予約を目指します。8時に無理だった場合は20時くらいに……。

 ガイアの街の門を出た私は、辺りをキョロキョロ見回しながら歩きだした。

 キョロキョロしているのは町の近くにモンスターがいてくれたら戻るの楽なんだけどなーという思いから。


 しかし、町の周辺に居るには居るのだが、目に付いた対象(ウサギのモンスター)その全てがプレイヤーと戦闘しており、新しく沸いたとしてもすぐに横合いからプレイヤーが駆けつけ私が手を出す事もできないのだった。偶に鳩みたいな鳥と戦っているプレイヤーの姿も見えますね。

 この鳩のモンスターですが、空を飛べることもあって遠くに居ても視認できるのですがなんとなくこっちにばかり飛んでこようとしてる気がします。まあ結局の所、プレイヤーが放つ弓とか魔法の攻撃で方向転換していきますけどね。 


 「うーん。人が多くてなかなか戦う事もできない……どうしよう」


 「そこの銀髪の女性プレイヤーさん。良かったら俺達とパーティ組まないか?ここからそう離れていない場所に良い狩場があるんだ」


 困っている所に声をかけてきたのは3人の男性プレイヤーたち。装備は剣&盾・短剣・斧と見事に物理攻撃に特化している。

 男性プレイヤー達は私が振り返ったのを見て「うほっ!」とか「これは良い……モだぜぇ」と驚きの声を上げていた。上手く聞き取れなかった上、気のせいかもしれないけど一瞬だけ嫌な予感がしました。



 「それにほら。ここら辺って人多いだろ?人数が居ればその分沢山狩れるし良い話だとおもうんだけどどう?」


 「狩場としちゃ今んとこ最高だぜぇ~?」


 「誰が倒してもドロップ素材は均等割りだぞ~」



 私が返答に困っていると続けざまに魅力的な言葉を繰り出す男性プレイヤーたち。

 私としては沢山狩る事に対して意味は全く無い。たった1体倒せればそれでチュートリアルをクリアできるのだから。あわよくば仲間も増やせたら良いなとは思いますけどね。

 均等割りの話もなかなか心惹かれますね。お金はあって損は無いですし。


 断りたくても会ったばかりの人にレベルが上がらない設定ですので行きません、と言うのもおかしいし……そもそもゲームってレベルを上げるのも醍醐味の一つなんだからこう言うお誘いがあって当然……なんだけど……。


 「あの、お誘いはありがたいんですけど、私は調教師で攻撃系のスキルを持っていないのでお邪魔にしかなりませんので、お断わ「あ~そんなこと気にしなくて良いって。俺達皆始めたばっかりだぜ?そんな事気にするヤツなんかいないって」りさせ……えぇっ」


 断ろうとしたら慌てたように言葉をかぶせてくる男性プレイヤー。何とかして断りたかったのですが、これ以上の手札はなく、結局ついていく事になってしまったのです。

 


 「いやー、それにしてもお姉さん自身もだけど髪綺麗だね~。ぶっちゃけさ~、君みたいな美人さんがゲームをしてるなんて夢でも見てるみたいだ。いやー声を掛けてみるもんだよな~。なぁ?皆」


 「だよなっ!」


 「俺らツいてるぜぇ!」


 目的地へ向かう最中で男性プレイヤーたちが口々に私の容姿を褒めてくれますが、私はため息しか出ません。

 外見だけしか見てない男性は今までに数多く見てきました。彼らの言動からも外見しか見ようとしていない雰囲気を感じます。確かに情報が少ないから外見から褒めるのはしょうがないんですよ?

 でも延々と外見だけを褒められても……なんだかねぇ……。


 声を掛けられた場所から10分ほど移動した場所で立ち止まる。そこはガイアの街がギリギリ見える辺りにある小さな森でした。


 「この森には途中で見かけたウサギと鳩に加えて犬ッぽいのが出てくるんだ。けど犬はかなり強いから見つけたら出来るだけ逃げるようにしよう。犬さえ避ければかなり美味しい狩場である事は間違い無いからさ」


 「おうっ」「了解だぜぇ」

 「わかりました」



 こうして狩りを始めた私達。男性プレイヤーの言うように、この森にはウサギが多く生息しているみたい。チュートリアルクエストの途中だというと、彼らはウサギを弱らせてくれましたので止めを刺し無事にチュートリアルクリアの報告を得る事も出来ました。


 ……えぇ、そこまでは良かったんですよ。そこまでは……。



 ウオォォォォォン。


 森に入って数時間ほど経過し、鳩との戦闘中に聞こえた遠吠え。その声を聞いた男性プレイヤーは慌てだしました。手早く鳩を斬り倒すと声を上げた。


 「くっ!お、おいっ。犬が来るぞっ!逃げろっ!」


 「おうっ」「了解だぜぇ!」


 声が聞こえた数秒後、緑色の体毛の犬が2頭私達の前に現れました。目つきは鋭く、背の毛を逆立ててこちらを威嚇しています。



 「なにっ!1頭でもヤバイってのに2頭も出やがった!まずいっ。ここで死んだら今回の稼ぎが……」


 「あれはマズいだろぉ!!なぁアイツ……使って良いだろぉ?」


 「……だな。その為に一緒にきたんだしな」


 あらかじめ逃げると聞いていたので私も逃げるべく動き始めましたが、プレイヤー達の様子が変です。

 男性プレイヤーのウチの一人が私を見てニヤニヤしながら併走してきました。



 「えっ?えっ?何をする気……ですか?」


 「こうするんだよぉっ!おらぁぁ!」


 男性プレイヤーは私を犬の居る方向に突き飛ばした。体勢を崩し無様にベチャリとこけた私が急いで立ち上がったときには、彼らは私をパーティから追放し、逃げ出していたのです。



 「へっへっへ!悪いなお姉さん!こう言うこともあろうかとあんたを連れてきて正解だったぜぇ!」


 「……すまないとは思っている。だがあんたならレベルも低いからそこまでペナルティはないだろう」


 「にげろにげろぉぉ。囮役ありがとさーん!」



 逃げる彼らを追ってくれると良いんだけどという期待も空しく……犬のモンスター達は彼らを追う様子を見せていない。後ろから聞こえる唸り声の主たちは私をターゲットしている。まあ容易く倒せる獲物が目の前にへたり込んで居るのにわざわざ他の連中なんて追わないデスヨネー。

 私はこのまま犬にやられてしまうのでしょうか……。


 闇の勢力側に広報誌があったらきっとこう言う記事になりますよね……。

 【闇の勢力の魔王候補、野良犬に食われるっ!】

 考えただけでみっともないですよこれ。


 「うそ……でしょ……」


 彼らの姿が見えなくなったとき私はその場に座り込んでいました。座り込んだ瞬間、私の後ろに気配を感じました。今更仕事されても困るんだけど気配察知のスキルさん……それにスキルがなくても声で近づいてきてるのは分かってますよぉ~。



 グルルルルッ

 ガルルルルッ


 ザッザッっという草を踏む音と共に真後ろから聞こえる唸り声……恐る恐る振り向くとそこには大きな口をあけた犬の姿が……




 居ませんでした。


 クウゥゥン、ペロペロペロ……



 はい、現場のアイリです。今私は凄惨な結末を迎えると思われた現場に居ます。しかし驚いた事に予想していたような結末にはなりませんでしたっ!


 なんと囮としてパーティ登録を解除された瞬間から殺気立っていた目の前の犬のモンスターからその気配が消えたのです!

 しかもそのワンコたちが現在進行形で2頭とも両サイドから私の顔を嘗めております!甘え上手なワンコで可愛いですっ。あっ、でもちょっとお口臭うかも……。

 以上、現場のアイリがお伝えしました!



 「そんなわけでテイムしていい?」


 「ガフッ!」「オンッ」


 何がそんなわけなのかは知らないが、一心不乱に私を嘗め回していた緑のワンコーズから肯定の返事をもらった所でテイムのスキルを使用。すると


 《ランドッグ♂とランドッグ♀をテイムしました。名前をつけてあげてください》


 「じゃあ、男の子はコウガ、女の子はセツナ」


 「ウォンッ」「ワンッ」


 「ふふっ、これからよろしくね!」


 2頭から元気な返事をもらった所で考えた。あの男性プレイヤー達に捨て駒にされたのは正直悔しい。

 魔王としては必ずやり返したい所ですだけど、この出来事のおかげで大まかにだけど分かったことがある。


 パッシブスキル【好感(中)・魔獣/獣】が仕事をした事。

 そのパッシブスキルが発動するにはソロで行動しないといけないこと。これはパーティから外れた瞬間に突然変化が訪れたので間違いは無いと思う。もしかしたら運とか確率という別の条件もあったかもしれないけど今はそこまでの理由は考えられないからこれで納得しておきます。


 これは希望的概念だけど、コウガとセツナは元から私を襲うつもりはなかったのかも?パッシブスキル持ちの私が他プレイヤーと行動していたのをみて、嫉妬したとかね?なんてね~そんなわけ無いか~。

 仲間になってくれる前のことなんだし!


 あとこの2頭に会えたのが彼らのおかげである事。私一人じゃこの森に来るという選択はしなかったからね。おかげで仲間が増えた……そこだけは感謝します。それを差し引いても囮にした事は許しませんけどね。




 「コウガ、セツナ。貴方達の力を見せて欲しいし、戻りながらモンスター退治してレベルあげしようね!」


 「ガウッ!」「オンッ!」


 言葉通り町に戻る道中に出現したウサギさんや鳩さんには申し訳ないけど、コウガたちの経験値になって頂きました。ちなみに私は応援たり、攻める方法を指示してみたりしただけで自分では動いてません!

 悪い?ふーんだ。調教師としてはこれで良いんだよーだ!っと幼児退行気味にしてみましたが、少し恥ずかしかったです。誰にも聞かれてなくてよかったぁ!



 あっそうそう、町に戻った時に確認した2頭のステータスはこんな感じでした。


 名前 コウガ

 種族 ランドッグ♂ 獣種ランク1

 LV 5(72/198)

 スキル アクティブ【疾走】【噛み付き】【引っ掻き】

 パッシブ  【同種連携】

 強さ

 物理能力 26

 魔法能力 13



 名前 セツナ

 種族 ランドッグ♀ 獣種ランク1

 LV 5(64/198)

 スキル アクティブ【疾走】【噛み付き】【潜伏】

 パッシブ 【同種連携】

 強さ

 物理能力 21

 魔法能力 18


 ふむ、仲間モンスターはプレイヤーと表記は違うのね。物理能力と魔法能力の2項目だけかぁ。

 分かりやすくて助かるね!

 コウガは純粋に物理攻撃が高いっと……セツナはが若干魔法能力が高くてスキルに潜伏もあるから不意打ちとか魔法攻撃に向いてるかもしれないね。ここから分かるように個体によって所持スキルが違うのは良い発見でしたね。


 さて、それじゃあチュートリアルクエストの続き、頑張らないとね!確か次はギルド関連だっけ。

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