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41話

あれぇ?スパイ編終わらせる予定が全然その流れにいかねぇぞぉ?

迷走しているので何とか55話くらいまでには終わらせたい……。

 Bさんから装備品完成のメッセージが届いてすぐ受け取りに向かった。

 なんかもう、銃火器が気になって気になって仕方ないんだもん仕方ないじゃん。


 「よう、来たな。装備はそこにおいてあるから試着させてみな」


 言われて視線を追うと工房の隅には銀色で小型の大砲らしきものと玉の入った木箱、そしてメイン装備となる爪が置かれていた。


 あ、あれが銃火器……?そう思いながらクルスを連れて近づく。

 クルスも最初は首をかしげている様子でしたが、装備が可能なものなので自然と使い方を理解できたみたい。この辺は流石にゲームですね。



 銀装連砲+2:上質銀と土蝙蝠の牙の合金で作り上げられた持ち運びがしやすいように非常に小型化された銃口が三つある大砲。小型化されているので本来の大砲よりも攻撃力が落ちるが、一度に3発まで弾を撃てるので牽制射撃には役に立つ。

 物理能力+27(21+6)、魔法能力+13(7+6)。


 鉄の砲弾(100):鉄で作られた大砲の弾。()は弾数。着弾時、稀に防御低下を与える。


 死銀の爪+2:そのまま加工しても柔らかい上質銀に大凶骨を混ぜ込み合金にして作成された爪。

 名前に死が入っているからと言って即死効果がついているわけではない。

 物理能力+38(32+6)、攻撃時に確率で呪い(弱)を与える。



 全体的にすごい能力を持ったものになった。大砲の最大3発同時撃ちとか命中率とかどうなるんだろ~?

 と思ったらクルスは試し撃ちがしてみたいという感じの視線を向けてきたので「装備の性能とかを一通り見てからね」と言うとションボリしていた。元鳥王だというのに可愛い仕草しちゃってキュンキュンしちゃう!


 ションボリさせたままだと可哀相だから早く説明を見てしまわないと。


 基本、大砲の弾は通常の消耗品でガイアの街の武器屋……えっとたしか最初にお世話になった住民のマッケンジーの武器屋?だっけ、あそこに行けば買えるはず。

 プレイヤーが作ったアイテムなら今回の《着弾時、稀に防御低下を与える》みたいな特殊効果が付くんだけど、街の武器屋で買うと特殊効果が付かないただの消耗アイテムになるんです。


 最後、死銀の爪ですけど、呪いの付与と攻撃能力が高いだけですね。呪いと言うのは精神に作用して相手のスキルを確率で使用不可、魔力の回復速度は常時低下すると言うもの。

 主力武装になるんだし、攻撃能力と追加効果は大事ですからあって無駄と言う事はありません。



 「気にいってくれたようだな?」


 「ええ、この子も早く試したいってすごく訴えてきてる」


 「ガハハ。そう言ってもらえると武器を作った甲斐があるってもんだぜ。

 アイリが持ってきてくれたあの木炭の性能が良かったから良いモンができたぜ。また手に入れたら持ってきてくれると助かる。……それで今回の報酬についてなんだが……」


 「あぁ、そうでしたね。おいくらですか?」


 「それがだな……金云々って事じゃなくて、その……」


 なぜか言いにくそうなBさん。さっきまでは、さっさと金払って出て行きやがれ!的な感じだったのにおかしいですね?素材の回収したんですし流石に数百万とか請求されない限り支払えるのでどんとこいですよ!


 「今回の報酬なんだが無料で良いから俺の妹とフレンドになってやってもらえないか?」


 「はいっ?い、妹さんって、さっきここに居た大剣を装備した子だよね?」


 「あぁ、実はアイツ。せっかくこんな楽しくて良いゲームやってるのにフレンドが俺しかいないらしくてよ……」


 聞いてみると妹さんはシノアさんと言い、知ってのとおり大剣で敵を倒す火力型の適正職を持っている。

 大剣装備だと一撃当たりの火力は高いけど攻撃速度が遅く、殲滅が間に合わなくなるとかの理由で余程良い攻撃スキルを持っていない限り、野良において大剣装備者は誘われなくなってきてるそうです。

 野良で拾われないと言うことはフレンドを増やす機会も無いということで、基本はソロ活動。ソロだと行ける狩場も限られてくる。

 結局そのままズルズルとフレンドがいないままで今までの約1ヶ月を過ごしてきたんだそうです。

 Bさんがあの強面であるにもかかわらず、妹思いのだったなんてすごく予想外です。


 「なるほど分かりました。そんな事情があるのでしたらフレンド登録くらいしますよ」


 「ほんとですかっ!?」


 「うひゃあっ?」


 私が了承の返事をしたらすぐ真後ろから声を聞こえ、驚いた私もなんか変な声が出しちゃった。

 振り向くとシノアさんが満面の笑みで立っていました。どうやら私がここにきてからずっと、工房周辺で様子を伺ってたみたい。

 街の外でそういうことをされてもクルス達なら気付いてくれただろうけど、街の中ではPKとか出来ないし、危険な目にも遭わないので気配察知とかがあっても仕事をしないんだよ。


 「あの、さっきのフレンドのお話少しだけ嘘がありましたけど本当にフレンドになってくれるんですか?」


 「え?嘘が?どのへんに?」


 「私のフレンドはお兄ちゃんだけじゃなくてもうひとり要るって事!」


 ……聞いてて悲しくなりました。ひとり増えてるだけじゃない。いや、私もフレンド数は少ない方だけど、私の場合は理由があってフレンドを増やす数を調整してるだけ。

 闇の勢力に戻った時に裏切ることになる数を少なくしたいし。まあ実際に縁を切るかどうかは魔王クエストが進行して両方の状況が分かるようになってからだけどね。


 新事実発覚にBさんは感涙?してた。そんなに妹にフレンドが増えてることが嬉しいのか……。



 「そ、そうなの?じゃあ私はならなくても良かったり?」


 「い、いいえ!ぜひともフレンドになってほしいです!

 と言うのも、アイリさんってキャラ補正してる感じがしないところを見ると、リアルもそんな感じなんですよね?と言うことは、私の予想としてはコスメとかスキンケアについてかなり詳しいんじゃないかと思ったんです!」


 !?こ、この子。なかなか目の付け所が良いじゃない!大抵の人はまず見た目の容姿から触れてくるのに、シノアさんはそれをあえて無視して、お肌に関する話を振ってくるところにすごく関心が持てる。

 この子となら、趣味の会話が合いそう……。やっぱり人としては話の合う人とは仲良くなれるものだもんねー。


 「シノアさんだったよね?気に入ったわ。ぜひともフレンドになってくれる?」


 「えっ!ほ、本当ですかー?やった!。これから色々教えてください。よろしくお願いします」


 こうして私達の短くない付き合いが始まった。この付き合いがVRだけでなく、現実にまで及ぶことになるのはまだこの時の私達が知ることは無い。



 「……俺の工房でいつまでもキャッキャうるせぇぞ!用事が済んだならとっとと出て行きやがれっ!」


 「「ご、ごめんなさーい!」」


 ……感動して大人しくなっていたはずのBさんはいつの間にやら通常に戻り、お怒りモードになってました。それでこそ、Bさんです!


 ちなみにシノアさんのフレンドになるなら武器の御代は無料でいいと言ってたけど、それじゃ収まりが付かなかったから、お金の代わりに鍛冶系でも使えそうな素材を大量に押し付けておいた。



 ★☆シノアとアイリが退出した後の工房★☆


 「……アイリめ。なんて物を置いていきやがんだ、ったく……こんな素材あったならもっと早く出しやがれってんだよ。ちくしょうが……」


 B=ルドラーのそんな独り言が響いていた。

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