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37話 誰かのモノローグ

誰かと言うか、がんばって神視点?に挑戦してみました。

この話の目的はこう言った流れがありましたよ的な感じです。次話以降に今話で書いた内容に触れる部分も出る予定ですけど、、ここで書いたから詳細は書かないというところも出ると思います。

出る予定部分はイリスの進化の流れと謎モンスターとの関係性。

出さない部分は今話で出たスキルの詳細説明といったところでしょうか。


主人公視点と同じように書いてアイリと表記した所をいつも私と書いていたため、何度も書き間違えてしまい修正が大変でした(笑

 「コウガ!そこで【空蹴り】から奇襲っ!」


 「ガッウン!」


 「コ、コポォッ!?」


 コウガは壁を蹴り、空へ向かってジャンプ。アイリの指示が飛び、そのまま降下しつつ空中の何もない場所を力強く蹴り、方向転換をして引っかき攻撃を仕掛ける。しかしそれを驚きながらも見切った明るく輝く鱗を持つ魚のモンスターは爪の攻撃を避け、お尻を向けているコウガに向かって魔法を放った。


 放たれた魔法は【ライトウェーブ】。光魔法1で使用できるもので、威力は低いものの広範囲に影響する光魔法の中でも数少ない攻撃魔法だ。しかも低確率ながらも状態異常がセットで付いてくることも忘れてはならない。


 「コウガ、前みたいな失敗はしないようにね」


 「ガウッガウー!!」


 コウガは魚の放ったライトウエーブをそのまま無防備な背中で受ける。魚の魔法攻撃力は高かったらしく、体力が1/4ほど減少したが暗闇の状態異常は食らわなかったようだ。

 アイリがさっき言った前みたいな失敗と言うのは、以前似たような状況になった時、コウガは振り返って避けようとして失敗。光魔法をモロに食らうわ、真正面から光を見たせいか暗闇の状態異常ダークになるわ、で結局魚を捕らえる事が出来ず負けたことがある。


 「コウガっ、相手は魔法を使った後は回避に専念するわ!進化して早くなった相手の動きに惑わされないように対処なさい!」


 「ガルッ!」



 コウガは魚に対し、最近のレベル上げで覚えた3つのうちのスキルの一つ【空烈破】を使い、空を飛びながら逃げる魚に対し地上からの遠距離攻撃を行った。

 もちろん、魚の方も魔法使用後のクールタイムが消えた後は積極的に攻撃をしてくる。魚の方も以前までとは違い、後方でチマチマやっているだけでなく出られると判断したときは躊躇なく突っ込んで行く力強さを身につけた。

 まあ、たまに失敗して自滅することもあるけどそれもまた強くなる為の修行です。


 空烈破による攻撃を避けたり、時折かすってみて自分がどの程度ダメージを受けているのかも把握しながら魚は動く。光魔法のヒールを使用しながら自分の体力を回復し、大方把握した所で魚は自分の持つ最高の魔法を発動させた。

 コウガとまともに身体能力で戦えば、魚には勝ち目が無いのが分かっているからの判断だ。


 魚の持つ最高の魔法とは天候を操る魔法の初歩であり雨を降らせる効果を持つレインコール。タクトマジック1で使用できる魔法で空に魔力を放ち、対応した現象を起こすことが出来るようになるというもの。

 レベル1ではこのレインコールしか使えないが成功率は70%とそれなりである。


 雨が降ると言う事は水にぬれると元気を増すパッシブスキルを持つ魚にとっては良い状況を作り出せる。

 まさに水を得た魚と言わんばかりに空中遊泳速度が倍増し、元々持っていた水魔法の効果も上昇する。代わりに光魔法の威力が下がるが魚にとっては特に大した痛手ではない。使い慣れた水魔法こそが魚の真骨頂なのだから。


 逆にコウガからすると足場となる地面がぬかるんだりして非常に戦いづらくなる。進化した結果、多少の悪路には適応できるとはいえ、突然悪路に変わられては変化の対応に時間がかかるのは当然の事である。

 事実、急に踏ん張りが利かなくなった地面ですべり、攻撃の機会を何度か逃している。


 対して魚は空烈破が届く範囲に浮遊しているとは言え、高所からコウガの動きを見つつ水の魔法を放つことが出来る。



 「ガルルッ……」


 「コポォー……」


 空と地からコウガと魚が睨み合う。アイリとその他1羽と1頭、ついでに1本が固唾を呑んで戦いの行方を見守る。

 先ほどからコウガの力強い目力により、後は自分だけでやりたいと言う思いを感じたアイリは指示を出すのをやめたのである。



 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 ここまでの流れで分かったと思うが、コウガの相手である輝く魚の正体はイリスだ。アイリと共に悩み考えた結果、彼女はランク2のプリズムフィッシュへ進化し、ノースガイア山から高山下層部を行き来してオークやらイタチを相手にレベル上げを続けた。


 最初こそ自分のスキルに不慣れだったが、戦闘をこなしスキルの特性を理解することで自分がより強くなれる戦闘方法を身につけた。

 完全後衛型から魔法攻撃よりだが物理攻撃も出来る中衛型に変化したのだ。これによってアイリ達のパーティが、やられる前にやれの脳筋パ……いやますます攻撃特化型になりつつあるのが悩みらしい。



 話はコウガとイリスのバトル関連に戻る。そもそも彼らが戦っているのには理由がある。

 数日前にアイリがコトノから装備を受け取った翌日イリスと話し合い、特殊派生的な感じのプリズムフィッシュとなった。

 同じ魚系の進化先であるミストフィッシュやポイズンガーフィッシュという選択肢もあったが、前者はイリス自身が今と大差ないことから嫌がったこと、後者はアイリが嫌そうだったことから候補から外れた。


 次に強さと修得スキルには申し分の無いスタルトイールとマリーンサラマンダー……ウナギとオオサンショウウオの2種類だがこれらに進化すると魚の時のスキルの大半が使えなくなると言うデメリットがあったため外れた。

 その使えなくなるスキルにあたるのがメインで使用していた【飛行】と【浮遊】。イリスにとってはこれが無いと戦闘では機動力がなくなり、戦力ダウン確定になるためだ。勿論イリス自身もスキル使用不可になることは望んでいないため拒否した。


 よって最終的にアイリ、イリス共に納得できる進化先が残ったプリズムフィッシュとなったのである。



 で、なぜ戦っているかと言う話に戻るが、アイリがイリスを含めた仲間モンスターをお互いに競わせ、新しい戦術を考える為だ。


 戦略や戦術初心者のアイリにとっては、スキルについてくる魔法名や説明を読んでもイマイチどんなものか理解できない。なのでデスペナを受ける心配の無いPVPの仲間モンスター版で、使用させた新しいスキルや魔法等をどういうタイミングで使わせたら効果的かどうかを調べる目的で始めた。



 一戦目はセツナとクルスの闘いだった。最初はセツナがクルスの弱点属性である氷魔法で押していたが、セツナやコウガが成長する間クルスもただ遊んでいたわけではない。クルスがレベル12で新しく覚えた超攻撃特化スキル【堕翼撃】でセツナの隙をつき意識を刈り取った。


 二戦目は今回と同じコウガとイリスの闘いで、内容は先ほど触れたとおりにイリスの勝利となった。


 三戦目はセツナと謎のモンスターエックスの闘い。この謎のモンスターは機動力は無い物の、しなる腕とたくさんの物体による目くらまし攻撃を得意としている。恐らくゆくゆくは各種状態異常を得意とする個体になるのだろう。アイリ自身もそうなると踏んで仲間にした様だからな。

 なお、仲間にする際にクルスが大活躍した事からしばらくエックスとクルスの戦いは成立しない。……やってもクルスが圧勝するのは目に見えてるからな。


 なんにせよ謎モンスター、エックスについてはまた後ほどアイリから説明があるだろう。



 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 四戦目はコウガが前回の雪辱を晴らしたいと意思をアイリにぶつけていたのでイリスと再戦させた……要するに今現在の事だ。


 イリスは進化したとは言え、前回、今回とできることはほぼ出し尽くした。雨を降らせ後は若干威力の高まった水魔法で押していく以外にもう手は無いのだ。


 逆にコウガはというと新入りであるイリスにやられて多少ムキになっていたこともあり、狩では貪欲に敵を倒し続け、気づけばクルスのレベルをも上回る成長を見せていた。

 それで覚えた3つの新スキルは、最初にアイリが言っていた空中で方向転換、もしくは数歩だけとはいえ走る事を可能とする【空蹴り】、2つめは先ほど使っていた遠距離攻撃【空烈破】、そして最後の3つ目が今からコウガが繰り出す攻撃系スキル【火纏】だ。


 これはセツナが使用できる風纏の属性違いバージョンで、コウガは体に火を纏う事で瞬間的に攻撃力と機動力を増加させる。そして元々脳筋系のステータスである彼が使う事でその威力は格段に跳ね上がる。

 風纏と火纏の違う点は、前者は攻撃をしない場合移動速度が上昇だが、後者は動かなければ継続ダメージを食らい続けると言う嫌な側面も持っている。その割合は10秒停止しているとダメージ50%である。


 ぶっちゃけると火纏を発動中、麻痺や眠りの状態異常になったら治療できない限り、コウガは死ぬ……というか戦闘不能になって調教スキル内にある格納枠へ送り込まれる。また呼び出したいなら町に戻り復活させないといけないのが厄介だ。



 降りしきる雨の中にもかかわらず、火に包まれたコウガは【空烈破】を放ちながらイリスとの距離をつめる。乱雑に撃つ事でイリスの逃げ場を塞ぐ効果もあったりする。

 イリスがいるのは空中で、ただのジャンプでは到底届かない。そのため、コウガは障害物を【壁蹴り】で駆け上り、ステータスの高さに物を言わせたジャンプで高く飛び上がりそこからさらに【空蹴り】を使用し、イリスのいる高さへたどり着く。


 イリスは水魔法で撃ち落とそうとするが火纏中のコウガに届く前に熱により減衰させられる。

 水魔法の利きが悪いと判断し逃げようとしたイリスだったが、その時既にコウガの攻撃射程範囲に入っていた。


 「コポオオオッ!!」


 火纏の能力強化がのった空烈破がイリスを捕らえ爆発。

 一度に体力の大半を奪われたイリスはそのまま自由落下し地面へ叩きつけられる。まだ体力が残っている為、コウガが追撃を仕掛けようとする。その体からは赤いオーラが立ち上り【狂乱】に陥っていて我を忘れているようにも見える。

 このままではイリスが大変なことになると感じたアイリは精一杯叫んだ。


 「そこまでっ!コウガの勝ちよ!……コウガ止まりなさいっ!」


 ビクッ!?


 アイリの声が響く。その声には今までにない威厳を感じ、それを聞いたコウガから出ていた赤いオーラや火纏が一気に消えていく。

 実はアイリもこの数日の間に新しいスキルを得ていた。レベルが上がらないため新スキルを得るには、王の名を持つ魔物を倒すか仲間にするなりして魔王の適正を強化するか、住民からランダムで貰うかのどちらかしかない。


 アイリは前者の方法……ではなく後者の方法でスキルを得た。

 先日受けたユーディットからの依頼品である輝赤石を大量に集め、納品したら彼女にすごく喜ばれ基本報酬である《ランダムスキルの種》を一つと、《派生の書物》という高評価でクエスト達成した時にもらえる報酬を得たのである。


 ランダムスキルの種から得たのは【威圧】のスキルで、コウガの【威嚇】やセツナの【咆哮】と同じような効果を持つ。

 アイリはその威圧スキルに派生の書物を使い、次の段階のスキルへと成長させたのである。

 そのスキル名は【覇気】。魔王にふさわしいスキルを得られたと喜ぶアイリだったが、なかなかに使用するのが難しいスキルでもあった。



 覇気:使う本人にそれを必ず発動させる!という強い意志、もしくはそれに順ずる強い想いがないと一切効果が現れない。周囲大範囲に??の効果、詠唱中・発動中のスキルを強制キャンセル。

 特定のステータスが高い状態で発動すると……?



 強い意志と言うものが曖昧だし、ただ頭に思い浮かべて覇気を使おうとしても発動しない。

 覚えたは良いが覚えて数日経つのに、まだ一度しか発動させた事の無いスキルだったのである。それが発動したと言う事はそれほどにイリスが危険であると認識していてその想いが強かったのだろう。

 アイリはそこで初めてどういった状況で覇気が発動したかをつかんだ気がした……。



 「キューン」


 アイリが声に気づきそちらを見ればコウガが腹を見せてダランと降伏する姿をしており、セツナも似たような状態。クルスはアイリに頭を下げ静止、イリスは叩きつけられたショックで身動きとれず。

 謎のモンスターエックスは元々動くことが出来ないので、大量のしなる腕をワサワサと動かし(震えてる?)ながら、収納を希望しているようだ。


 「あぁ、コウガ、ちゃんと止まったね。えらいえらい。所で皆して何故服従のポーズ……?

 まあそんな姿も可愛いけどさ……あぁ、○○デは収納して欲しいのね?アレが先輩の戦い方だから、自分に出来る能力を頑張って身に付けてね」



 アイリはとりあえずイリスにポーションを使用し、体力を回復させたあとは自身の光魔法のヒールで回復に努めさせた。残念ながら名前を聞き取ることは出来なかった謎モンスターエックスを調教スキルの収納に入れたあと、反省しているコウガに一言だけやりすぎ注意とだけ言い含めていた。


 その後アイリたちはガイアの街に戻り、何度か狩りを重ねつつ、自身の覇気を自由に使いこなす為に修行を開始するのだった。

どうでも良いかもしれない仲間モンスターたちの反応。ちなみにブレブレなのでこんな感じ程度に。


アイリ(ア) 「コウガ!そこで【空蹴り】から奇襲っ!」


コウガ(コ) 「ガッウン!(がってん!)」


イリス(イ) 「コ、コポォッ!?(な、なんだってぇー!?)」



ア 「コウガ、前みたいな失敗はだめよっ!」


コ 「ガウッガウー!!(わかってるー)」



ア 「コウガ、前みたいな失敗はしないようにね」


コ 「ガウッガウー!!(わかっとりますがなー))」



ア 「コウガっ、相手は魔法を使った後は回避に専念するわ!進化して早くなった相手の動きに惑わされないように対処なさい!」


コ 「ガルッ!(んな事いわれてもっ!)」



 「ガルルッ……(なかなかやりおるな……)」


 「コポォー……(それほどでも~……あるよー)」


 空と地からコウガと魚が睨み合う。



 ラストの覇気発動後。


コ 「キューン(さすがご主人様やー。そんなご主人に痺れる憧れるぅぅ!)」

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