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47話

 《いつも【Eternal Story】 をご利用いただき、まことにありがとうございます。

 本日正午より【1ヶ月記念アップデート(前半)】が開催されます。前半の期間は本日より2週間。

 先日告知をさせていただきましたように、幾つかのフィールドに新ダンジョンの追加、称号効果補填の住人の設置、イベント限定モンスターの追加、新規装備品追加、課金システムの追加となります。


 なお3週目以降は【1ヶ月記念アップデート(後半)】と題して、皆さんの前半の頑張りに応じたイベントを設置する予定となっております


 これらの詳細については公式サイトを確認の上、振るってご参加いただくようよろしくお願い申し上げます》



 アップデート作業が終わり、エスにログインするとこう言った告知のポップアップが出現しました。

 まあ以前知らされた内容に相違は無いみたい。


 このアップデートで私の気になる点といえばやっぱり、称号NPCと課金アイテムなんだけど、今回のポップアップが出てから公式サイトを確かめるとイベントアイテムの報酬の中に《ユニークスキルの種》というものがあったのでそれだけは狙いたいと思っている。

 とりあえずは称号を確認して貰ってから、イベントに参加して本来の任務に戻ろうかなぁ。課金アイテムに関しての興味は《(M)体色変更剤》だけですから急がなくても良いですしね。



 公式に載っているガイアの街の称号関連の住人を探していると、前方に多くのプレイヤーが人だかりを作っている現場を発見。

 マップを見る限り、全員同じ目的みたいですね。うーん、流石に夏休みというだけあって人が多いですねぇ。私も結構街の中を行動してるけど、ここまで多くのプレイヤーを一度に見たことは無いです。


 ザワザワ……


 「おい、あそこ見ろよ。【スキル検証マスター】がいるぞ!」


 「いやいや、そっちも良いけどやっぱそっちにいる【ブレイブソウル】のやつらも注目を集めてるぜ!」


 「あぁ~、あそこに【撲殺聖女】が……やっぱいつ見てもかわええなぁ」



 へぇ、なんか色々有名人がきてるんですね。やっぱりそこまで有名になると称号の一つや二つは当たり前ってことなんでしょう。

 私もさっさと称号の確認をしてもらってここから出ようっと。小耳に挟んだブレイブソウルってノースガイア山で会ったあの人たちだよね?

 一応和解っぽいことはしたけど、どういう顔で挨拶して良いかわかんないし、なるべく会いたくないもんね。


 ザワザワ……ザワザワ……


 んっ?またしてもざわめきが大きくなってきたみたい。私が周りを見ると周囲の目が私の方向に集中していることに気づいた。

 あれ?私の方向に誰か有名人が来たのかな?周りを見るが有名オーラを出していそうなプレイヤーなんて居ない。


 「ぉぃ……ぁれって噂の……銀……姫だよな?」


 「そうだぜ。実物みるのは2回目だけど、あの服装が神々しすぎてヤベェ……拝みたくなってくる。いろんな意味で……」


 「そ、それはどういう意味だ(興味津々)」


 「それは勿論服の中の……ゴニョゴニョ……」


 「な、なんだって!ウヒヒ……(小声)」


 ピッピーー!!


 《プレイヤー《ゼクス》とプレイヤー《ヘロース》が禁止用語を発した為、更迭されました》


 あっ、なんかこっちを見てた二人のプレイヤーがどっかに連れてかれた……。

 あの二人途中からいやらしい眼でこっちを見てたから気になってたんだよね。居なくなって気が楽になった。



 ★☆★☆★☆★☆★☆


 ~運営側~


 「こんなもんで良いな?」


 「あぁ、あいつらは元々、女性プレイヤーからセクハラなどの苦情が来る奴等だったからな。今回俺達のお気に入りをそういった眼で見たことは許すわけにはいかん」


 「そうだな。だがこう言ったことでしかお気に入りの力になれんのは、なんかこう、もどかしいな」


 「それは俺達が運営側だから仕方ないだろう。これからも俺達が女神を見守るとしようじゃないか」


 「そうだな……」


 ★☆★☆★☆★☆★☆



 一方、別の場所にいるアイリを見たその他の一般プレイヤーは……


 「なぜだろう……?あの人を目に入れた瞬間目を離せなくなったぞ……あの装備には視線固定の効果があるのか?」


 「いいじゃん。ずっと見つめてもそういう言い訳が出来るんだしさ……ちなみに実際は装備効果じゃないのはわかってんだろ?」


 「そそ、そんなことねぇし!装備効果に違いねぇしっ。断じてあの美貌に目を奪われてるわけじゃねぇしっ!」


 「語るに墜(落)ちたな……。そんなお前には掲示板女神スレをお勧めしておいてやろう」


 「何だよ、そのスレ……なっ!?あ、あの子についての議題しか出ないスレだって!?ぜぜ、ぜひとも参加させてもらうぜ」



 ……それにしても困ったなぁ。私の方向に居る誰かを見てるんじゃなくて私を見てる人たちだったみたい。何で分かったかっていうと、数人のプレイヤーに獣姫さんと話しかけられたから。

 その呼び名は恥ずかしいから何とかして欲しい……。なのでその変な名称で呼ぶ人にはちゃんと自己紹介をして名前で呼んでもらえるように言っておきました。


 声を掛けられた理由もやっぱりヒマティオン装備が目立ってるのよね?だって周りのプレイヤーは革鎧とかローブとか見た目が普通の装備ばっかりだもんね。

 そりゃたまに鋼鉄系の鎧を着てる人も居るけど珍しいわけじゃないし。


 称号についての補填が終わった人から順に人だかりから離れて行くけどまだ暫くかかりそう。

 うーん、空くまで待ってるだけじゃ暇だし、時間をずらしてもう一回きたほうが良いかな?


 「あっ、アイリさ~ん」


 「ん?あぁ、シノアじゃない。シノアも称号関連でここに?」


 「はい、そうですよ。でももう終わりましたけどね」


 「そうなんだ?いいなぁ。私も早く見てもらいたいんだけどねぇ」


 「はい。というかアイリさん、称号を見てもらうんだったらこっちに居たらだめですよ?」


 「えっ?それはどういう事?」



 シノアが説明してくれた。ここに人が集まっているのは称号を持たない人が大多数で、どういった人たちが来るのか見てる人ばかりなんだって。

 称号もちの人は遠慮なく人を掻き分けて前に行かないと、いつまで経っても見てもらえないんだとか。


 そっか。遠慮しすぎてたのかぁ。そうと分かればさっさとこの用事を終わらせないとね。


 「すいませーん、ちょっと通してくださいー」


 声を張り上げながらプレイヤーを掻き分けていく。暫く進むと称号関連の住人を発見し話しかける。



 「ほっほっほ。ワシは称号鑑定人じゃ。ワシの目にかかればおぬしの称号などお見通しじゃぞ!」


 私の担当はおじいさんみたいですね。

 おじいさんが称号を鑑定する上での注意を説明していく。鑑定結果は周りに知らされるやり方と知らされない選択肢があるんだって。

 私の場合は言うまでもなく知らされない方向ですよね。あと、鑑定人は称号を調べた後は個人情報保護法だとかで、忘却薬という薬を飲まされるんだそうです。

 おじいさんの場合は薬を飲む以前に、私の称号鑑定したらショックでポックリ逝っちゃわないか心配ですよね。


 「お、おぬしの称号効果は……これじゃぁぁ!」


 おじいさんが大声をあげると同時に私に称号の補填内容が流れ込んできました。大声をあげたのはその情報が漏れないようにする為かなぁ。


 補填内容を確認した私はおじいさんに別れを告げ、列を離れる。ちなみにおじいさんは次の人を相手するときには、何食わぬ顔で通常に戻っていました。さすが忘却薬ですね。



 「アイリさんも見てもらったんですね?どうでしたか?」


 シノアが結果を聞きに近寄ってくる。魔王関連に関わることは隠しておかないといけないので、調教師関連で役に立ちそうな能力が解放されたとだけ言っておいた。

 あっ、ちゃんと一人になった時に詳細をお披露目しますのでしばしお待ちを。


 人ごみから離れる際にシノアと世間話をした時に、今からイベントモンスターのスイカ討伐を一緒にしないか誘われました。けど、最後の魔王クエストの関係もあってしばらくソロで動きたかったので申し訳ないけどお断りさせてもらった。


 「そうですかぁ。残念です。だけど時間が合えば一緒にやりましょうね」


 「うん、そのときはお願いするわね」



 シノアと別れ、時間を確認すると夕方となっていました。今日はアルバイトがある日なのでここでログアウトとします。

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