表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/195

39話

 次に向かったルグートさんのお店で、イリス用の攻撃に使える指輪の製作を依頼しました。

 ルグートさんは装飾品専門の自分に武器作成の依頼が来るとは思ってもいなかったと言いながらも嬉しそうに引き受けてくれた。


 依頼した武器の素材はすべてルグートさんに調達をお願いしておく。最終的な値段は高くなると思うけど、こちらにしたのは一応理由があるんですよ。

 指輪を使うイリスには悪いけど、指輪の材料よりも銃火器の材料になる素材の方が気になるもんね。


 「えっと、Bさんから集めてくるように言われた素材は……っと、あぁ、大体ノースガイア山の廃坑で採れる素材ばかり……あとは入手先不明の木炭?だね。あそこならイリスのレベル上げにも良い感じで使えそう」


 集めるべき材料を確認し、ガイアの街の雑貨屋やプレイヤーの製薬店を回り回復系のアイテムを次々に購入していく。訪れる先々でじっと見られるのもいい加減に気にならなくなってきたよ。


 「よーし、それじゃ……しゅっぱーつ!」



 ノースガイア山の廃坑と言うのは文字通りノースガイア山にあり、ガイアの街の正反対側の斜面にひっそりと口をあけているダンジョンっぽいものです。

 内部にはガイアバット(蝙蝠)やらストーンイーターの巨大化バージョンのビッグスイーター、あとはアンデット系のスケルトンなどが出現する。


 坑道なのでクルスの大きめの体では、少々戦いづらい場所でしたが、イリスなら進化してもまだ小型の魚なので問題ない。蝙蝠やらビッグスイーターといったモンスター達は弱点の水魔法で次々と倒されていった。


 実は今回連れているのはクルスとイリスの2体だけで、クルスが護衛役、イリスが攻撃役ですね。

 コウガとセツナは調教の仲間収納に入れてお休みさせてます。いつまでも強い子達に守られてるのもダメでしょ?

 ……私? 私の場合は例外ですからクルスが肉壁してくれてます。だって私が死んじゃったら大変だから、しょうがないよ。そう……だよね?


 奥に進むたびに数が増えるスケルトンもイリスのライトウェーブによる弱点属性を喰らい、あっさりと沈む。

 うーん、たまに見る他のプレイヤーさんはスケルトン相手に苦戦してるので、なんか悪い気がする……。

 だからプレイヤーがあまり来ない奥のほうに行きましょう!そうしよう。



 モンスターを倒しつつ採取ポイントで材料を拾っていく。この廃坑で集められる素材は大方揃いましたのであとはボス素材だけ。素材の数はあって損は無いので採取ポイントを回りながら歩いてれば、あっという間に最深部へ到達。


 入って気付きましたが、そこはいかにもな雰囲気のエリア。

 あらかじめ情報は調べていたけどこんなあっさりと到達できるなんて思ってなかったんですってば。他プレイヤーさんのコメントには、ここまで来る道中の敵が大変だった~とか書いてあったし、私みたいな初めて来た人はそれ信じちゃうでしょ?普通。


 嫌な気配を感じ、あわててコウガ達を呼び出そうとしましたが、戦闘表示中らしく呼び出すことは出来なかった。


 「イリス、クルス。ここはボスが出てくると思うから二人で頑張って貰う事になるよ」


 「コッポォ~」「クケークケェ!!」


 うん、やる気があるみたいで何よりです。確かここのボスは2種類のうちのどちらかが出るって書いてたね。たしか……スケルトンキングとシルバーゴーレムだっけ?

 さあ、どっちが出るかなぁ……。



 カタカタカタッ!


 はい、スケルトンキングでした!ラッキーです。こいつは光魔法が弱点ですから倒せる気がします!

 まあシルバーゴーレムだったとしてもクルスの土魔法で弱体化できるから結果は同じだったんだけどね。


 「クルスはスケルトンキングの気を引くように動いて、イリスは光魔法を主体に攻撃。いいわね?」


 「コポッ!」「クケッ!」


 戦闘開始後すぐにクルスは、スケルトンキングにロックレインを放ちヘイトを稼ぐ。

 ヘイトというのは敵からの関心度……敵愾心を示す言葉です。パーティの盾役の人はこういったヘイトを稼ぐスキルを多く取得しているんだって。

 まあ、どのような適正を得たかのアンケートではその盾役となれる適正職を得た人は全体の13%しかいなかったのであまり多くないのかもね。


 ヘイトを稼ぐには一度に大ダメージを与えるか、挑発と言った感じのスキルを使用することで稼ぐことが出来る。なので今回はクルスが大岩を呼び出すロックレインで数回攻撃し、スケルトンキングの注意がクルスに向いた所でイリスが光魔法を放つと言う方法を取りました。


 それでも時折スケルトンキングのヘイトが私やイリスに向きますが、そこは水魔法2に成長し、ノックバック効果発生率が高くなった水魔法のスプレッドで押し返すことで逃れた。相手が骨と言う事もあり軽かった事も幸いしたんでしょう。


 ある程度体力が減った時、スケルトンキングは取り巻きのスケルトンを召喚する。その数は一度に7体。通常は3体から10体なのでまあ中間くらいですよね。

 クルスとイリスだけで合計8体となる骨の相手は大変かもしれないけど、頑張ってもらう他ありませんからしっかり応援しておきます。私はできる事が無いのでボス戦では護衛兼火力のイリスの周りをうろちょろしながら逃げる。


 もしこれを見てるプレイヤーがいたら、仲間モンスターにボスの取り巻きを擦り付ける最低な調教師とかいわれるんだろうなぁ……。まあこれは事実だから申し開きのしようが無いよね。

 あと離れすぎるとイリスのカバー(身代わり?)やクルスのインターセプト(身代わり?)が間に合わなくなるからその辺も注意してる。それでも近寄られそうな時は鞭で牽制して逃げ場を作ってる。


 イリスのライトウェーブは広範囲の光魔法だけど、対象が多いとその分威力が減衰しちゃうんだよね。

 まあそれでも3回も発動すれば取り巻きスケルトンを倒せるんだからすごい。


 イリスは2分ほどで取り巻きを倒し、スケルトンキング戦に戻る。このとき既にスケルトンキングはクルスに削られていたのかすでに死に掛けていた。あぁ、一気にボスの体力を減らしたクルスのカッコイイとこ見損ねたぁ。


 イリスが攻撃に戻ったことでスケルトンキングは連続攻撃を喰らい続け、間もなく倒れた。

 ドロップ品には銃火器の材料になる素材の大凶骨が入っている。

 もうひとつはもう一方のボスであるシルバーゴーレムが持ってるんだよね……。面倒だけど少し休憩してもう一回こっちにこようっと。




 休憩後も道中はイリスとクルスの2体で進み、ボス部屋の前でフルメンバーに変更。

 2体しか連れて行かなくても倒せたので、4体もいれば危なげなく倒せるだろうし。さっきみたいに少数で倒せば獲得できる経験値は多くなるけど、今回は速く倒す事を念頭に行動します。

 ボスとは言え、そこまで経験値が美味しいわけじゃないもん。


 しかしボス部屋に現れたのはまたしてもスケルトンキング。流石にニ度目で先ほどとは違い、コウガやセツナがいるので危なくなる事も泣く無事討伐。

 その後、3周目の挑戦でようやくシルバーゴーレムと相対する事が出来ました。


 戦闘開始後すぐにロックレインを放ち、装甲を剥ぐ(防御力低下)とそこにコウガとクルスの強い物理能力による攻撃が打ち込まれる。

 そこの中にイリスが突進とか重打を使用しながら突っ込んでいった所なんて見てないったら無い。


 シルバーゴーレムは岩の塊を投げてきたり、足踏みをして地面を揺らし行動阻害を起こしてくるボスでしたが、飛行タイプのイリス達には無効。コウガもジャンプしたりクルスを足場にしてたり様々な方法で回避していました。セツナ?セツナは固定砲台みたいなものですので地面の揺れの影響を受けてた。


 少し時間が経過し、シルバーゴーレムの装甲が復活するとすぐにクルスによるロックレインが打ち込まれ2度目の装甲を剥ぎとられる。

 今回はセツナも混じっての物理カーニバルが炸裂。装甲が復活する前に倒しきることが出来た。


 こうして取得したボスドロップ品である《上質銀》を得た私達は、残った木炭と言うアイテムを探す為、町を奔走し情報集めを開始する。その中でシオリさんから掲示板でそういうアイテムの名前を見た記憶があるという情報を得たので早速調べたのです。



 「炭作成のウルスさんと言う人を探せば手に入るのかな?」


 アイテムで調べても引っかからなかったので他のワードで検索をかけると、なぜかスキル項目でその情報を見つける事ができました。

 錬金術の失敗時に作れるようになったらしいですけど、私は錬金術なんてスキルを持ってないし本人を探して入手するしかないよね。


 結局そのウルスさんと連絡を取れたのは情報掲示板で炭作成依頼をしたいとコメントを送った3時間後でした。



 「あ、アンタが俺の作った炭が欲しいっていうアイリさんかい?」


 「はい。在庫があるのでしたらぜひとも譲ってもらえませんか?」


 「あぁ、すまない。実は先ほど全部売り切ったところなんだ。作るにも木材が必要でな、素材集めに暫く時間が掛かるんで待っていてもらいたい」


 あらぁー残念……って、あっ!木材って前にトレント倒した時にいくつか手に入れてたはず!


 「あの、木材ならありますのでこれで作ってもらえませんか?」


 「おぉ?もっているのか?それなら話が早い。10分もあれば作れるから少し待っていてくれ」


 ウルスさんにトレントの木材を渡して10分待つ。そろそろできるかなー?まだかなー?

 考えていると工房からウルスさんが出てきました。


 「待たせたな。スゲェ品質の木炭が作れたぜ。こんな木材一体何処で手に入れてきたんだ?」


 「えっと、普通にモンスターからですね」


 「なるほどな。モンスターから採れる素材は、そこらの採取ポイントで採れるもんよりも質が良いって事は知ってたけど、ここまで出来上がりが違うとは思ってなかったぜ」


 「そうでしたか。所で御代はいくらでしょうか?」


 「あぁ、そうだな。材料は持込だったし、俺のスキルの良い稼ぎになったし20000Dでいいぜ」


 代金を聞き、そのお金を渡す。やっぱり今現在炭というアイテムを作れるのはこのウルスさんだけですから単価が高いですね。オンリーワンって羨ましい。

 去り際ウルスさんから良い木材が手に入ったら買い取るから持ってきてくれと頼まれたりするのはいつもの流れですね。



 無事に良質の木炭を得たことで銃火器の材料が全て集まった。私はすぐに素材を持ってBさんに爪と銃火器の作成をお願いする。


 「任せとけ。だがそうだな……良いもんを作るとなると長い時間、素材と向き合う必要があるからリアルで夜くらいに一度連絡をくれ。その時にできてたら渡すぜ」


 「わかりました。ではまた後で」




 時間はまだ夕方ですので、ちょっと町をブラブラしようかなぁ……。

 あっ、そういえばユーディットさんのクエスト報告してませんでした。せっかく面倒な思いをして輝赤石をたくさん集めてきたんだからちゃんと報酬を貰っておかないと~。

 それにパーシヴァルさんの依頼についても調べたことを纏めておかないとね。


 まあひとまずはユーディットさんのところに行こう~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ