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61話 あるダークエルフ視点①

ストックはないけど大晦日と元旦だけは投稿してみることにしました~。

時系列も全然変わってないです。


元旦以降の投稿はやはり少し待っていただく形になりますのであしからず……。

 「このあたりでも目撃情報はなし、か……」


 闇の領域のとあるフィールドにおいて黒い肌で耳のとがった女性がつぶやく。

 彼女の種族はダークエルフと呼ばれるもので、種族的特長もありかなり見た目が良い。


 そんな彼女はプレイヤーの一人で、初期の質問で闇の勢力になれるよう選択肢を選び荒野の集落ユールからスタートした。しばらくはレベル上げもかねてユールで過ごした彼女だったが、ゲーム開始後、一週間でレベル30にまで育った彼女に対し、ユール一帯を治める偉い人がユール冒険者ギルドを通じて、特別依頼を頼んできたのである。

 なお彼女がレベル30に上り詰めた時、数人を除いて闇の勢力の他のプレイヤーは良いとこレベル20といった所。その事から彼女のレベル上げに掛けた時間が多いことは読み取れるだろう。



 そんな彼女に出された依頼内容は《王の資質を持つものを探せ》というもの。

 依頼内容を要約すると、現在確認されている王種以外の適性を持つものを探し出してつれてくるか、所在地を報告するというもの。

 ちなみに今現在で闇の領域で確認されている王種は魔人王、龍王、地壊王、水帝王、樹嶺王、死霊王の6種。

 光の領域にも当然王種が存在し、人王、精霊王、獣王、鳥王、妖精王、宝金王といった存在が確認されている。


 この二つの領域に共通するのは王種の中でも、人王、魔人王、精霊王、龍王、妖精王に関しては会話が可能なことだ。勿論他の王種も会話が可能なやつもいるらしいが、大抵は圧倒的な力を磨き上げ、王に上り詰めた生粋のモンスターであるため問答無用で襲ってくるそうだ。

 冒険者ギルドのうちの幾つかでは被害を出してくるそう言った王種討伐を依頼に乗せてくることもある。


 それに加え、最近新しくこれら王の資質を持つものが全世界を含めて数体生まれたらしく、それらを可能な限り把握しておきたいという事なんだとか。


 本来ならクエスト受注時に貴重な枠をひとつ消費するのがクエストなのだが、この特別依頼にはその制限が無く、当然報酬面もスキルの種か能力向上バフつきのアイテムを選ぶことが出来るので、戦闘に重きを置く彼女からすると断る理由も無かった。



 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



 「どうでもいい事だけど、この依頼主って絶対魔人王よね。ユール周辺地域を治めてる人って集落の人から聞く限り、魔人王だって言う話だし。まっ、その王種本人様からの依頼だから報酬が良かったってわけか」


 レベル上げで消費した魔力を回復する合間に自分が狩りに来た場所の周囲にそういった存在がいないかを確かめているが、今のところはそういった存在は発見できていない。


 「仕方ない。ちょっと休憩ついでにログアウトしよう」


 私はログアウトし、水分の補給や食事を行った。その後ログインしようとNAPをかぶる動作中、机の上においてあった携帯の液晶にI-LINE着信の通知があるのに気づいた。


 「あら?アイからじゃない。……あの子から連絡が来るのは珍しいわ」


 アイというのは私がエスをプレイする以前にプレイしてた幾多のオンラインゲームで何度か縁があったプレイヤーの一人で、意外と面白そうな子であるという認識をしている。

 前回のゲームは、《天帝無双onlineー立身出世編ー》とか言うもので、アイは最弱の農民から始めたのに、わずか2ヶ月で帝まで駆け上がったりして、ゲーム内では結構有名だったなー。


 あまりの早い出世に既存のプレイヤーは課金を疑ったが、運営いわく無課金ユーザーであり、すべて本人の働きによるものであることは保障されていた。

 私も最初はアイの課金とかチートを疑った口だけど、喧嘩(PVP)を吹っ掛けたり会って会話をするうちにそういうことをするような子じゃないことは理解できた。


 他にもI-LINE内にはアイと似たようなつながりのメンバーが数名居て、その人たちとグループ登録をしており、時たまメッセージを交わしている。ちなみにアイの場合は読み専で自分から話題を振ってくることは少ない。

 そんなアイからの内容はエスの情報交換希望とのことだったのだが、すでに他のメンバーから既読マークがつけられていた。

 その後コメントが流れてないことから彼らは既読スルーしたのだと判断。このままではアイが無視されたと落ち込んでしまうかもしれないので、仕方なく自分が今やっている事を簡単に書いて返事しておいた。


 やっぱ返事がないと寂しいもんね。それが発信源として珍しいアイからだから余計に返しておきたくなった。それにしても既読スルーした残りのメンバーにゲーム内で会ったら文句言ってやるわ。主に私に気を使わせた件でネチネチと。彼らがこのゲームをプレイしてるのは、すでに情報交換済みだからね。



 「さて、それじゃ王種探しの続きをがんばるとしますか」


 こうして再開したクエストだったけど、結局この後二週間経過しても新たな王種が見つかることは無かった。既存の王種は数体見つけたんだけどね?死霊王とか樹齢王とか。

 ぶっちゃけ、王種はレベル30程度で倒せるモンスターじゃない。先日、両者と戦ってみたらどちらも10分と持たずに倒されてしまった。くっ、まだまだ鍛えないとだめみたい。

 まあ、そう簡単に倒せるなら苦労しないか……。




 そしてサービス開始から1ヶ月が経ち、運営からイベントの告知が流れ始める。

 内容はスイカの種集め。個数を集めれば集めるほどいい物と交換できるらしいので、私としては良い装備がほしいところ。

 必要個数を調べると三万個のスイカの種を集めないとだめらしい。しかも手に入るのは武器か防具のどちらになるかわからない。だけどちゃんと本人が装備できるものが手に入る。

 私の場合なら、武器だったら短剣、杖、弓のどれかが、防具だと皮とか布で出来た軽装備が手に入るはず。


 私はイベント開始日からしばらくは王種探しを行うのをやめ、スイカの種集めに奔走した。闇の領域のプレイヤーと交渉したり、レベル上げしていたときに見つけた過疎マップでスイカの大量発生に出会って喜んだり驚いたりいろいろあった。

 最終的には無事6万ものスイカの種を集めて、攻撃能力の高い弓と装備に【集中】スキルの付与された防具を手に入れている。まあ、廃を自負する私にとっては余裕だったわね。



 次に何よりも驚いたのはイベント開始初日とイベントが終了した次の日のログ。

 イベント初日に《光の勢力下において蟲の王コーカサスが討伐されました》というもの。

 そしてイベントが終わった次の日には《プレイヤー名○イ○によってフィールド闇の深遠にいた死霊王ネルググが討伐されました》というもの。


 前者は光の勢力化の誰が何処で倒したかは不明だけど、探していた新たな王種の一体だったということは理解できた。でもまあ、それはいい。光の勢力に居たんじゃ、どうしようもないから。

 だけど後者の死霊王は普通に驚いた。というか、顎が外れるんじゃないかってくらいびっくりした。(この時点で普通じゃないとかの突っ込みは受け付けないわよっ)


 さっきも言ったけど、つい先日、闇の領域でトップクラスの力を持つ私を倒した王種ボスを倒せるプレイヤーなんて居るはずが無い。死霊王といえば魔法攻撃をとめどなく放ってくる超強敵。

 闇の勢力の上位プレイヤーを自負する私ですら、あの魔法の雨霰あめあられにやられたんだから。

 とはいっても思い当たる倒せそうな人といえば数人居るには居るんだけど、彼らがこんな早くから目立つようなことをするはずがない。


 死霊王を倒したプレイヤー名に関してもなんとなく、引っかかるものを感じた。

 なんか喉元につっかえていて出そうで出ない感じだ。 


 とりあえず闇の領域で討伐されたんだからユール周辺の闇の森よね。てことはユールに戻れば討伐した人の情報が手に入るかも知れないし行って見ましょうか。

 そこで私は色々と驚くことになるが、今の私がそんな事知りようはずも無かった。

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