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36話

明日も投稿予約済みです~。

 ガイアの街の広場に戻ってきました……けど、なんか人が多くて考え事をするには向かないのでどこかへ移動しようと思います。……あ、そうだ。コトノのお店なら個室あるかも!


 「あっ、アイリさん。いらっしゃい~。防具の引渡しでいいんだよね?」


 あぁ、そういえばそんな話もありましたね。イリスの進化先の事で頭が一杯で忘れてました。

 でもまあ、このまま考えても仕方ありませんし装備品をチェンジして心機一転、物思いに耽ってみましょうか。



 「先日預かった素材の轆轤蛇の皮と私のほうで在庫を抱えていた木綿蜘蛛の糸でベースを作成し、大山虫の羽と鯰のヒゲをアクセントとして組み込みましたよ。轆轤蛇の皮自体が珍しい素材だったので加工に苦労しました~。

 あと蛇皮だと茶色のままでちょっと見た目的にアレでしたので今回のスキルアップで覚えたアーツ【着色】を使い、アイリさんの白銀の髪の色に合う様に大半を白ベースにしておきました」


 ほほぅー。白系の服って使い方次第ですぐ汚れてしまい、目立ってしまうことがあるからあまり着ないんだけど、エスでは汚れてしまっても数秒で目立たなくなる仕様があるから気にしないで良さそう。


 次回のアップデートで課金アイテムに染色剤が追加されるけどアレとは違うモノなんだって。

 コトノが覚えた【着色】は自分が作った装備に限り、色を付けることができ、課金で買えるアイテムの方はすべての装備品位適応するんだって。まあ課金する以上は一部のものにしか使えないって事は無いよねー。


 さてと、装備の性能の確認しておこう~。



 ヒマティオン・フェザー:轆轤蛇の皮と上質な布生地を縫合し作り上げられた男女兼用のワンピース状の全身衣。背中には大山虫の羽を組み合わせて仕上げられた2対4枚の羽が付いていて人の目を惹くこと受けあい。残念ながら羽には飛んだり浮いたりする機能は付いていない。

 効果 VIT+4(1+3) INT+7(4+3)・CHA+12(9+3)



 「へぇ?すごい性能ね。コトノって実は腕が良かったのねー」


 私はコトノに差し出された装備品を確認し、そんな言葉が口から出ていた。

 私が良い性能と評した理由は、ルグートの装飾品を受け取った時に補正についての情報を仕入れていたから。


 装飾品の最高補正は現在0~+5までだけど、それはあくまでも装飾品だからで武器や鎧、服などに関してはもっと補正値が高いこともしっかり勉強済みです。例をあげて言うと鉄の鎧の補正値は基本値がVIT+3に対してプレイヤーが作った最高の鉄の鎧の補正値はVIT+9になったとかね。

 ちなみにそう言ったすごい補正値の装備の値段は目が飛び出るような値段だったらしい。それでも買える人がいたと言うことがすごいよね。


 装備の補正値の()内にある数字は(装備品の基礎値+強化結晶補正値)で、素材と一緒に渡した各種結晶《山地の結晶》《水地の結晶》《大地の結晶》などで生産職にお願いしたらステータス補正値が+1~+3されるんですよ。

 ちなみに適正が生産系じゃない人が結晶アイテムを使っても0か+1が関の山で、最悪装備品が破損するそうです。そう考えると壊れる可能性はないとはいえ、全てに+3を付けれたってことはコトノはすごい幸運を持つプレイヤーなのかもしれない。


 まあ一番ラッキーな人はそれを受け取れる私なんだけどね!


 このヒマティオン・フェザーはVITこそ初期値っぽいけど、INT補正とCHA補正が非常に高いです。あっ、ヒマティオンというのは古代ギリシア時代に着られていた上着の一種で、今回コトノが作ったような一枚の布から作り上げるタイプもあるんですって。目的は大きめに作ることで体型を隠すためだったとか色々諸説があるみたいだけど、そこは私には関係ない……よね?

 まさかコトノから見たら私ってこの装備を付けて隠さないといけないような体型に見えてるのかな……。うぅ、聞くのが怖い。



 それにしてもコトノにはステータスの希望を言ってないのに、ピンポイントでそれらを乗せてくるところが恐ろしい。


 「アイリさん、ひどいよぅ!?私これでも将来は服飾デザイナー目指してるんだから。このくらい出来て当然なんですよ~。私の機転で2対の羽を付けたおかげで魅力の基礎値が7もあがったんですよ~」


 ……CHA補正にそんな裏要素があったなんて……。羽がなかったらINT補正値が高い装備だったわけね。


 その割には凝った要素が多い気がするなぁ……。ヒマティオンの袖部分とかユッタリしていて小動物なら入りそうな隙間があるし、肩から襷掛け?をする形は良いとして、左肩が完全に露出しちゃってるんだよね。リアルだったら夏は左だけ日焼けしちゃいそう。


 「それはですね、なぜか装備に無頓着だったあのアイリさんが私に装備の制作依頼をしてくれたと言うことでテンションがあがっちゃいまして……気付いたらああいった感じに……。

 でもそのおかげで補正値はかなり高いんですから文句は言わないでほしいですよぅ~。

 それにアイリさんがデザインはミニスカじゃなければなんでも良いってお任せしてくれたんですよ~?」


 あぁ、そういえばそんな事言った気がする……。あれはたしか話に夢中になってしまって、初バイトまでの時間が押してたからその辺まる投げしたのよねー。思い出したわ~。

 まあ確かにリアルで羽根つきワンピを着ろって言われたら、断固お断りさせてもらうけどエスの中では着ても良いかな。ミニスカだけはリアルでもエスの方でも拒否しますよ~。


 理由?そんなの決まってるでしょ?太ももにお肉が付いてきてしまった時に見られるのが嫌だからよ。ただでさえ、夏季休暇中はバイトで動く以外部屋に引き篭もってるんだからね!

 うーん、そう考えたら少しくらい運動しないといけない気がしてきました……。けどまあそれは後回し!


 「じゃあアイリさん。早速装備してみてください。無いとは思いますけどサイズ自動補正が働かない可能性もありますからね」


 「そうなの?わかったわ」


 装備品のサイズ自動補正と言うのは、文字通りの意味ですね。住民経営のお店で扱ってる装備品を買ったは良いけど、体が大きくて、もしくは小さくて着れないとかがあったら困りますしね。

 特に女性プレイヤーの場合、一部分だけがあわなくて断念する人もでてきちゃいますよ、きっと。



 「ほおぉぉっ!」


 「な、何?その反応……あまり見つめないで欲しいんだけど?」


 受け取ったヒマティオンに装備を変更すると私の見た目もその通りに変化する。そう、背中に羽の生えたワンピース状の衣を着た大学生くらいの女……あれ?考える必要も無いくらい痛い人になってない?考えるほど恥ずかしくなってきた……。



 「や、やっぱ着替えr「女神降臨キマシター!」……えっ?」


 なんかコトノが私を見て鼻息荒くしてる……しかも微妙に目が血走ってて怖いっ!?


 「あっ、すみません。アイリさんにその服がすごく似合ってて……一瞬、女神様が降臨したのかと勘違いしてしまいました」


 ……?コトノの言葉が理解できない。目の前で装備の変更見てたのに女神とか言う別人であるはずが無いじゃない。うーん、私なんかが服を変えただけで、そんな変な風に見えるというなら即刻眼科に行った方がいいんじゃないかなぁ?でもまあ……


 「似合ってる?そう、ありがとう。所でもう一つフード付きローブをお願いしてたはずだけど、素材足りなかった?」


 「あ、勿論ありますよ~。顔を隠したいと言うことでしたので一応顔まですっぽりと覆うタイプにしてみましたけど……正直お勧めできませんよ?」


 「えっ?どうして?」


 「実は少し前にプレイヤーが住民相手(NPC)に盗賊行為を働きまして、その逃亡の際にフード付きローブを着ていたことから、街の中でそういった装備をしていると問答無用で衛兵の詰め所に連れて行かれるようになったんです」


 「えぇ!?なにそれっ!」


 「でもでも、ちゃんと何もして無いと分かれば開放してくれますよ?

 ただ、町でそう言った装備をつけるたびに連行されることになるので面倒なのは間違いありません。しかも回数が多くなると光の城の騎士団が出張って来るらしいんですよね」


 確かに毎回連れて行かれるのは時間の無駄ですよね……でも騎士団は何か気になる……。

 でも捕まるってことは悪評が広がって目立つことよね……悪評自体は別に構わないけどスパイ行為中にそう言った目立つことがあるのは困ります。


 「そっかぁ。じゃあせっかく作ってもらったけどフードは被れないわね」


 「そうですねぇ。あぁ、フィールドを行動する時はだいじょうぶですよ!」


 ……いや、街の外でフード被る必要はないんだけど?外だったらあまりプレイヤーと会わないし、コウガ達に言っておけば他プレイヤーとの遭遇を避けてくれるしね。



 「まあ作ってもらったことだし報酬の話にしましょうか」


 「あっ、アイリさんのその装備姿をSSに撮らしてくれるなら、半額で良いですよ~」


 コトノは目をキュピ~ンと光らせながらそう言った提案を出してきました。

 SS?たしかスクリーンショットとかいう画像とかを保存する機能だったかな?別に撮るくらいは構わないんだけど、そんな事で割引してもらうのは気が引けるかな~。

 それに割引してもらわなくてもお金なら十分持ってるから払えるもんね。


 「SSくらい撮っても構わないけど割引はしなくて良いよ」


 「えぇっ?ほんとですかぁ!やったね!」


 という訳でコトノのコトノによるコトノのための撮影会が始まった……。


 「アイリさん。そ、そのままストップです!動かないでくださいねー!カシャッ【SSスクリーンショット保存】!

 ふふふっ、そのわけがわからないと言う表情も良いですよ~(コトノ自身が移動し)カシャッ【SS保存】……次は祈るような仕草をお願いします……はれぇ?一瞬体が動かなくなった?あっ、動く……気のせいだったかな……?」



 30分くらい続いた撮影会が終わり、落ち着いたコトノに提示された報酬を渡した。


 「アイリさんの武器って確か鞭でしたよね?預かった鯰のヒゲのあまりで鞭らしきものを作ったのでオマケついででよろしければ使ってください。まあ性能は素材の質が良いおかげでその辺の住民の店で買える初期のモノよりはマシ程度ですが……」



 ケトラーウィップ:珍しい鯰のヒゲをただ縫合し繋げただけの鞭。水と地の属性に親和性があるらしい。

 STR+3・攻撃時判定に地・水の効果が乗ることがある(小)



 うん、確かに今使っている鞭よりはマシになる程度ですね!でもまあ、コトノがくれるって言うんだし頂いておきましょう。

 属性効果とかあっても使いませんよ?だって敵に近づく機会が無いもの。鞭装備なんて飾りですよ飾り。


 「あっ、そうだコトノ。次の装備依頼をお願いするわ。素材はこれよ」


 「えぇっ?今装備を渡したばかりなのに……あっ、他の部位装備がほしいの~?……ってなにこれ~。鬼の皮ってこんな素材見た事が無いですよ!」


 「あぁ、森の奥の方でオーガって言うのが出てきたから数体倒して手に入れたの。結構質は良さそうだしレギンスとか、帽子系の装備をお願いしたいんだけどいける?」


 「お、オーガ……オークじゃなくてオーガなんですか?」


 「オークなんてただの豚じゃない。あれとは全く別物よ?オークより最低5倍は強かったよ」


 「えっ?じゃあアイリさんはオークの素材も持ってるんですか?」


 「まあ、それなりにね。でもあまりオークは狩られて無いみたいだから素材を流すのを我慢してるのよね」


 「えぇっ……アイリさん凄すぎます~。安全に仕上げる為に私のスキルあげ目的で譲ってもらうわけには行かないですかー?」


 「そうだよねぇ。オークの皮の加工が出来ないのに鬼の皮の加工は出来ないか……」


 うーん、鬼の皮は少ししかないから無駄にはして欲しくないし仕方ないね。私の装備品の充実の為だし!

 幾つか条件をつけてコトノが了承したら渡しても良いかな。了承されないなら、オークの皮の納品も鬼の皮の加工も、保留ってことで。


 コトノにオーク皮を渡す条件として、その過程でできた装備品を暫く市場に流さないことを約束した。

 口約束とはいえ案外あっさりと条件を飲んだあたり流石だと思う。


 ちなみに約束を破ったらこの関係はおしまいにするといっておきました。それを聞いた時のコトノの狼狽ぶりは半端なかった……とだけ言っておきます。


 ちなみにオーク皮の装備は生半可な鉄の鎧より基本補正値が高いから、光の勢力強化に拍車が掛かっちゃう。だからこれらが流通するのは光の勢力の冒険者がオークを安定して狩れる様になる頃がいいでしょう。

 まあこの辺の見極めはコトノがやってくれるはず。私は市場にオーク皮製品が一度に大量に流れたりしないかだけを気をつけてれば良い。まあプレイヤーが作った装備品には生産者の名前が書かれているからコトノという名前でなければ別に構わないんです。

 コトノ以外の有力な裁縫師がいるという証にもなるし、オークを狩れる力を持つプレイヤーもでてきていると言う事だから。


 という訳でオーク皮をある程度の量(手持ちの1/10程度)を渡しておきました。

 あ、そうそう。後、条件にはもう一つあって、コトノの店にある居住区の個室一つを時折、使わせてもらえることにしました。



 「ふふっ、掲示板で有名な獣姫……アイリさんが私の店に頻繁に出入するとなるとお客さんもたくさん来るに違いないですね…」


 うん、店主のそんな独り言は聞いていないことにします。

 まあなんにせよ、店主の許しも得たことですし、早速個室でイリスの進化についての再検討をしますかぁ!

スパイ編完結(後数話くらい?)後、更新をしばらく中止します。

再開は11月中旬(その位にはストックがある程度溜まってる)予定で、その際も今まで書いた文章を見直し修正する所から入るつもりですので、本編が遅々として進まない可能性もありますがご了承ください。

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