65話
むむぅ、更新再開してからブックマークがまたすこーしずつ増えてくれてる。
ありがとうございます~。
視点変更などが苦手な作者ですが、2章からはその辺にも挑戦していくので生暖かい目で見守ってやってください。
私は現在混乱中だ。というのも目の前には金色の髪をした女性が土下座から足にしがみつきというコンボをしてきたからである。
なぜこうなったのかを少し長いけど3行で纏めるとこうなる。
・森の賢者の庵を発見!ノックして返事を待ち入室。
・顔を合わせるなり金髪の女性の顔が真っ赤になり、僕にしてくださいと土下座で懇願。
・困惑している私を見て乗り気じゃないのかと思ったのか女性が私の足にしがみついて離そうとしない←今ココ
意味が分かりませんよね?会って数秒しか経ってないんだよ!?おかしいじゃない。
いや、まあ原因はおおよそ分かってるんだけどさ。これは間違いなく魅力系の称号のせい。実はユールの集落でもここまでじゃないとはいえ、似た様な出来事があった。
死霊王と出会う前にこの森を探索しているときに、グールの群れに襲われているユールを拠点としている住民(NPC)の冒険者集団を助けた。
たかがグールの群れというなかれ。この闇の森に棲むグールは、経験値は少ないのにかなりの攻撃力と素早さを持ち、普通のゲームでよく聞くグールとは比べ物にならない強さを持ってる。
さらには闇の森の地形効果でモンスター全般が強化されてるから住民の冒険者では数で攻められると厳しいものがある。
助けた冒険者たちは私達を見ながら興奮したようにお礼を言ってきました。
お礼を言われて悪い気がする人などいるはずもないので当然私は笑顔で魔王対応ならぬ神対応。だって闇の領域の人に嫌われるような行為はしたらダメでしょう?魔王なんだし!
「たた、助けていただいたお礼は必ずさせてもらうっス!何かあれば酒場にいる俺たちに依頼してほしい。しくよろっす!」
お礼だけに飽き足らず、何かあったら力になるとまで言ってくれた彼らの表情がいま、目の前にいる森の賢者と思わしき女性と同じだったというわけ。
「あのー?離れてほしいんだけど……?」
「しもべにしてしていただければ離れますぅ!」
「……」
さっきからずっとこの調子なんです。離れそうにないからこのまま質問してみよう。
相手が男性だったら強硬な手段して無理やり剥がしますけど相手は女性だからね。
「あなたが森の賢者様ですか?」
「そんなっ!確かにそう呼ばれることもありますが、貴女ほどの御方に様付けされるほどの者ではありません!」
どうやらご本人らしい。なんか自虐な発言が多いけどそういうタイプの人?
「ここには聞きたいことがあってきたのよ。魔素について教えてもらえないかな?」
「魔素についてですか?お教えすることは問題ないのですが、その条件として私をしもべに……」
はい、ループしました!
森の賢者様と呼ばれる彼女が折れる気配はないので仕方なく私が折れることに……。でも、しもべとかにはする気がないよ。
「しもべとしてじゃなくて私の参謀みたいな感じで一緒に来てくれるなら嬉しいんだけどなぁ?」
「よ、よよ喜んでッ!?ようやく私の力を活かせる御方に出会うことが出来ました……」
森の賢者様の名前はトリビアだった。なんかすごい豆知識とか知ってそうな名前だよね。
呼ぶときはトリビアと呼び捨てにしないと反応してくれないのがちょっとね。
最初トリビアさんと呼ぶとツーンとして反応しない。何度か呼んだあと「トリビアとお呼びください」と不満げに注意された。えっ?これって私が悪いの?
「それじゃトリビア、魔素について教えてもらえる?」
「はいっ、アイリ様のお望みのままに!ではまず魔素について……」
トリビアの説明が始まる。すごく長かった。大学の講義よりも精神的にしんどい……。
トリビアも説明するうちに私が理解できてないのを察し、わかりやすいように説明を加えてくれた。
断じて私の頭が悪いわけじゃなく、説明された内容に関する基礎知識がないからわからないだけなのっ!
結局、私が理解できたのはこれだけ。
・魔素とは闇の領域全土から湧き出る魔力の源であり、毒素を含んでいること。
・闇の領域の住民は魔素耐性を生まれた当時から持っているので影響はないが、闇の領域以外の存在はまず、魔素が持つ毒素に悩まされる。
・魔素を封じ込めて魔物を活性化するアイテムを作ることができる。
・魔素を利用したスキルを会得するには長い修練が必要であること。
・領域外から来たモンスターに多いらしいが、魔素を急激に体内に取り込んでしまうと進化したときに魔素による影響がでる可能性がある。その影響は悪いものや良いもの様々存在するということ。
《プレイヤー:アイリは称号【魔素を知る者】を会得した》
称号の効果はINT+3の補正のみ。多分魔素関連では一番簡単な称号だからと思う。
上記で私にとって大事な内容は3つ目から5つ目までだね。ガイアで軍勢スキルを使用できたのは3つ目の魔素を封じ込めたアイテムがあったからだろう。
魔素を利用したスキルに関しても魔素の影響下でレベル上げをしてれば自然と使えるようになるみたい。
5つ目に関してはこの後に待っている仲間たちの進化の時に確認できるはず。
「以上でございます。これ以上を御説明いたしましてもアイリ様が大変でしょうから、本日はココまでといたします。また聞きたいことがありましたら後日いつでもご説明させて頂きます」
「ええ、ありがとう」
「アイリ様のお役に立つことが私の幸福となりますので礼など不要です」
感謝を示しただけなんだけどなー。まいっか。
とりあえずトリビアに聞きたい事は聞けたかな。また増えたらその都度聞けば良いよね。
「それじゃユールに戻ろっか」
「ご一緒させていただきます!」
「あっ……うん(やっぱついて来るんだ)」
ちなみにトリビアは付いて歩くタイプの同行者で戦闘はしないとの事。敵からの被弾もしないらしいので護衛などをする必要もないから安心です。
多分、私が死んでも、復活地点に一緒に戻ってくるんだろうなぁ。
トリビアを連れてユールに戻り、パーシヴァルさん宅に到着。パーシヴァルさんはトリビアを見て驚いていた。
「あ、アイリ様?まさかこちらの方は森の賢者様では?」
「えぇ、そうなんだよねぇ。なんか私の下につくって付いてきちゃった。一緒に屋敷に入っていい?」
「もちろんですとも……それにしても流石アイリ様。森の賢者様程の方がこちら側に居てくださるのでしたら、領地を持つようになってからの運営も安心ですね」
「ん?……領地ってなんのこと?」
「説明しておりませんでしたか?申し訳ありません。領地というのは……」
パーシヴァルさんいわく、闇の領域には誰にも支配されていない地域が幾つかある……とは言え、支配されていないだけで、支配や統治などのスキルを持たないが、事実上支配している存在がいるとのこと。
それらを倒すか配下にすることでその土地を自分の領地として認められるんだって。
ちなみに、ユール一帯は魔人王が治めているのでココを奪うのは難しいらしい。ということはここの町の貴族であるパーシヴァルさんは魔人王の部下だったりするのかな?
その辺を聞いてみると、パーシヴァルさんは魔人王の配下や部下と言う訳ではなく、協力してる方が都合がいいからそうしてるだけだという。
「言うまでもないでしょうけど、僕の主になるべき方はすでにいらっしゃいますからね」
私を見ながらそう言うパーシヴァルさん。やっぱそうなっちゃうよねー。こういう不意打ちされるとトリビア同様どう接していいかわかんないよ。
てか魔人王かぁ、吸血王以外にも王がいたんだねぇ。やっぱり強いのかなー?
いい機会だから吸血王や、魔人王の強さについても聞いてみたところ、パーシヴァルさんから、真剣な顔で恐ろしい相手だからまだ手を出さないように!といわれちゃったよ。
そっかぁ、パーシヴァルさんが言うんだから間違いはないんでしょう。お墨付きがもらえるまでは近付かないようにしよっと!
「ところで、その領地になっていない場所の情報って今持ってるの?」
「申し訳ありません。空き領地に関しましては、私達では情報を得ることが出来ませんので、冒険者ギルドの方に行って聞いていただく必要があります」
「ふむふむ」
冒険者ギルドね。光の方で貢献度を稼いでるはずだし、いろいろな情報を直ぐに聞けそうでよかったよ。
「あの、アイリ様?申しあげにくいのですが、闇の領域にあるギルドでは光側で獲得した実績などは無効化されます。光の勢力側での実績は光側でのみ、闇の実績は闇でのみ評価されます。
土地情報に関しましても闇側のギルドで実績を積まないと教えてもらうことは出来ません」
がーん!?あっちであれだけ頑張ってたのに!また下積みからスタートしないといけないのかー。
でもガイアの時と違って、こっちでは最初から強い子たちがいるから、すぐ取り返せるよね。
「ちなみに知らずに土地を治めるモンスターを倒した場合はどうなるの?」
「その際も倒したものに領地が渡ることになります。ただ、闇の領域は広大で、どんなモンスターが事実上支配しているのかが分からない為、かなり困難な道になります」
まあ、そうだよねー。やっぱり地道に頑張っていくしかないかー。
そんなわけでユールの冒険者ギルドへ行き、しばらくはレベル上げとギルドでの実績を積むことに集中しようと決めた。




