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68話

 闇の冒険者ギルドで依頼をこなすこと数日。大体は討伐系を中心に行い、進化した子達のレベルあげに励んだ。さすがにみんなのランクが3を超えたため、必要経験値が増えレベルアップ頻度がすごく下がり、新しく進化した子たちはもうすぐレベル10台に入ろうという所。


 特にただ一人、ランク4になったクルスは5レベルになったばかりとペースがかなり遅いんだよね。

 その分、レベルアップ時のステータスの上昇値も大きく、10レベル後半になるころには進化前のステータスに追いつくか追い抜いてるんじゃないかな。そこまで育ったらコウガとセツナを進化させるのもありだね。


 闇の森深部や闇の深遠辺りまで行かないといけないクエストも同時進行することでこなしていく。そのおかげで私の働きが闇の冒険者ギルドで評価され、空き領地の情報を得られるようになった。



 「むむぅ、どのモンスターもユールからすごく離れた所にいるんだ。知らない土地の名前ばっかりだよ。ある程度時間をとってマップの作成も手を出さないといけないかも」

 「アイリ様でしたら……そうですね。このあたりなら十分に狙えるのではないでしょうか?マップはこの周辺でしたら闇の冒険者ギルドの方で販売してるはずですが?」


 空き領地の情報を見ながら唸っていると、同行している森の賢者ことトリビアから助言があった。

 へぇ、闇の勢力では地図を販売してるんだ。そういう意味では光の勢力より待遇が良いね。

 理由を聞いてみたところ、闇の領域は一歩間違えた場所から入ると、敵の強さが跳ね上がることから、住民の冒険者の事故死を少しでも防ぐ為にギルドがサービスを始めた。

 あくまでも住民の冒険者に対しての措置だから、死んでも生き返れるプレイヤーは気にせず、凶悪なフィールドに足を踏み入れて行ってるらしい。そのおかげで探索マップの情報が潤うというのも変な話だよね。



 領地を持つモンスターの生息地として、トリビアが示したのはユールから西。

 ユールを囲む闇の森西側の出口を進み、その先にある砂漠のエリアに居るサンドワーム種の強モンスターの治める領地。

 あと、砂漠エリアは東西で支配者っぽいモンスターがいて、東側がエルドニアワーム、西側がサボテンみたいなギガントカクタスという植物系のモンスターなんだそうです。

 サボテン討伐の推奨レベルは50~みたいだけど、見かけたら挑んでみるのも良いかもしれない。

 圧倒的な強者っていうと人王位しかいなかったから他にも強いのがいるなら戦っておきたい。


 ちなみに冒険者ギルドの言う砂漠探索の推奨レベルは40レベル~とのこと。これはプレイヤーに向けた設定である。

 現在レベルの数字だけを見るとコウガとセツナはともかく、他の子達では厳しそうだけど一度はレベルの限界という壁を越え、進化した皆なら十分にそれだけの能力ちからを持っているはず。


 この推奨レベル程度なら他にも狙ってくる人が多いと思うだろうがそうでもない。誰が好き好んで旨味のない砂漠を自分の領地にしたいと思う人物がいるのか、甚だ疑問なのである。

 しかも一度所有した領地は自分の意思では手放せず、他の存在に奪われたりしない限り、維持費用が掛かり続けるんだって。


 ちなみに砂漠の領地の維持費用は一ヶ月あたりで20万Dとなる。役に立たない領地ほど維持費用は安く、広さの割りに砂漠はその最安値設定である。この土地費用は元もとの値段から変動することもないので、領地開発の練習をするにはもってこいとも言える。でも失敗したら借金生活だね。それも面白そう!



 「トリビアが勧めるんだから、この砂漠の領地を得れば旨味があるんだよね?」

 「勿論ですとも!砂漠であろうと何であろうと私の森の賢者としての能力でどうとも出来ます!」


 トリビアがそこまで言うなら領地獲得してみようかな……。それに領地といえば……


 「そうだ、トリビア。私の【統治】スキルも領地を得たら役に立つかな?」

 「アイリ様は統治のスキルをお持ちなんですね!?それは素晴らしいっ。私の能力と併せればさらに良い土地に生まれ変わり、砂漠などと呼ばれることはなくなるでしょうね」


 へぇ、そこまで自信あるんだ?

 仮に失敗しても維持費は安いから痛手でもないしね。むしろお金が使えることに感謝だよ!



 「かなりの遠出になるみたいだし、準備して明日出発する形にしようか」

 「分かりました。それでは私はパーシヴァル氏と話し合いをしてまいりますね」

 「分かった。私は酒場と雑貨屋回ったら休憩するからそっち方面は任せるね」


 こうして私はトリビアと分かれて行動を開始。私の傍らには現在コウガとセツナがいる。ガイアの時と違って本来の姿で闊歩しているので、ユールにいる他のプレイヤーからの視線が熱い。



 実際はアイリに見惚れているのだが、アイリ自身はカッコいいコウガ達が視線を集めてると思っており、自慢げに笑顔を浮かべて歩いていたりする。

 アイリが闇の領域に来て早々から美人現る!?とか騒がれていたがこの決定的な表情により、闇の領域の掲示板でもその噂が飛び交い始めることになる。

 感謝すべきは光の勢力側と掲示板がつながっていないことだろう。もしあちらからアイリの情報が流れていたら、きっといろいろ噂されていろんな意味で狙われてしまっただろうから。



 アイリは酒場に付くと雑貨屋でアイテムを買っていく。酒場内にはユールの住民やプレイヤー数人がパーティごとに集まって休憩しており、所々で話し声が聞こえる。


 「なあ、3日前に死霊王を倒したプレイヤーの正体分かったのか?」

 「あぁ、アイリって言うプレイヤーのことか?それがな、名前だけじゃ、探しようがないわけよ。俺の知り合いの知り合いの知り合いまで当たったけど、誰一人としてそんなプレイヤーとフレンド登録してるやつがいなくてさ……」

 「だよなー。俺の方も同じだったわ。いったいアイリってのはどういうやつなんだろうな……少なくともここ一ヶ月でそういうプレイヤーが居たと言う話も出なかったぞ」

 「だよなぁ。謎のプレイヤーアイリか……そういや最近、過疎ってた掲示板も熱いよなぁ。

 そういえば、死霊王といえば時間的にもうリポップしてんじゃね?俺達も倒せるか確かめに行こうぜ?」

 「だな。闇の深遠って言えば結構めんどくさい敵が多いが、まっ何とかなるだろ」


 そういうと彼らは高レベルな面子を集める云々という話をしながら酒場を出て行った。




 「い、意外と噂になってる……」


 私は、そんなひそひそ話を聞きながら酒場のマスターに喋りかけている。実はこのマスター、冒険者ギルドとは違った特異モンスターと賞金首の手配とその報酬関連を担当している。

 賞金首というのは話にあった死霊王や、他の住民などに害を及ぼしている王種モンスターやその他の変異型モンスターとかの討伐証明を渡すことで、賞金やら特殊な報酬アイテムをもらえる。


 「アンタが持ってきた素材でヤツの討伐が証明されたぜ、報酬は金かアイテムのどっちが良いんだ?」

 「アイテムで」

 「了解した。ではこれが報酬だ。受け取りな。また賞金首を倒したら報告してくれよ」


 今回マスターから受け取ったのは魔獣の卵。

 アイテムの報酬の場合はその都度内容が変わる。強化の結晶だったり、スキルの種だったり、今回みたいに卵だったりね。大体が入りにくい素材が報酬になるんだから卵を貰えたのは私的にはラッキーかもしれない。だってテイムの成功率が低いんだもん!


 私は卵を受け取るとすぐに孵化器に突っ込み収納。

 孵化するまでリアルで約一ヶ月(実際には三週間程度)掛かるって言う表示を確認し、たまに確認する感じで良いね。どんな子が生まれるか楽しみだなー。


 そういえばさっきのプレイヤーが死霊王がリポップしてるかもとか言ってたっけ?私と相性が良いボスで経験値がおいしいし、積極的に狙うのも良いかもしれないな~。むしろ私の性格的にコレしか狙えないだろうね。今はまだクルスたちの能力値が低いから行かないけどさ。



 マスターとの会話を終えて酒場を出ようとしたとき、かなり強い気配を感じさせるダークエルフの女性プレイヤーとすれ違った。パッと見た感じもすごく綺麗な人だなぁって思ったよ。

 なぜそれがわかるかというと、私の気配察知スキルの効果である。

 レベルが上がると最初は敵の位置がわかる程度だった状態から、他のプレイヤーや住民の強さがなんとなくわかるようになるという、実はすごく性能のいいスキルだったのです!

 その女性も一瞬私を見て、んっ?という感じに首を傾げていたけど特に呼び止められることも無く、中へ入っていきました。


 うーん、でもさっきの人の雰囲気……何処かで感じたことある気がするよ……。

 まぁ思い出せないんだし、良いかな。とりあえずはパーシヴァルさん宅へ戻ってログアウトしないとね!


 ログアウトする理由?バイトじゃないよ?ちょっと休憩を兼ねて知り合いにメッセージを送りたいんだよね。


 私より早くからこの領域で活動してるはずの皆に、私が闇の領域に来たことをI-LINEで知らせておきたいのよね。光の勢力にいたときはどうやっても会えなかったけど、今は同じ領域内にいるんだし会えるはずだもん。……会ってくれる……よね。

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